愉快
いくつかタイトルかぶりがあることに気付きました。
イノリの背中から伝わってくるイノリの体温と、それからマツリの腕から伝わってくるマツリの体温が、俺の身体を温める。こころなしか先程までよりも体温が高くなっているような感覚がする。
「あの、2人とも……ちょっと、暑いのだけれども」
「あら、離したりはしませんよ? だって今私は眠っているんですもの。お願いされたとしても聞こえないでしょうね」
マツリの、冗談を交えた拒否宣言。そして同時に、イノリを挟んだまま俺も抱きしめ続けたままでいる、という主張でもあるのだろう。そういうことなら乗らない手はない。普段ならやられる側だったが、たまにはこうやって攻めるのもありだろう。
「俺もまだ時間はあるし、このまましばらく微睡んでいようかな。マツリもイノリも今はおとなしくしてくれているから、ゆっくりとしていられるよな?」
ちょっと悪い感情が芽生えて、2人の向かい合っているお腹のあたりに手を突っ込んでみる。ふにっとした柔らかい感覚に挟まれて、それだけで冷静でいられなくなってしまいそうな気がした。
「ちょっと、何してっ……いや、まあいいか……」
イノリはしばらくの間もぞもぞと抵抗する素振りを見せていたが、マツリの抱きしめる力が相当にしっかりしたものだったのか、殆ど動かないうちにその動きをやめてしまった。動けないほどに抱きしめているのに俺の手に伝わる感覚はあまりにも柔らかく、それほどの力がかかっているとは全く思えなかった、が。
「ご主人、そこもいいですけど……こっちのほうが良くないですかー?」
マツリが掴む位置をずらし、俺の手首を捕まえてくる。イノリの頭のおかげで半分くらいしか見えないが、明らかにニヤニヤ笑いをしている。良くないことを考えているというアピールである。
「マツリが良くないことを考えてるのはいつものことではないかしら」
イノリのツッコミはマツリにスルーされ、俺の手は2人の胸の間へと誘導された。
うん、なんというか、うん、なんだろう。下手に動いて揉むような状態になってしまうよりかは、このまま動かずにいたほうがいいんじゃないだろうか。そう考えていたら、マツリはその胸肉をぐいっと押し付けてきた。当然圧力のせいで、イノリの胸にも圧力がかかる形になる。柔らかいモノに挟まれて、もうどうしようもない。いたずらを仕掛けるつもりがすっかりいたずらされてしまった。
突っ込んだままの手が、なんとなく湿っているような気がする。2人の汗だろうか、それとも……うん、深く考えたらいけないことだとは思う。
面白かったと思ってくださったなら、画面下から【ポイント】評価や【ブックマーク】、【レビュー】などを貰えると嬉しくなってやる気が出ます。




