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長い

 まあ、そういうことでイノリの寿命に関する問題は解決したと言ってもいいんじゃないだろうか。


「もしかしたら80年とか100年経ったくらいで問題が起こる可能性はなきにしもあらずではあるけれどね」


 さすがに120歳になるまで生き続けるというのは難しいような気もするけれど。生きていたとして何かしらの病を患っている可能性だってあるし、その時にはイノリのことを助けてやれない可能性もあるが……


「まあご主人より先に死ぬつもりはないっていうことで」


 イノリを保存していた方の、データ保存用の式神をスタンバイ状態に戻した。これはもう人格を保持させるような使い方は出来ないだろうけれど、撮影機材だとかそういう感じの使い方はできるだろう。HDDとかだって10年くらいで交換が必要だったりするし、パソコンの修理や交換のときに役立ってもらう事もできそうだ。


「あーでも、どうなんでしょう。ご主人って私と血肉を混ぜてますから。もしかしたら……というか、多分確定で健康寿命は伸びてますね。致命的な大怪我でも負わなければ、あと変な病気にでもかかったりしなければ、多分ある程度の外見を保ったまま長生きできるかもしれません」


「えっ」

「あ、そうかっ」


 俺とイノリはほとんど同時に驚きの声をあげてしまった。イノリの方は驚きというか納得の方だったけれども。


「あーでも、血肉を全て混ぜて1つの塊になるとかでない限り不老不死とかそういう存在にはなりませんよ? そうなった場合はご主人も私も消滅してるでしょうし」


 肉体が生きているだけであって意識がなければ死んでいるのと変わりませんよね、なんてマツリが言う。


「んーと……俺の寿命は伸びている、のか?」


「うーん、そっちはどうなんでしょう。まあ健康に長生きできるっていう感じですから。結果的には伸びているでしょうけれども、よっぽど何かしらが起こったりしない限りは、まあ普通のご長寿で解決する範囲だと思いますよ」


「よっぽどの何か……」


「例えば私とイノリが同時期にご主人の仔を宿すとか、あるいは私やイノリの四肢をご主人と交換するとかですね」


 うん、仔を宿すだとかいうストレート過ぎる物言いをしたことに関しての言及はあとからするにして。


「2個めはまあわからんでもないけれども、……妊娠するっていうのは?」


「簡単に言えば肉体の情報の交換と結合、ですかね? どっちもそういうことです」


 随分と噛み砕かれた説明のような気がしたが、まあだいぶわかりやすい説明だった。


「同時っていうのは、身体が術的に結びつくっていうのもあります」


「あー、もしそうなったら私よりご主人のほうが長生きしちゃうかもなー」


 イノリが説明に重ねるように、わざとらしくそんなことを言ってくる。


「そうなったら、またどうにかしてやれるように頑張らせてもらうからな。勝手にいなくなったりするんじゃないぞ」


「ご主人ってば、私達のこと好きすぎじゃない?」


「いろいろ解決したのだから、我慢していたぶんを発散させてもいいのですよ?」


 また、少し忙しくなりそうである。

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