完成
一日おやすみいただきました。
「ところでご主人、あんなぶっつけ本番で良かったんですか? 一応式神そのものは用意出来なくもないんですから、練習してからでも良かったような」
マツリがイノリの頬をムニムニといじりながらこちらに問いかけてくる。2人はお互いの方を見合っている状態で、こちらに視線は向いていない。
「まあ……練習で失敗し続けて自信をなくして持って思ったのもあるけれど、練習で成功して油断しちゃいけないなっていうのも考えてさ。それに、思い立ったが吉日……だろ? すぐにやったほうがいいと思って」
「はあ……練習はしたほうが良かったかもしれないですけれども、まあ一理はありますね」
「あるのは一理だけで、そういうことを言われてちょっと嫌な緊張が今更来たからちょっと言わないでほしかったかな」
「それは申し訳ない」
よく考えていなくても、冷静な判断力をなくしていたんじゃないだろうか。正直なところ練習くらいはしておくべきだったとは思う。
「まあ成功したんだからいいんだけど……成功してるわよね?」
寿命の方は100年程度にしておいたし、大きくなったり小さくなったりする機能も残っている。敢えて言うならば。
「あれですね、偵察に特化することになったので戦闘能力はご主人の肉弾戦よりも弱いですね。外見相応の……よりも弱いかも?」
「外見相応っていうか年齢相応っていうか。外見はほら、ある意味立派だから?」
外見年齢相応って言ったほうがいいんだろうか。いやまあ、人形並に小さくなったり中学生サイズになったりするのは相応とは言えないかもしれないんだけれども。
「ん、あー……念話はまだ繋がってないみたいね。とりあえずのところ、こっちはまたつながる様になるまで時間がかかるかもしれないわ?」
「というか、大きさの変化と念話以外の術は使えないかな。幻術も式神ももう難しいかも」
「時間をかければ出来なくはないけど、儀式並みの時間をかけて普通の式神を立てるっていう感じになりそうなのはあるかな。正直マツリ以上に非効率って感じよ」
「まあ私もあまり上手いというわけではありませんが。この中で一番術が使えるのはご主人というのがなんとも」
「正直なところ俺自身、見習いどころかちょっと教えてもらった程度だからな。『使える』って言っていい段階ではないんじゃないかな」
「それでよく私の意識の移植をしようだなんて言えましたね、しかも練習なしで」
「あ、そうだそれで思い出したんだけど……イノリ、移動中に起きてたか?」
「……んん? どういうことかしら。全く心当たりはないのだけれども」
あの手は、何だったのだろうか。やっぱり想像が生み出した幻覚だったのだろうか。わからないなら仕方ないが、きになるものである。
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