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采配

 やることは決まったものの、何を準備すればいいのだろうか。


「まずは、新しく意識を移す先の肉体になるモノ、かしら。そもそも『この身体』を使い回すことはできないしね。それをやったら、式神の再起動と同じことになっちゃうから問題が回避できてないのよね」


「それと、意識を保存しておく外側の何か、ですかね? 付喪神を捕まえることができるのならば問題ないのですが、そっちの方は今の所目処がついていないです。付喪神以外には何かアイデアはありますかね?」


「うーん、それこそ新しい式神でどうにかならないか? イノリの移動先と、イノリの意識を一時的に保護するためのものの2個を用意しておく必要があるけれども」


 自発的に行動しない式神ならばもう1つ用意することは難しくないかもしれない。


「式神っていうのは、術者がいなくてもどうにかできるのが強みだから……そうね。私が自分で作れば、2人の術や維持の負担にはならないかも。マツリ、私以外にもう1つ作るのは難しいでしょう?」


 マツリは術式全般的に苦手ですもんね、とちょっと揶揄うようにイノリが言う。


「このこの、そんな事言っちゃうんですね?」


「実際そうでしょう。人型の維持と、連絡と……あとはそんなに余裕がないんじゃないの?」


「獣帯としての身体能力でどうにかできる問題ばかりだといいんですけどねぇ」


 イノリがじぃっと見つめるが、ふいっと目を逸らしてしまう。なんというか、こういう姉妹らしい振る舞いがとても好きなのだ。2人が楽しそうにしているのを見るのは好きだし、その流れで弄ったり弄られたり。


 2人が来てからそう長い時間が経っているわけではないのだけれども、2人がいない時間のことを想像できないくらいには日常となってしまっているのだ。


「……あー、失敗できないなぁ。大切なものを守るためだからな、無理してでも守らないと」


 そう呟いたが、イノリはやれやれと言わんばかりに笑ってくる。


「ご主人、私達2人を支えることは、ご主人にとって無理のある行動なのかしら?」


「……そんなことはないな、うん。大丈夫だ。無理なんてしなくても、余裕で2人を守ることができる。そう思うよ」


「だったらさ。私だけを守るための行動なんですもの。ご主人にとっては超余裕何じゃないかしら?」


「そうですよね。なんなら今回は私も守る側ではなくて、手伝う方ですもの。失敗する可能性なんてないって言い切れますよね?」


「そうだな、失敗なんてするはずないよな。いける。問題ないよな」


 準備さえ終われば……そう、準備はすぐに終わるだろう。


 今夜。余裕で決めてやろう。

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