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勢い

 生物の蘇生は困難である。部長が現代技術では完全な蘇生は無理で、半端な蘇生でもかなり難しいという宣言をするくらいである。


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 イノリは厳密に言うならばマツリの分身を使った式神であり……理屈だけで言うならば、『肉』を使って作った式神ということになる。


イノリのことを、『式神の再起動』ではなく『意識の移動及び蘇生』として捉えれば、うまくいくかもしれない。


 確たる証拠はなかったし、おそらく部長も教えてはくれないだろう。だけれども、自分の中ではそれが正解だという確信があった。


「とはいえ、2人の意見が聞きたい。俺が正しいと思っていても、マツリとイノリから見たらなにかおかしいところがあるかもしれない。それに、イノリが嫌だと思ったなら別の選択肢や……あるいは何もしない、ということも視野に入れる」


 イノリを助ける手段はこれがダメであったとしても他のものもあるかもしれないが、生き延びるということを諦めてほしくはない。そちら側の選択肢は選んでほしくないということが伝わるように言葉を選んだ。


「俺としては、イノリをモノとしては扱いたくないんだが……イノリはまだ式神ではあるんだよな?」


「ん、まあそうね。カガクとしての理屈はともかくとして、魔術妖術霊術その他いろいろ……まあ、今のところはまだ式神に分類されてるわ。魔術的には式神じゃなくて使い魔だったりする……まあ、そのあたりを考えると、ご主人のやろうとしていることは理屈自体はおかしなものではないと思う」


「ヒトやケモノの場合、死を回避することと、蘇生するということは似ているようで違いますからね。でも式神なら、そもそも生きていない……生まれていない、と考えることもできるかもしれません。蘇生というよりは転生だったり、出生だったり……そっちのほうが正しいかもしれません」


「まあ、細かい理屈は……俺にはよくわからない。練習したこともないし、もしかしたら失敗する可能性のほうが高いかもしれない」


「ねえ、ご主人」


 イノリがこちらをじぃっと見つめて、大きく息を吐く。なんと言えばいいのだろうか、怒っているようにも見えるし、呆れているようにも見える。やれやれと言わんばかりの視線で、子供を諌めるような口調でこちらに告げた。


「私はね、ご主人。私のために一生懸命考えてくれた事柄に対して、断ったり怯えたりだとかそういうことはしないわ。それと……今まで『モノ』だった私が、生きられる可能性があるのなら、それに賭けたい」


 マツリとイノリはこちらに視線を向ける。


「ご主人、あとのことなんて考えずにやっちゃってよ」

「ご主人、イノリのためにやってあげてください」

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