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 作業をしながら考える。手元が狂わずに安定して書いたり描いたり刻んだり、しっかりと注意していればそれなりのものになるようになってきた。


 部長のように明らかに適当にやっているのに見事なものが仕上がる、なんていうことはないのだけれども、考え事をしながらでもそれなりのものが出来上がる様になってきた。手元のミスで失敗していたのはもともとそれなりの数があったので、完成率は上昇しているだろう。


 考えることは当然……と言って良いかはわからないが、イノリのこと。だいぶハードルが高くなってしまったんだよな。


 部長の言うことを信じるならば、少し寿命を伸ばすこと自体は問題ないし、難易度としても俺にもできる範囲なんだろう。問題は、多少寿命を伸ばしたところで意味はない、ということ。同じ問題に直面するし、そのときに同じ手段は使えない。根本的な解決にはならないのだ。


「部長、いわゆる妖怪や悪霊とかって、どういう存在なんですか?」


 何かしらヒントになるような事柄があるかもしれない、と考えて質問してみた。


「そうだねぇ……大抵は獣帯、魔神、妖精……そういったものの違う言い方と言っていいかもしれないね。目撃談のうち、真実であるものの7割くらいはそれで解決する。けれども、まあ3割はそうでもない。例えば付喪神は、獣ではないし、妖精が起こす現象でもないし、魔神のやり方とも違う。科学で考えると脳を持たない奴らがー、なんて話になるけれども。実体のない脳を得た道具だっていうのが俺の理屈。まあその実体のない脳の発生がどこ由来かはわからないんだけれども」


 部長は2枚の術札を作り、それを上に投げる。見えない何かが折り紙をするかのように振る舞い、食器と脳のようななにかを形作った。


「幽霊と言われる何かは、妖精どもが思念の模倣をして、あるいは死の間際の何かしらが魔神との契約として結びついて、再現のような状態になっていることもある。術を無自覚に使ったっていう可能性だってあるけれども、それでもおかしいものはある」


 部長はまた新たに札を作る。よくある『おばけ』のような形に折れて、そのあとバラバラにちぎれてしまった。


「呪われた土地だとかそういうのは、君がここ数日で遭遇した通り妖精とか魔神とか、あるいは何かしらの術が仕掛けられていたとか。こういうのには……全部確認したわけじゃないけれども、俺が知っている範囲では全部理由はわかる。こっちの方には多分例外はないはず」


「……」


 部長の話を聞いている間、手が止まっていた。何か思いつきそうな……でも、一歩足りないような。


「部長。魔神や妖精の行動で、思念の模倣ができる……それって、人の意識をコピーできるってことですか?」


「できなくはない、かな。身代わり人形も似たようなものだし。ああ、厳密にはちょっと違うけれど同一視して問題ない」


「じゃあ、もう一つ……」



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 部長からの答えは、肯定だった。

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