水泳
水着回パート4です。
波の出るプール。ただの水流だけではなく、不意に勢いよく波が押し寄せてくる。浜辺を再現したようなプールサイドが作られている。流石に砂というわけではないが、砂利石を再現したような小さなゴムのシートが敷かれている。
「かなり広いですね。向こう側に行けば深くなっているのもあってか結構海っぽいです。流石に塩水ではないですが」
「そのあたりは……まあ、さすがに難しいんじゃないかな。維持費とかも大変そうだし、海水を運んでこれるほど海が近いわけでもないしね」
「まあ、それっぽい雰囲気を楽しめるなら良いじゃないか? こっちの方は少し人が多いから、はぐれないようにしておかないとな」
「ふむ、では……こうしておきませんと、ですね?」
マツリがそういうと、マツリとイノリが左右から両腕に抱きついてくる。いや、それだと流石に泳げないんだけれども。
「ご主人、はぐれないようにと言ったのはご主人ですよ?」
マツリがからかうように囁いてくる。耳元の至近距離で聞こえる柔らかい声はイケナイ刺激になってしまいそうである。いや、外でこういうことをさせてはいけない。半歩下が……ろうとしたところで、イノリに抱きしめられる。この2人は俺をからかうときに団結するのである。いや、いつものことだけれども。
イノリの方はなにも言わない。ただ笑いかけるだけ。本当に嬉しそうに笑っているなぁ……と、それどころではない。流石に振り払わせてもらってもいいだろう。……はい、振りほどけません。単純にチカラのせいで。2人に抱きつかれる形のまま、泳ぎに向かう。
流石に水に入ったところで離してくれた。
「ご主人、泳ぎを教えてくれませんか? 私たちはまあ……そういう経験がありませんので」
「まあそういうことなら……俺もあんまり泳ぎが上手いわけじゃあないけれども」
ということで……どういうことだろう? とにかく2人に簡単な動きからを教えていくことに。……いや、そういう名目で俺と遊んでいたいのだろうけれども。正直なところ、なにか教えるまでもなく十分に動けるのである。多少波に煽られてバランスを崩しかけるが、そのあたりは俺もそうなってしまうので誤差の範囲だろう。
マツリとイノリの片手を優しく握り、前の方向に動くのを誘導してみる。足の動かし方もかなり綺麗で、そちらに見惚れてしまいそうになる。ぶつかったりしないように後ろ方向に目をやりトレーニングを続ける。
「これでご主人が溺れそうになったときも大丈夫ですかね?」
「ご主人が溺れそうにならないようにしないと……うーん」
2人が同時に手を離し、多少不格好ながらも泳ぎ始める。いや、不格好と言っても俺よりもうまく泳げているような気はするのだけれども。
「ねー、一緒に泳ぎましょー!」
マツリが大きな声で呼びかけてくる。それなりに人がいるので多少騒がしく、それでも響くくらいに大きな声で呼ばれてしまう。そんなふうに呼ばれてしまえば行かない訳にはいかないじゃないか。
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