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滑り台

水着回パート3です。

「さてご主人、せっかく泳ぎに来たわけですけれども」


 マツリがくっついてきている状態のまま、困ったことに、と言わんばかりの表情でこちらを見る。


「ある程度の現代知識があるとは言っても、詳しいところまでは知らないわけです。ヒーロー系やロボット系という概念は知っていても、その内容については殆ど知識がないようなそんな感じがわかりやすいでしょうか。なので……」


「私たちはアレがどんなものか知りたいの。どんな楽しさを私たちに見せてくれるのか、ご主人と一緒に知りたいの。大丈夫かしら?」


「ん、……ああ、あれか」


 マツリが視線を向け、イノリが指差した先にあるのは大きなウォータースライダー。レールチューブがとても太く、単身で滑ることも、大きな浮き輪に乗って滑ることもできる。確か全長200メートル、高低差20メートルという売りになっていて、小さい子複数を同伴できるように、制限体重は結構余裕がある作りになっているみたいだ。一応4人までならば同じ浮き輪に乗っても大丈夫だとか……割と多いのでは?


「よし、滑りに行くか」


 絶叫系は少し苦手なのだけれども、さすがにこのくらいなら怖くないだろう。あえて言うならば怪談の上り下りが多少面倒なくらい……と思ったら、専用のエレベーターがついていた。これはこれで転んだりしないか心配だったのだが、そのあたりは配慮されているみたいだ。


 しかし結構高いな。さすがは20メートルといったところか。転落や落とし物防止のためにしっかりと柵がついている。注意点……身を乗り出さないこと、途中で踏ん張ってとどまらない、などの当たり前な注意点を確認し、下の階層で受け取った浮き輪に乗る。


「せーのっ」


 乗ったあと係員のお姉さんに声をかけてもらい、後ろから押して貰う。


「うぉぁっ、」


「ひゃー!」


「はやーい!!!!」


 三者三様の声が出る。うん、かなり早い。左右にぐるんぐるんと回され、時々トンネルを通り、途中で浮き輪が裏返りそうなほどのカーブを曲がる。ジェットコースターほどの速度はないので、恐怖感よりも爽快感が上回る。2人の手を握り、興奮を共に感じようとしてしまう。


 勢い良く水面に到着……なんてことはなく、勢いに反して丁寧に着水……着水でいいのだろうか? とにかくプールに到達した。


「すごいですねこれ……自分で自由に動くのとは全然違います」


「正直なところ、癖になっちゃいそう。……ご主人、もう1回一緒に行かない?」


「ん、じゃあ一緒に行こうか。マツリは?」


「一緒に行きますよー? イノリさえ良ければですけど」


「ん、いっしょに」


 なんだかその瞬間は、いつもよりも表情や仕草が幼いような感じがした。とは言っても勘違いかもしれないけれども。


 その後2人に交互に頼まれせがまれて、合計で4回も滑ることになった。泳ぐ前に沢山叫んでしまい少し疲れてしまったが、2人が楽しんでくれているので何よりだと思う。移動は少し大変だったけれども、2人が楽しんでいる様子を堪能することができて、すぐにでも疲れが消えてしまいそうだった。


「こんどはあっち……波の出るプール、ですかね?」


 マツリが指差す先は不定期な大きさの大波を起こし、海のような波を再現してあるコーナー。そちらに興味を持ったようだ。サーフボードを使うこともできるエリアもあるが、そちらは2人ともあまり気にしていないようだ。


「浜辺も再現されてますね。こうなってるなら、海に行くほどは疲れないけれども……って感じですかね?」


「水の危険はあるけれども、見た感じ海ほど危険じゃなさそうだしね。変な生き物も獣もいなさそうだし」


 今度は2人に催促されつつそちらに向かうことになった。

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