用意
水着回パート0です。
「ご主人、海かどこかに泳ぎに行きませんか?」
「多少暑くなってきたよなぁ。とはいえ、移動が少し厄介なんだよな」
「少し遠いところに行くなら私も泳げるわね。とはいえ天気が多少暑くなってもこの時期に海は多少寒いかもしれないし……室内プールとか、このあたりになかったかしら」
「ああ、そういう場所なら……まあ多少遠くても、移動費用には困らなくなったしな」
部長から貰ったバイト代は、予想以上に大きいものだった。なんでも特別報酬とかなんとかで、労働時間の他に20万ほど追加で貰ってしまった。現金の入っている封筒があまりに重く、自分では無くしてしまいそうなのでマツリに預けて持ち帰ってきたところだ。ちなみに胸の谷間に隠すとかそういうことをされてしまって、誰かが迂闊に手を伸ばすことができない状態であった。
「まあ金額的には海に行ったりなにかを買ったりする余裕はあるわけだけれども、泳いで疲れたまま帰るのに、少し距離があると色々と怖い」
部長に車を出してもらうのも期待できないだろう。というか理由がないし。幸いにして電車でいくつか駅を移動した場所に屋内レジャープールがあるので、そこに行こうということになった。
「まあ行くにしても水着が必要か。二人のぶんは……」
「前に服を買ってもらった時、実は一緒に買ってもらってたのよね」
「いつの間に……」
「ちょっとイノリ、私も気づいていなかったんですけど?」
「ふふん、まあサイズの方は把握してるから問題ないじゃない? 金額はご主人が納得していたのだったし」
「いやまあ服の金額なんて知らないだけっていうのもあるんだけど」
「時期的にだいぶ安くなってたわ。というか逆に見つけにくかったわ」
「あの時期の服屋に水着はそうそう無いんじゃないかなぁ……まあそれはそれとして、俺の水着も見つけたら行くことはできるってことか」
「そっちは見つけてますよ。パーカー風の上に着る水着もセットで見つけてます」
そのあたり見つけていたが故の提案だったのだろうか。ともあれお膳立てされてしまったし、行きたいといわれたのだから行く以外の選択肢は存在していない。
「よし、じゃあ明日行こうか。今日は今からだと遅い時間になるし、ちょうど明日は休日でもあるし」
「はぁい、楽しみにしてますね?」
「私も外で普通のサイズに戻れるのはちょっと楽しみかも。嫌だったわけじゃないけれど、少し息苦しいのはあったしね」
明日のためにカバンとかを用意しておかなければ。そういえば、そのあたりのものは見つけているんだろうか……? マツリの方を見る。水着を見つけたというのはカバンごと見つけたということで良かったらしい。
イノリが持ち出してきた、こっそり購入荷物に混ざっていた水着が見える。……いや、それは結構小さいんじゃないだろうか? 外ではあんまり露出を控えめにしてほしいなぁ、と思うのだけれど。
「そのあたりは大丈夫よ? これだけしか布がない訳じゃないから。それに、私たちだってご主人以外に肌を見せたい訳じゃないのよ。ご主人に水着姿を見せたい、それで泳いでるところを見せたい……まあそんな感じ?」
準備作業を中断したイノリに横に座られて、そのまま頭を抱きしめられた。抵抗できるはずもなく無防備なまま撫でられた。なんだかいろいろと溶けてしまいそうだ。
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