恣意
「ご主人って細かいところで運が悪いような気がしません?」
「確かに、マツリと最初に遭遇した時がそもそも巻き込まれもらい事故みたいな所あるからなぁ」
「まあアレで生きているし、あの時には私はいないけれども私達と出会えてるし、完全に運が悪いだけっていうことは無いとは思うけれどね」
自分たちと出会えたことは運が良い、と主張するイノリ。実際そうだとは思うけれども、そんなふうに自信満々に言われてしまうと揶揄ってしまいたくなる。
「でもイノリ、あの時にはご主人と会えていないじゃないですか?」
「ちょっと、そこに引っかかるの?」
マツリの方が先にイノリにツッコミを入れた。イノリはむすっとした顔をしているがこっちに抱きついてくるあたり、本気で嫌だと思って言っているわけではなさそうだ。
「まあそのあたりは置いといて。映画のチョイスとかドラマのチョイスとか、ですよ。さっきの狐のやつも、なんだか実質打ち切りみたいな内容だったじゃないですか」
「ファンタジー系のドラマの方も似たような感じよね。でもちょっと外れ率高くないかしら?『先輩』とか『部長』とか、対人関係もちょっとおかしなものになってるような気がするし」
「いや、誕生日で奢ってくれた友人もいるからそんなおかしな人ばかりでは……」
マツリとイノリもおかしい方に分類してもいいのだろうか。そうすると少し話が変わってくるのだが。
「んー? まあ私達はどちらかというとおかしい方かもしれないけれどね。押しかけ女房じみたことをこの時代にやっているし、そもそも人外なのだし。それにほら、出会い方だって普通のものじゃないしね」
ということは主要な交友関係の7割くらいがおかしいものになってしまうのだろうか……?
「その飲み会のご友人とやらがもし普通じゃない感じだったらどうします?」
「そうねぇ、もし人外だったら……」
「やめてくれやめてくれ、そんなことはあまり考えたくない」
「冗談ですよ。もし妖精とか魔神とかに干渉されているような人ならともかく、獣帯や職業術士みたいな人なんてなかなか居るものじゃないですから」
「マツリ、私そういうのなんていうか知ってるわ。フラグっていうのよ」
まあ実際にそうであることはないと信じたい。もしそうだったらもういろいろ悲しいことになりそうだし、俺も最初からそういった人外側であった可能性が出てきてしまうような気がする。
「それにご主人、妖精に結構好かれてるみたいだし? 魔神の方は全然見かけないからこれはちょっと極端すぎるような気もするわ」
「ん、そうなのか?」
「まあ確かに……魔神と妖精は、お互いに存在を認知できませんから。だから可能性としては同じ場所に存在している可能性もありますし、両方ともがいっぺんに何かをしてきた結果、作用のほうが干渉して、結果としてなにも起こらないっていう可能性があるのですけれど……ここまで気配皆無だと、妖精に好かれてる、魔神に嫌われてる……あるいは、やっぱり作為的なものがあるのかもしれません」
「誰かになにかを仕掛けられている可能性があるっていうことかな?」
「そうそう。ご主人は心当たりあるかしら?」
「いや、ないです……」
思わず敬語っぽくなってしまったけれども、そういったものに関する知識とかは殆ど存在していないのだ。小さい頃に仏像や地蔵を壊したなんてエピソードもないし、誰かに恨まれるようなこともない……はず。いや、俺が気づいていない、覚えていないだけでもしかしたら恨まれたりはあるかもだけど。
「うーん、もし昔から恨まれてるとかだったら、この程度ではないから今回の件に関しては気にしなくてもいいと思う。というかアレね、ご主人の運が良くないのはどうしてか妖精の干渉が多いから……なのかしら?」
「映画のセンスが悪いのも妖精のせいか……」
「いや、それは流石に無関係だと思いますよ」
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