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眩しい

「さてご主人、お疲れのところ申し訳ないのですが」


 マツリはいつの間にか、再び俺の顔を覆うようにしながらささやきかけてきた。もう何も言うまい。少しばかり大きな声を出しすぎてしまったので頷いて返事代わりにする。柔らかい肉が顔に当たり、思考がまともに働いていないような気がする。


 少しの時間が経過するごとに、マツリとイノリが顔近くに来たり足元に来たり……まあいろいろ何とも言えない状態になった。身体中の水分が抜かれるんじゃないかってくらいにやられたが、2人からいろいろ供給されたのでそうなることはなかった。それが幸か不幸かはわからないけど。


「正直まだまだ遊びたい気持ちはあるんですが、それは置いといて。朝ごはんの時間なので、服を着ましょうね」


 シャワーを浴びたりはできないまま全身をタオルで拭かれたあと、そのまま身体を起こされ、食卓に誘導された。


 ここ何日か、ずっと引っ張られているような気がする。いや、マツリが来てからずっとそうだっただろうか? ここ数日は印象に残ることが多かったってことだろうか。


「夜通しずっと遊んでいただいたので、今日の朝食は昨日の本来の夕食がそのまま流用されている形になります。多少油が多いかもしれませんが、気にしないでくださいね」


 とはいうものの、そんなに脂っぽいものはなかった。昨日のうちに、夕飯は少なめでもいいと言っておいたことで許されていた感がある。


「ご主人のこと甘やかしちゃっていいの?」


「大丈夫大丈夫、まだまだ遊んでもらうんだから、少しくらいは飴をあげないと」


 2人の話し声が聞こえてきたが、もう知らないふりをする。2人はメイドだけれども、なんだかんだで僕は……じゃない、俺は逆らうことができないのだ。逆らえていないで好き放題にされているときは『僕』でいいのかもしれないが。


「ご主人、変なこと考えてますね。フィルターかからずに垂れ流し状態ですよ」


 思考が駄々洩れであったようだ。2人の思考が漏れてきたことはあんまりないので、単純に意識しておくしか対処する方法はないのだろう。


「私達としては聞かれたところで問題はないような気もするのですが」


「わ、私は問題あるわ。正直に言うと似てる思考だから、これを聞かれて大丈夫だと言えるマツリは肝が据わりすぎていると思うの」


「簡単に言ってしまうと四六時中ご主人への愛を叫び続けてますよっていうやつです」


「え、あー、これ私も言わなきゃいけない感じなの? 言わないわよ、8割程度一致していたとしても、言うほうが恥ずかしいに決まってるんだから」


 イノリの考えている内容を知ることはできなかった。そのうち暴いてみるチャンスはあるのだろうか。


「ご主人、乙女の秘密を暴こうと考えちゃだめよ。思考云々じゃなくて表情に出てるから」


「おっと、失礼」


 大体一緒っていう事はまあ好き好き言ってくれているのだろう。そういう風に期待しておく。


「さ、そんなことはいいから早く食べちゃって。冷めちゃうんだから」


 朝食はカボチャのポタージュと薄焼きのハンバーグ、それからトースト。


「このポタージュってもしかして、裏ごしするところから作った?」


 かなり濃い感じがしたのでなんとなくそんな気がした。


「はい、さすがにカボチャまるごとは時間もかかりそうだったのでブロックカットしてあるものを購入しましたが」


 最近は食費が気になるところである。いいものを作ってもらっているのだから、当然それなりに金額はかかっているのだろうし。


「あ、そのあたりは気にしないでください? 特売を活用できていますので」


 ご主人が適当に買い物しているよりは安くなっていると思いますよ? と揶揄うように言われた。まあそうかもしれないけれど、


「今夜はちょっと仕返ししてあげたいかも」


「おや、じゃあ2人で期待していますね?」

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