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愛い

 早朝。別に寝かせてもらえない状態ではなかったけれども、挟まれた状態では若干息が苦しく、眠りが多少浅い状態だった。ただ挟まれたままで、体温とか柔らかさとかを感じて、起きてもすぐに二度寝できてしまった。


 何度目か分からない寝落ちから目覚め、そろそろ活動するべきかどうか、と考えて時計を見ると、午前の10時半。学校からの連絡フォームでは、3日後に授業を再開できると全体告知に掲載されていた。意図せず2日の休みが生まれてしまった訳で、部長が言っていた3日というのは丁度いい時間になってしまった。


「リモート授業にならないかなぁ」


 登下校の距離は結構大変なのである。駅から大学までが結構遠い……なんて考えながら画面を眺めていていたら、部長からショートメールが届いた。12時前に迎えに行くから準備しておくように、という内容だった。まあ大体1時間半……よりも少し短いくらいか。食事と身支度を済ませればいいから、もう少しはこのままでいられそうだ。


 身体を動かし、2人の柔らかさに挟まれたまま……いや、これ起き上がれないな。手をつくスペースがない。手を動かしてぶつかるのがイノリの胸なので、マツリもイノリも起きていないことを望むしかない。


「んっ……」


 ちょっとぶつかっただけで艶めかしい声が聞こえてくる。違う意味で起きられなくなってしまうかもしれないが、何とか抜け出そうと……マツリがしっかり捕まえてきた。が、イノリの胸に触ったことを咎めることではないようだ。


「ご主人、少しの間こうしていたいのですが大丈夫ですよね?」


 マツリがこうやって、強い言い方で希望を出すのは珍しい。ので、返事は言葉ではなくそのまま抱きしめてやる。マツリの頭を抱きしめるように、撫でるように。


 俺の胸元に、マツリが顔を押し付けてくる。腹部に胸も当たり、いろいろとよろしくないんじゃないだろうか、と思ってしまう。


「はー……ご主人成分補給」


「変態みたいなことを言うのはやめなさい」


 ぺし、と額に軽くチョップする。


「あぅ。とりあえず、おはようございます。今日はどうしましょう?」


 メイド服が多少はだけたままのマツリがそう問いかけてくる。イノリは俺の足につかまり、眠っているのか起きているのか少し判別がつきにくい。顔を背けているので、多分起きているのだろう。まあ振り払わなくても大丈夫。


「とりあえず、部長のバイトには俺だけ向かうよ。大丈夫だから、さ」


「そうですか? まああの人、というかあそこは苦手ですし……おねがいします、ね」


「んむ、任された。少し遅いけど朝ごはんにしちゃおうか」


「そうしましょう。夕飯の残りがありますから、また温めなおしますね。と、前もって準備できてなくてごめんなさい、先に身支度をしておいて貰っても?」


「ん、ああ大丈夫だ、着替えや歯磨きくらいは1人で」


「あ……そっちは私が手伝うわ」


「おはよう、じゃあよろしくお願いしますね?」


「はいはーい」


「なんだかあまりにも過保護にされているような気がしなくもない」


「メイドなんて好きに使ってもどうってことないんですよ。それに私達が好きでやってることなんですし、気にしなくていいんじゃないです?」


「そういうものかなぁ」


 そう言いながらも起こされ、手を引かれ連れていかれることを受け入れてしまう。なんだか昔の貴族がこんな扱いをされていそうだ、と頭をよぎった。


「さすがに歯磨きの世話をしてもらうわけには……んっ」


 完全に不意打ちな形でイノリにキスをされた。マツリよりも低い身長で背伸びをして、唇を触れさせるために俺の頭を抱き寄せている。歯がぶつからないように優しく押さえられ、そのまま数秒の間、舌を差し込まれこちらの歯や舌を舐められる。そのあとに首筋にもしっかりとキスをされた。


「ぷぁ……うーん、なんだか不思議な感じ。こういうのって抜け駆けになるのかしら」


 動揺というほどではないけれども、驚きで声が出なかった。そのまま気にしないように、と言わんばかりの態度で歯ブラシを握らされ、イノリは洗濯の準備を始めていた。


「マツリに内緒にしなくてもいいのよ、ご主人。帰ってきたら2人で遊んでもらうんだから。今日1日、あの『先輩』とマツリが苦手に思ってる『部長』とやらに対するマーキングみたいなものよ。術じゃないけど、アピールにはなるんじゃないかな」


 鏡を確認すると、しっかりとキスマークをつけられていた。……マーキングってそういうことか。先輩には効果があるかもしれないけど、部長はそうでもなさそうだ。


 歯磨きから戻ったら、マツリにも同じことをされた。


「イノリばっかりずるいですよ。私だってご主人のことが好きなんですから」


 面と向かってそういわれると、やはり恥ずかしいものである。悪い気はしないのだけれども。


 部長が迎えに来るまではまだ時間があるので、2人ともにたっぷりとキスしてあげた。

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