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衰退

 ブルーレイだかDVDだかの再生をまるまる1時間見続けて、そのあとに指導に倣い最初に護身札の作り方を教わった。


「妖精と魔神に対する護身は大まかに2通り。まずは見つからないように仕向けることと、次に攻撃をかわすこと。俺は『衰光』と『退撃』と呼んでいる。爺さんは違う呼び方していたけど何だったかな……ヨソでは、というか他のこういう流派や宗派でもなんて言ってるか分からない。たぶん直接の師弟関係じゃないと通じないと思うし、皆も好きに呼ぶのが良いと思う」


 身も蓋もない。部長の手元を見ると……切り取って使うタイプのメモ帳のページに、雑にしか見えない文字と記号を記し、そのまま雑にページを取り……そしてそのまま完成。これを真似しろと。


「持たせる言葉はどんな行動を望むかっていうので、特定の文字を刻む訳じゃない。とはいえ、同じ効果を望むなら同じ文字列になることは多い」


 部長は『反』と『逸』の2種類の紙を用意する。その文字に半分重ねるように、恐ろしく正確な円をフリーハンドで描く。


「とりあえず、これができれば即座に危険になるってことはないんじゃないかな」


 効果テスト用の術札を部長が用意する。これも手作りなようで、もし視線を『阻止』できているならば、作った札が緑色に染まるようだ。


「妖精の視線も再現できる、なんてあなたいったい何者なんですか……?」


「魔神のほうも再現できるよ。まあなんというか、獣帯や人間なら魔神も妖精もいくらでも対処できるんだ。時間がかかるかどうか、どれだけ効率化できるか、効果の増減、逆に攻撃したり……このあたりは経験努力才能、あらゆるものの総合能力に関わるけど、結果としてどうにでもなる」


「いやいや、そうは言っても……」


「そうでもないよ、実際にできてる訳だし。対照的に、獣帯はどうにもできない。比喩じゃなくてね。術式経由でならどうにかなるかもしれないけれど、少なくとも俺からじゃどうにもならない。あと30年くらい修行すればいけるかなとは思っているけど、そこまで本気でやる必要になるのって言ったら狐とか蛇とかあたりくらいじゃないかな」


「それだけ知識がある時点で十分おかしいと思いますよ」


 マツリが突っ込みを入れる。が、部長はそんなことない、と言わんばかりに手を振る。視線は再び手元に向かう。


「そういえば先輩は……」


 ずっと黙ってるままだ。こういうのは少し珍しいと思い先輩のほうを見る。


「はーっ……」


 深呼吸のような吐息を漏らしていることに気付いた。右肩から2本の蟲の腕を伸ばし、人の腕と合わせた3本を使い練習している。発動確率は2割といったところだろうか。適当に握り潰された紙屑が机と床に散らばっている。


 さて、俺の成果はといえば……製作数は少ないけれど、3割くらいは成功している。……と思ったら失敗している。……こともない? 今失敗だと思った紙を何枚か握りつぶす。すると、濃い緑色へと変色した。


「発動に破壊が必要なものか……どういう書き方してるのかな?」


 部長がこちらの書き込んだ紙を広げて確認する。


「んー、こういう癖か。まあ潰して確実に働くんならそれでいいと思うよ」


 そっちの方面でつきっきりの教習を受けることになった。同時にマツリも先輩も、何かしらの指導を受けていたみたいだけれども、正直自分のことで手一杯だった。


 あっという間に時間が経ち、なんとかモノにすることができたのだった。

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