買いたい
ちょっとだけ短く。
翌朝。正直なところいろいろな懸念をしていたのだが、寝ている間にいろいろな失態を犯してしまうことはなかったようで、一安心である。
「おはようございます、ご主人」
「あ、起きた? おはよう、ご主人」
マツリとイノリが声をかけてくる。こちらが起きる少し前から朝食の盛り付けをしていた様で、良い匂いが漂ってくる。
「あー、今日は休みか」
夜中に目を覚ましたせいだろうか。10時という中途半端な時間に目を覚ましたが、携帯電話に表示されている日付を確認して、特に問題ないと分かった。
「あら、じゃあ今日のご予定はない感じですか?」
マツリは作業を続けたままこちらに聞いてくる。
「そう、だからこのまま休んでいても良いんだけど」
マツリが来るまではほぼ万年床状態だった布団に再び寝転がる。ここ数日は一気にいろいろな事があったから休みたいと考えていたし、幸運にもレポートの提出や遊びの誘いはない。
サークルの参加要請は休み明けに行けば良いと考えて無視しているが、あまりしつこく言ってくるようになるならば参加しておこう。先輩の方に休み明けに行くと連絡しておけば問題ないはず。
パソコンやゲームをやっても良いのだが、マツリとイノリと3人で出来ることの方が良いよな?
と、そうだ。
「マツリ、イノリ。少ししたら、どこかに遊びに行かないか?」
不意に思いついた事ではあるが、悪くない提案なんじゃないだろうか。問題としては、2人が喜びそうな出かけ先が思いつかない事であるか。
「あら、ご主人……それは、それは。私達とデートしたい、って事かしら?」
イノリがからかうように、嬉しそうにこちらに言ってくれる。
「まあ、そうなるな?」
「命令じゃなくておねだりするなんて、ご主人もなかなかですねぇ」
マツリもそんな風に告げてくる。なにがなかなかなのかはよくわからないが、ダメだったらその時また別の事を考えようと思っていた訳で、嫌な思いをさせたくなかったというのがある。
「気が大きいのか小心者なのかわかりませんね、ご主人は」
「いやいや、小心者だよ。断られたらどうしようかと思っていたし」
嘘ではない。その時は仕方なかったと諦める他ないだろうけど。
「ご主人から何かしらに誘ってくれるというのは、私達にとってはわりと嬉しいことなんですよ? きっと、ご主人が想像しているよりも」
「そうね、そうと決まったら……朝食を終わらせて身支度したら、出発しちゃいましょう?」
2人に急かされるように言われてしまった。
***
どこに行くかは決めていなかったが、あまり大きな街でもない。電車で移動して買い物や食事を、と考えていたのだが。
「ご主人、欲しいものがあるのです」
「そうね、私も欲しいと思うものが……代金は、いつか返せると思うから」
「あんまり高いものでなければ、そんなに気にしなくて良いけど?」
「食料品の相場はなんとなく分かっていますけど、そういったモノのほうはイマイチよく分かってないんですよね。もしかしたら高価な可能性も……」
「そのあたりは買うときに判断すればいいかな。というか、相場に関してはネット通販とかで確認できるから、調べるためにパソコンを使ってもいいけど」
「じゃあ、そうさせてもらいます!」
そういう会話があった後マツリとイノリはパソコンを弄っていたのだが、あまり時間はかからなかったようだ。
「2人分必要だから倍、という訳ではないけれど。モノによっては複数必要ですよね」
「それでも合計1万円行かない程度じゃないか。ぜんぜん問題ないよ」
携帯のゲームへの課金と同程度で2人が満足してくれるならば、かなり有意義な使い道であろう。
買うものは百貨店にでもありそうだったので向かうことに。2人がなにを欲しがっていたかというと、彫刻刀。木彫をやりたいと前からいっていたため、同時に木材も購入することに。
普通の女の子の趣味とかは分からないけれど、2人とも普通の女の子じゃないからな……なんて考えていたら、2人から追加の申し出があった。
「私達の服と水着を選んで欲しいんです。大丈夫ですか?」
財布の他に理性の心配もしないといけないようだ。
次回投稿は来週月曜日の朝7時予定です。
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