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大きい

書きたいままに書くパート

 マツリがなんだか積極的なような気がする。メイドというのは主人に仕える者、というものを過激な意味で勘違いしているのかもしれない。服装がメイドだからといって、そんなことをしなくても良いと思うのだが。


「格好は趣味ですし、ご奉仕も趣味ですから? まーぁウブなご主人には過激かもしれませんけどね」


 やんわりと断ったところ、ひたすらに煽られた。ちくしょう。こういう場合、どう対応するのが正解なんだろうか。先輩や級友に聞くのもアリ……いや無いな。


 親戚と誤魔化すにしても、それ以外のされている事に関しては隠す言い回しが考えつかない。


 からかわれている、と言ってもその内容も聞かれるだろうし、異性と同居していると言ったら、野郎どもはその場でからかったり不満アピールするだろうし、先輩は苛立ちをぶつけてくるかもしれない。


 簡単に言うと相談する相手がいない。


 マツリにそういうことをされるのが嫌だという訳では無いのだが、理性がいつまでまともでいられるか分からない。


「別に理性なんて捨てちゃってもいいんじゃーないですか? 大きい方だって、『そういうこと』を望んでない訳じゃないと思いますし」


 ちびマツリになら相談できるかと思いもしたが、筒抜けだしそもそも止めるつもりもないようだ。こちらが暴走しても止めないし、マツリが弄り続けてもそのままなのだろう。


***


 そういうことで、抵抗することも出来ず膝枕をされている。


 前にされた時は意識が朦朧としてはっきり認識できていなかったが、メイド服越しの胸がアイマスクになっている。


 理性の残りゲージが減っていく感覚がするが、マツリとしてはどちらに転んでも良いのかもしれない。


 マツリがどちらでも良いと思っているのならば、俺がしたいと思っていることをしても良いのでは? しかし、それに任せてしまえば、またからかわれる事になるかもしれない。


 からかわれずに対応するには、意表を突く必要があって……つまり、マツリが仕掛けてこない時に、こちらから不意打ちのようにしてしまえばいいのだ。


 不意打ちと言っても、性的なことをする訳じゃない。だったら問題ないはずだ。


 とりあえず今は、頭を上下から挟むような柔らかい感触を味わいつつも我慢して、眠りの方に身を任せれば良い。


 幸いなのか不幸なのか、体力がまだ戻りきっていないために、このまま眠りにつく事ができそうだ。


 考え事のまとまりがつかなくなってきて、そのまま俺の意識は眠りに落ちた。


***


「寝ました、ね?」


 大きい方がご主人の肩や頬を撫でながら確認する。


「あなたはそれでいいんですか?」


 膝枕の状態から起こさずに抜けるのは多分難しいと思うのだけれども。


「ご主人が寝返りをうつまで起きていればいい話ですし。それよりも……」


 大きい方は、大きく溜息を吐いた。


「無事に解決できて、良かった」


「誰も怪我なく済みましたしね。妖精からは恨みを買ったかもしれませんが、青蛇の方にも向かっているでしょうし、当分はなにもないでしょう」


「あいつらに恨みなんて感情があれば、ですけど」


 暗くてよく見えないが、大きい方は涙目になりながらご主人の頬を撫でる。


「無事で、良かった」


 解決してからさっきまでの間、ご主人をからかい通していたのは、一番の不安が解消したことから来る安堵感の裏返しだったのだろう。


 大きい方は、メイドである以上ご主人の前では気丈に振る舞うべきだ、という考えをしていたみたいだ。だったら、それをわざわざご主人に伝えるような事はしない。


 隠したい本心まで暴くような事は滅多にしない。


「あなたはこの関係で良かったんですか?」


 私は式神として作られた。だからその時の記憶は持っているけど、その時の感情まで写し込まれた訳じゃない。


「きっかけこそ大変なものでしたけど。こっちの方が楽しいというのは本当ですし? ただ、未練が皆無かと聞かれると……うーん? どうなんでしょう。向こうは私のことをもう仲間とは扱えないでしょうし」


 未練なんてあってもなくてもできる事は変わりません、と大きい方は言ってきた。


 作られた時の『記憶』にあるよりも楽しそうではあるので、問題はないのだろう。


「ご主人が寝返りをうつまで、暫く時間があるでしょうし。朝食の準備は私が先に始めておきますよ、姉さん」


 少しからかうつもりで、大きい方にそう言ってみた。


 うん、ちょっと失敗したかもしれない。物凄い視線と、だらしないと言っても差し支えない様な笑い声が聞こえてきた。


 私は自分からアレの妹になってしまった訳だ。


 でもまあ、これで少しくらいは『姉さん』の未練が解決できればいいのだけど。でも、『お姉さん面』されるのは少し避けておきたいな。


 ご主人が動いたような、布ずれの音が聞こえた。私達2人は一緒に、明日の朝食の準備を始めた。


 姉さんは、眠らなくても大丈夫なのだろうか。戦闘もしたし、不安がって付きっきりだったが……チラリと表情を覗き見たが、問題なさそうだった。


 休める時に休んでくださいね?

次回投稿は来週金曜日の朝予定です。


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