第3話 進路(1)
季節は二度めぐり、中学3年の春を迎えた。義務教育最後のクラス替えである。言い換えれば、このクラスが静かか騒がしいかで進路の一割は決まるようなものだ。僕は行く高校をほぼ決めており、2年の時の担任からは合格圏内、のお墨付きなので特に気にしなかったが・・・。それでもクラスメイトは気になる。「えーと、3組か。」3組、と書かれたクラス名簿を見ていると見覚えのない苗字が目に入った。「因幡 宇宙」・・・。すぐにあいつの顔が浮かんだ。しかし、同名の別人かもな、そう思っていると同じクラスになる子が「おー、3組は30人もいるのか」と言い出した。え、僕が見たときは31番まであったぞ、そう思って改めて名簿を見る。確かに一番最後は「三一」と書いていた。そのことを突っ込むと、「何言ってんの、31なんてどこにもないじゃん。」この時、僕はわかった。宇宙はここに転校したのだと-転校前の学校はわからなかったが-
クラスに入ると、透明の椅子と机に透明の宇宙がいた。ここで驚いたら変人と言われる。とりあえず放課後、トイレに来てくれ、と怪しまれないように言いつけた。やはり宇宙も、学籍がないのは些か嫌だったのだろうか。そう思っていると、新しい担任の先生が入ってきた。見るからに熱血で、いじめダメ、ゼッタイをモットーにしてるような先生だった。それなら普通に会話しようかな。そう思っていると、始業式開始のお知らせが校内に流れた。とりあえず番号順に並べ、ということで真ん中よりはやや右側に並ぶ。宇宙は、と思って探すと一番前にいた。そりゃ、「い」なば、だしな。しかしほかの人にはそう見えない。それを思うと笑いがうっすらこみ上げてきた。




