第2話 修学旅行(1)
やがて季節は秋になり、修学旅行の時期となった。僕たちの学校は長崎に行くようだ。自由時間も多少は設けられているようだ。みんなは友人と一緒に長崎の中華街を回るだの、駅前にあるデパートで遊ぶだの、色々語っていた。しかし僕はいつもこういう話題に取り残され、1人ぼっちになる。だからこそ、会話ができた。「宇宙、修学旅行についてくるか?」宇宙は少し迷ったが、純と2人っきりになれるなら、という条件のもとについていくことになった。ただし、24時間ずっと2人っきりじゃないぞ、とは釘を刺しておいた。
問題は何処へ行くか、だ。いくら自由時間といえど、完全に自由にされては先生たちも監督のしようがない。そこで、どこどこに行きます、というのを出さないといけないのだがその「何処に行くか」が決まらない。宇宙に会う前に調べてはいるのだが、それでもいいな、と思う場所がないのだ。かといって、解散地近くにある公園で2人っきりでの会話(というか独り言)は甚だ怪しい。しかも3時間もあるのだ。地元の人たちも怪しむだろう。すると、宇宙が言った。「純、平和公園、って知ってるか。」知ってるもなにも、日本国民である。知らない方が国民として疑う。「そこはな、俺の思い出の地なんだ。」そう言われ、改めて調べてみる。片道10分もあれば着く。「じゃあ、そこにしようか」僕がそう言うと、2つ返事で頷いた。実際は前日に原爆資料館に行くので違和感はあるが、先生には「もう1回、1人で学びたいんです」と無理やり説得し、許可をもらった。




