第1話 出会い(2)
いや、立っていた、というのも些かおかしい。なんせ、そいつは透明だったのだから。それだけに通行人は何もないところに頭を下げている自分を変な眼差しで見ていた。「僕は、そら。宇宙の宇に、宇宙の宙と書いて宇宙。簡単に言えば宇宙人さ。」その一言が信じられない。想像していた通りの姿かたちだったのだ。ぽかん、としているとそいつ-宇宙-は消えた。気のせいだったのかもしれない。ふと空を見上げると月が出ていた。いつの間にか夕焼けは姿を消し、夜になっていたようだ。急いで自転車に乗り、家に戻る。流星群のことより、さっきのことを気にしつつ。
家に戻ると見慣れない靴が玄関にあった。ただいまの言葉も言わずに僕は「誰か来てるの?」と聞いた。すると母親は「誰もいないわよ」と嘲笑った。え、だって玄関に。そう言いかけた時、僕の部屋から物音がした。ダッシュで部屋に行くと、そこには数分前に見覚えのある顔がいた。「おお、純、勝手に上がったよ」勝手もなにもあるか!殴ろうとし、拳を出したとき。「あ」と宇宙が叫んだ。ふと空を見ると流星群があった。お願いしようにも願い事が多すぎる。まずはこの、宇宙、とか言う子をどうにかしないと。しかしそれを願う前に消え去った。あーあ、と思いながら、改めて拳を作り、殴る。しかし何も起きなかった。正確に言えば拳は宇宙の服、皮膚を貫通した。「透明だから殴っても意味ないよ。会話するだけ。まぁ多少のコミュニケーションは出来るけどね。」そのまま宇宙は家にいた。夜寝る時間になっても帰らなかったのだから至極当然だろう。




