第9話 クリスマス(1)
出会ってから8年、22歳になった。宇宙は当然の如く、1人者だった。しかし僕はといえば、会社の後輩に恋をし、それが実って、オツキアイというものをしていた。22年の人生の中で初めてだ。両親にも自慢し、宇宙にも自慢した。両親は結婚を前提にしているのかと聞かれた。そうか、結婚か。もし結婚するとなったら宇宙はどうしたらいいだろう。連れて行くことはできないわけではない。しかしそんな夫はどうだろう。日中、壁とかに話しかけている。そんなのは不気味としか言い様がない。仮に奥さんの立場だったら、旦那がそんなことをしてたら引くだろう。しかし宇宙が他の人に見えるようになる方法は誰も知らない。それこそ諦めるか、正直に話すか。迷ったが、結婚はまだまだ先延ばしにすることにした。いくら生身の人間とはいえ、すぐすぐは逃げるまい。もし逃げるようならそれは偽りの恋だ。
12月。年の瀬も近く、仕事が忙しくなっていた。いつもより1時間早く出勤し、1時間残業は当たり前。日付が変わる瞬間を会社で迎えたこともあった。そんなある日、彼女からデートの誘いが来た。日付は25日。クリスマス、とかいう日だ。昔はそれこそ起きたら枕元にプレゼントがあって、サンタさんの存在を信じていた。しかしいつからかそれがなくなり、サンタさんの正体を知るようになって、12月25日は1年の終わりが近い日、という感じにしか思ってなかった。宇宙もそんな感じの概念だったらしい。問題は宇宙を連れて行くか、だ。別に邪魔になるわけではない。そこで僕は、判断は本人に任せた。




