第8話 飲み会(3)
朝、起きると宇宙はいなかった。帰ったのかな・・・と思って机の上をとりあえず見た。そこには「純へ 昨日は楽しかった 宇宙が恋しくなった でも帰りたい 帰れない とりあえず散歩してくる」とあった。なんだ、と安堵すると宇宙が帰ってきた。「おお、丁度だったな。ちょっと冷えるけど、一緒に歩かないか」宇宙が誘ったのでひっそりと家を抜け出す。確かに外は冷える。しかしそれを癒すようにマーガレットが咲き誇っていた。ふと、疑問に思ったことを聞いた。「帰りたい 帰れない、ってさ。なぜなんだ。僕と別れたくないのか」宇宙は黙っていた。僕もそれ以上詮索しなかった。なんだか深読みしたらいけない気がした。しかし本当は良かったのだ。というのも、宇宙が聞き返してきたからだ。「もし、今、いじめられて、転勤して、やっぱり純がいなかったら仕事にならないから帰ってきてくれと言われたらどうするよ」今度は僕が黙ってしまった。しかし答えは見つかった。
「いじめた奴らがいるなら戻りたくないかな。」そっか、と宇宙が返し、また沈黙。合っているのか合っていないのか。それすらわからなかった。黙っていると冬の寒さが身にしみる。そうして家の周りをぶらぶらし、家に戻ってきた時には8時頃になっていた。朝食を食べ、仕事へと向かう。当然、宇宙も一緒の職場だ。いつものように2人、笑顔で出社する。しかし最近、なんだか嫌な予感がしていた。いつかこの生活が崩れるんじゃないかと。自分が死ぬか宇宙が死ぬか。どちらにせよ、崩れる気はしていた。それは宇宙もだったのだろう。だからこそ、死んだらとかを語っているのだろう。そうとしか思えなかった自分が辛かった。




