第8話 飲み会(2)
つまみを頼み、酒を頼み、それが全て運ばれる。いつものごはんより豪華に見えてきた。それはそれでいいだろう。そのほうが会も盛り上がるってもんだ。とりあえず、乾杯。宇宙はさっきの店の分までと言わんばかりにがっと飲んだ。僕も釣られるように飲む。そしてつまみを食べつつ、宇宙は話を始めた。「6年か」「そうだな」そうだな、と言っておきながら心の中では動揺していた。初めて出会って、もうそんなになるのか。「季節は幾度となくめぐるけど、俺らの出会いもめぐりめぐったものかもなあ」僕が枝豆の中身を取りながらしゃべる。宇宙も板わさを食べながら「そうだよなあ。変な話、純じゃなかったらここまで地球に入れたかなあ」と語る。宇宙人時代の仲間との交流はしていないそうで、自分の住んでいた星がどうなったかすら知らないのだそうだ。「なくなってるかもわかんねえし、繁栄してるかもな。繁栄してたら逆に帰りにくいわ」宇宙が声高らかに笑う。その笑いがいい肴になったのか、お互いに飲みすぎてしまった。
店を出るとき、僕は完全に成人式の日のそれだった。ただ今回はイライラすることもなかったせいか、まっすぐ歩いていた。というか、宇宙がエスコートしてくれた。昭和の新橋のおやじみたいにフラフラする僕をがっしりとした腕で支えてくれていた。その宇宙の歩みが止まる。「おーい、宇宙、はやく行こうぜ」ぐでんぐでんになりながら宇宙を誘う。すると宇宙は「上を見てみな」とだけ言った。それを聞き、上を見る。それは酔を覚ますのにうってつけの星空だった。「上を向いて歩こう 涙がこぼれないように」宇宙が、小声でそっとつぶやく。「思い出す 春の日 ひとりぽっちの夜」僕が返すと宇宙も「上を向いて歩こう にじんだ星をかぞえて」と返す。こうして夜は更けていった。




