第7話 成人(2)
当然というか当たり前というか、宇宙は、普通の人には聞こえなかった。しかし僕はきちんと聞いていた。「因幡 宇宙」と呼ばれたのを。そして僕がそうだったように、宇宙もご満悦のようだった。その後、市長による祝辞、教育長からの祝辞、祝電披露、と滞りなく進んでいき、無事に閉会した。式場を出ると、同級生が同級生を早速飲みに行こうぜとか誘っている。中には、口から煙を出している者もいる。大人の余裕だろう。しかし僕はそんな騒ぎを無視して家に戻った。一人で飲む気はない。宇宙と飲む気もない。宇宙と今後を話しておこうと思ったのだ。宇宙は独立したいようだった。しかし僕はこの家を離れたくなかった。この家に愛着がわいているのだ。それを今一度話そうと思っていたのだ。しかし帰る途中、突然宇宙が怒り出した。「純、お前はいつだってそうだ。僕がああ言えば君はこう返す。出会った頃はああ言えばああ返す、そんな仲だったじゃないか。いつから君は僕を嫌いになったんだ!?君自身にしか見えてないからって我が儘がひどくないか」
流石にこれには僕も怒りを覚えた。「はぁ!?わがままなのはどっちだ。僕は1+1は2だときちんと言っている。それを3だとか5だとか嘘をついてまで逃れようとしているのはそっちだろ!?第一なんで宇宙は家を出たいんだ?親のすねをかじっているように見えるからか!?」その後、お互いに反論し合ってしまい、気づけば宇宙と出会って初めて、別行動をした。宇宙は家に帰ったようだが、僕は近所の飲み屋に行っていた。飲む気はなかったのだが、気づけば焼酎を頼んでいた。念の為にお金を持ってきていてよかった。僕はとことん飲み、気づいた頃には顔も赤く、ふらふらだった。家まで帰れるだろうかという思い、そして家に帰ったらあいつの顔を見なければならない、という怒りがあったのかもしれない。




