第5話 タイムカプセル(3)
夜。両親が寝たのを確認し、ぐっすり寝ている宇宙を叩き起こした。考えてみれば、宇宙を起こしたのは初めてだ。いつも目覚ましか宇宙に起こされるのに。それだけタイムカプセルを早く埋めたいという気持ちがあったのだろう。それは宇宙も同じようで、すぐに目覚めた。ひっそりと玄関を開け、物置へ。スコップを2つ手に取り、公園へと向かった。街灯が申し訳なさそうなぐらい暗く付いている公園。こんな夜中に公園に来ること自体初めてだったから、街灯の暗さが物憂げに感じた。心なしか、宇宙まで一瞬さみしそうに見えたけどそれは黙っていた。で、埋める場所だが。この公園のシンボルとも言える大木の近くにした。これだったら伐採されることなく、何年も眠っていられるだろう、という考えだった。何年も、と言いながら実際に開けるのは20年後だが。「20年後・・・38歳か。タメなんだから宇宙も38だよな。その頃ってどうなってんだろうな」独り言のように聞き返す。宇宙はにっこり笑って答えなかった。
そしてこのタイムカプセルが功を奏したか、瞬く間に志望の会社が決まり、そこの試験もパスし、内定通知が届いた。家に帰ってまず、宇宙に言ったのは言うまでもない。その後も波乱万丈の高校生活だったが、3月になり、12年間の学生生活を終えた。4月、宇宙と出会って6度目の桜。その桜のカーテンを抜けるように僕は社会人1年生となった。当然、宇宙も同じ会社だった。しかしもう怯えも何もなかった。むしろ当然な気がした。ただ、相変わらず2人っきりじゃないと話せなかった。仕事は、事務系の仕事である。僕は得意分野だが、宇宙はどうなんだ。その心配も杞憂に終わった。僕よりスピードはちょっと劣っていたが、傍から見れば―僕しか見れないが―普通のそれ以上にてきぱきしていた。




