第4話 高校1年生(3)
そして深夜、みんな寝静まり、校内に静寂が流れる。いや、流れていたのだろう。僕も寝ていたからわからない。それを起こしたのも、宇宙だった。電波時計の明かりを付ける。「3 : 15」なんだ、まだ夜じゃないか。しかし不思議と寝させてくれよ、という気にはならなかった。むしろ、先輩たちを起こさないようにそっとテントの外へ出ていけた。そこにはきれいな満月がこうこうと光っていた。さて。こんな夜中に叩き起したからには何か話があるんだろう。そう思って何も喋らずにいた。もちろん、沈黙を破ったのは宇宙だった。「純、天文に興味なかったらこんな綺麗な月を見ても何も思わないだろうし、僕と会うこともなかったんだよな」まぁな、と答えたあと、僕は嫌な予感がした。「あ、別れようとか言うんじゃない」その心を見透かしたように、宇宙が返す。「もう3年になるんだよな、初めて会ってから」そういえば、そうだな。この3年で宇宙の扱いにはだいぶ慣れた。慣れる慣れないの以前の問題もある気がするが。
純は「シ」って考えたことあるか?―いきなり宇宙が聞いてきた。夜中だったからあまり大声を出せなかったが、「は?」とは言ってしまった。「だいぶ前に言ったよな、僕は宇宙から逃げる格好でここに来たんだ、と。自ら命を絶つほどの勇気・・・もとい、男気、っていうのかな。それはない。ただな、最近思うんだ。死ぬってどういう事なんだろう、って。地球人でもそうだろう。死んだら天国に行けますだの地獄行きだの、なんとかの川を泳ぐとか。でも正解はわからない。宇宙人だってそうなんだよ。ましてやこっちは天国とかいう概念がない。それだけに死んだらどうなるか、誰もわかっちゃいない。答えはこうでした、って言えるならいいんだけどな」なんでこんな話になったんだろ、と思ったがすぐにわかった。最近、高校生のいじめによる自殺が多いとニュースで言っていた。だから僕まで自殺を考えていると思われたのだ。それを知り、僕はこうフォローした。「もし、宇宙に会えてなかったらいじめられたらそれこそすぐに堕ちていただろうな。ただ、宇宙に会えたおかげで、今死んだら最愛の友を無くすと、考えるようになった。むしろ、宇宙、そっちこそ自ずから堕ちるようなことはしないでくれよ」




