人物紹介(第五部)
第五部に出てくる人だけを並べておく。
この先どうなったかは、書かない。
第五部は二〇一五年の四月から二〇一七年の三月まで。僕は十六歳から十八歳になる。
高梨 秀真
この記録を書いている人間。
十六歳から十八歳になる。この二年のことを、僕はいちばん覚えていない。
覚えていないのに、書けることが少しある。
高梨 佳代子/母
専業主婦。料理がうまい。記憶力がいい。よく笑う。
この二年、順位の紙を見ていない。こちらが出していないから。
一度も怒鳴らない。
高梨 隆/父
製薬会社の営業。医者に頭を下げて生きている。
家にほとんどいない。前の年に言った一言を、たぶんもう覚えていない。
息子に医者になれと言ったことは、一度もない。
高梨 千尋/妹
四つ下。中学生になった。
部活を三つ見て、自分で一つに決めた。決めるところを、僕は見ていない。
彼女には、いまも何も習わせていない。
小柳 亜季/同級生
同学年。二年からクラスが分かれた。文系にいる。
廊下ですれ違うだけの人になった。
その人に、一度だけ言われたことがある。
宮内 遼/高校の同級生
二年も三年も同じクラスになった。
相変わらず、感じの悪いところが一つもない。
並べるのをやめたのは、こちらの都合になる。
三浦/陸上部
文系にいる。二年からは、部活でしか会わない。
僕に二つ目の質問をした人。
僕が最後に走った日に、その場にいた。
岡田/陸上部
一つ下。四月に入ってきた。長距離。
日誌のタイムを全部埋める。ひとことの欄は空ける。
どこかで見た形をしている。
以上。
八人いる。
この二年のあいだに、僕のほうから用の無い話をした相手は、一人もいない。




