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42. パーティーの開始

定刻どおり、パーティーは幕を開けた。


天井いっぱいに吊るされたシャンデリアから、柔らかな光が降り注ぐ。磨き上げられたグラスが静かに触れ合い、その澄んだ音色に華やかな笑い声が重なる。


会場には十卓の円卓が並んでいた。


だが、その中の一卓だけは、周囲とはまるで異なる空気に包まれていた。


席に着いているのは、大地の父・母・妹、ひとみの母・明子、そして幸雄の弟・幸二。


招待客として迎えられたはずなのに、彼らの姿は豪華な舞台へ突然立たされた素人のようだった。


高級なカトラリーを持つ手はどこかぎこちなく、運ばれてくる料理も喉を通っているのかさえ分からない。ただ、胸の奥に居座る落ち着かない気持ちだけが、時間とともに大きくなっていく。


周囲では笑顔が飛び交い、談笑の輪が広がる。その賑わいが、かえって彼らを孤立させているようにも見えた。


そんな卓で、ただ一人だけ、大地は穏やかな表情を崩さなかった。


まるで、この先に起こるすべてを受け入れる覚悟を決めているかのように。


やがて食事も終盤を迎える。


司会者がマイクを手に、朗々とした声を会場へ響かせた。


「それでは、本日の主役――田村選手にご登壇いただきます!」


大きな拍手が一斉に湧き起こる。


無数のフラッシュが白い閃光となって壇上へ降り注ぐ中、田村は静かに席を立った。


その歩みは堂々としている。


しかし、その背中には、勝者だけが背負う栄光ではなく、これから真実を語ろうとする者だけが持つ静かな覚悟が宿っていた。


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