14/44
14.田村の悩み
田村の脳裏に、五年前の悪夢が鮮やかによみがえった。
――もし、あの事故さえなければ。
その思いは、今でも胸の奥深くに棘のように刺さったままだった。生きていれば、自分の子供も、きっとあの少年と同じくらいの年になっていたはずだ。
だが、その少年は今、白血病という過酷な病と懸命に闘っている。
田村は、五年前の事故について平田にだけは打ち明けていた。誰にも話したくない過去だった。もちろん、他の選手たちは何も知らない。
そんな田村の心を大きく揺さぶったのが、大地から届いた一通の手紙だった。
何度も読み返すたびに、自分の愚かさが胸を締めつけた。




