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ダンジョンはじめて物語

 以下に語るのは、俺こと堂崎大地(どうざきだいち)の知るダンジョン創()記である。



 ――二十世紀も終盤に差しかかったある日、異世界から一柱の女神様、『試練と迷宮の女神ネリス』が流れ着きました。


 女神様は地球人類に向け、このようにおっしゃられました。


『私の住んでた世界がなんか滅びました。ええ、ドガーンって感じでいきなり。で、なんとか自分だけ次元の狭間に逃れて長い間さまよう羽目になりました』


『このまま知的生命体に対し"試練と迷宮の神"としての役割を果たせないと私は神格を失います。ぶっちゃけ死にます』


『正直もう限界ギリギリなんで助けてください! 具体的には私が魔素(マナ)の力で迷宮(ダンジョン)という試練を作りますんで皆様はそれを乗り越えて報酬ゲットしてください!』


『いえいえっ、そちら世界の神様がたのシマを荒らすつもりは一切毛頭微塵もございませんのでっ!! 私のことは『メガミ』と名のついたミジンコとでも思って頂ければ結構ですのでっ!!』


『ご迷惑はかけませんのでぇっ!! 床でも靴でも尻でも舐めますんでぇっ!! お願いだからマジほんと誰かだじゅげでえ゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛っ゛!!』


 女神様のいと高き(まった)きお言葉に涙した人類は、交渉のすえネリス様との契約に合意しました。


 こうして地球にダンジョンへの出入り口(ゲート)が作られ、同時にダンジョンへ挑む人類には内部に試練として配置された魔物たちと戦うための力――身体能力を上げられる

"ステータス"やマナを利用して様々な現象を起こすことのできる"スキル"を授かる権利を得ました。


 それにより、


・地球人類側はダンジョン攻略を通じて異世界のエネルギーであるマナ、およびマナを加工して作られた各種物品を入手できる。マナの『理論上なんでも作れる』性質を研究・活用すれば深刻な資源不足などの解決につながる


・ネリス側は人類に『ダンジョンによる試練と、それを乗り越えた褒美』を与えることで女神としての神格を保つことができ、生き延びることができる


 というWIN-WIN関係が構築されましたとさ――


 これが、地球にダンジョンが登場した理由であるそうだ。





 夕食後、次回に向けて配信枠を取った。


 取っただけで高評価&応援コメントがつくという異常事態に内心ビビり上がる。あと弧月アルテ氏から『ご迷惑おかけして申し訳ありませんでした』とのメールを頂いた。余計ビビり上がりつつ震える手でなんとか返信を作成し、送っておく。


 そして当日。俺は放課後、ダンジョンに入るための施設ダンジョンセンターへと直行した。


 受付で手数料支払ってダンジョンコードを発行、俺の身体に付与してもらう。


 これは電子的ならぬ魔力的な鍵だ。これに反応して対応するダンジョンの入口ゲートが開かれ、異次元に作られた各ダンジョンへ潜ることができる。


 ちなみに地球上どこからでも同じダンジョンに挑戦できる。北海道と沖縄の人間が同じダンジョンで合流、一緒にパーティーを組むこともできるのだ。あいにくこれを利用し『北海道でダンジョンに入って、沖縄に出る』なんて裏技はできないが。


 専用の部屋にスマホをセットし配信準備を済ませ(有料)、貸しロッカー(同)から自分の装備品を取り出し服を着替える。


 ちなみに俺の探索時の服装は和テイスト――具体的には黒地に赤い模様の作務衣(さむえ)風のものだ。こうした装備にはマナの力で防御力を高めるなど様々な効果が付与されている。


 探せば全身鎧なんかもあるが……値段が高いうえ、ダンジョンを探索するには重さが問題になる。長時間の活動には向かないため探索者の装備は動きやすさを重視した軽装が主流なのである。


 装備を整えたらダンジョンへの出入り口ゲートを通る。


 全ダンジョン共通の石造りの空間――"出立の間"に出てから誰でも無料で契約できる精霊さんを呼び出し、センター内のスマホと同期させる。


 さあ配信開始だ――!!

お読みいただきありがとうございます。

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