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妖葉樹林4

「はい、それでは戦闘も終了しましたのでここで『灰色の葉』について情報をまとめておきましょう」



コメント

・ソロでこの殲滅速度よ

・やるなー

・やっぱあの葉っぱなんかあったな

・変わった罠なんかな



「ひとまずの結論としまして"灰色の葉は触れると効果が発動するタイプのなにか"ですね。ただあそこまで露骨に姿を現している(トラップ)というのも謎です。いちおうもう一度〈罠探知〉を使用してみます」


 宣言通りにスキルを使用。さらに念を押して〈情報表示〉も使用。やはりどちらも反応はなかった。


「……つまり罠でもなければ魔物のたぐいでもない? もっと探知技量のある探索者であれば違った結果が出る可能性もありますが……現状ではダンジョン特有の機構(ギミック)であると仮定しておきましょう」


 つまり『火山系ダンジョン内の溶岩』や『乗ると動く床』などと同じようなもの

だ。



コメント

・そうだな

・罠でもよくね?

・毒じゃなかったかー

ナナミン・外れだった……

・妹も筆の誤り

・妹も木から落ちる

・妹の川流れ



「はい新たな(ことわざ)作らない。……で、次にその効果です。協力していただいた被験者を観察した結果、二回それぞれで違う効果が確認できました」



コメント

・協力……?

・アッハイ

・いつから日本では生贄を被験者と呼ぶようになった?

・この冷静な顔である

・でも相手魔物だし

・ダイアウルフ「殺そうとしただけで被験者にされた! 血も涙もねえ!」

・魔物VS妖怪、ファイッ!



「一回目は速度の低下。二回目は映像では分からなかったと思いますが対象から魔力の波長が発せられました。探知能力が並レベルの俺でも容易に感知できるほどの強さでした」



コメント

・ほうほう

・なんもなかったと思ってたら波長だったか

・つまり発見されやすくなるってことだ

・もし大地ニキがかかってたら魔物が寄り放題になっちまうよ

・敵からすりゃ大声で「ここにいるぞ」と言ってるようなもんだからな




 リスナーの言うとおり遠方からでも魔物に俺の位置を察知されてしまうだろう。奇襲を仕掛けるのも待ち伏せするのも簡単だ。もし俺が引っかかっていた場合この後の探索はかなり困難なものになっていたはずだ。


 そして言うまでもなく最初の速度低下効果も相当痛い。特に回避重視で防御は紙な俺にとって致命的だったとさえ言える。


 いやあ、自分で試す前に運よく協力者が現れてくれてよかったよかった(※外道の感想です)。


「推測するに効果はランダムで現れるのではないかと思われます。試行回数がたった二度ではなんとも言えませんが」


 あるいは触れるたび『効果A→効果B→効果C→効果Aに戻る』……みたいにループするのかも知れないが、ひとまずはそう仮定しておく。


 それより問題がある。


「なにより、最初に触れた葉がいつの間にか消えていたんですよね。そして別の場所に出現していました。少なくとも俺の目にはそう映りました」



コメント

・葉がなくなったのには気づいた

・分からなかった

・いま巻き戻して映像見たけど確かに消えてた。でも消える瞬間とかは映ってない

・地面ばっか映してた訳じゃないからなー



「しかし二回目はそのままの位置にあります」


 そう言いつつ精霊さん(カメラ)の向きを調整し灰色の葉を映す。



コメント

・あるね

・位置とかいちいち覚えられないんだよなぁ

・戦いながら把握してるこいつがおかしいだけだから

・最初消えたのはなんだったん?

・どういうこと?

・そこにある葉はもう使用済みだから効果ないってことじゃね?

・結構ヤバい効果があると分かったいま、いくらダンジョン小僧でも触って確認する訳にはいかんやろ



「現状考えられる可能性ですが、いちおうの本命は『効果が発揮されるごとに位置が変わる、ただし毎回ではない』でしょうか。


 あとは『魔物が暴れた拍子に葉が散っただけ』『葉の効果発揮回数自体がランダムで、回数ゼロになった葉は消えて次が出現』……などが考えられます」



コメント

・二回じゃなんとも言えない

・謎

・そもそも効果時間はどれくらいなのか

・プラスの効果もある可能性とか

・また魔物連れてきて実験か?

・本当の自分という(ミラージュ)並みに分からん



「…………まあその……いまのところ、迂闊に灰色の葉に触れたら危険、という認識でいたほうがいいでしょう」



コメント

・いま動揺しただろw

・精神ダメージ受けてるw

・だから言ったであろう? 遅効性の毒と

・調子乗ってポエム読むから……

ナナミン・ふむ

・ん?

・妹さん?

・ナナミンちゃんwww



 私、どうしちゃったのカナ……。『本当の自分というミラージュ』のことを考えたら胸の辺りがキュンッて締めつけられて動悸動悸が止まらなくなっちゃうの……。


 ひょっとして、これって――黒歴史(PTSD)!?


「……まあとにかくそういうことですんで。謎だらけではありますが、あいにく究明がメインではありませんのでいまは攻略を優先したいと思います」


 究明のためであればワザと触れて効果確認する所存ではある。そもそもこうした状態異常は当該ダンジョンを出れば効果も消える。本気でヤバいとなれば帰還水晶(リターンオーブ)で脱出すればいい(けっこういいお値段がするので進んでやりたくはない)。


 いや、あれが"呪い"である可能性も否定できないんだよな。そちらはダンジョンから離れてもしばらく残り続けるのでかかる訳にもいかない。


 それを考えればやはり自分で試す訳には……いや、呪われた状態での探索がどんな感じなのか実際に確かめてみたい気もちょっとはする。ほら、呪われてこそ初めて見える世界ってのもあるだろうし、もしこれが呪いならちょうどいい――



コメント

ナナミン・たぶん妙なこと考えてる顔だから言っときます、やめなさい



「……ハハハなにを言っているんでしょうねー。別に妙なことじゃないと思うんですけどねー。さあ探索を続けましょうかねー」


コメント

・図星か

・草

・まさかこいつ「自分が直接かかったらどんな感じがするのか」とか考えてたんじゃないだろうな

・あり得る

・妹さん的には自分から傷つきに行くのはNGと



 コメント欄を見(て見ぬフリをし)ながら俺は探索へと戻った。

お読みいただきありがとうございます。

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