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砂漠の聖都  作者: 神代奈々
第3章 旅立ち
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騒ぐ風


 

「また……ですか? 先日、募集があったばかりでしょう」



 大聖堂に、騎士団からの募集がかかった。

 大聖堂だけでなく、ワーフ中の聖堂、さらには他の街にも広がった。



 「やはり……戦争……? 」

 

 


 ——そして、マシュアは行ってしまった。


 大聖堂のナリドやナリダは、数が減った。 

  

 

 

(……マシュア)

 

 

 アリフはつい考えてしまった。

 本を読みに、図書館に来たのに。




「どうかしたかい? 」

  

「……あ。ダール様」



 変わらず優しい眼差しが、アリフを見つめていた。



「いえ……」


 

「……アリフ、少し話がしたい。私の部屋に来てくれるかな」

 

 



(相変わらずだな)


 ダールの部屋に入ったアリフは思った。

 前と変わらず、本であふれかえっている。



「どうぞ、お座り」

 

 奥の部屋で、アリフを座らせ、茶を淹れた。

 スパイスが香り立った。 

 


 ダールも座り、茶をすすった。

 


 ——静かだ。

 窓の外で、葉擦れの音が聞こえる。


 

 ダールはアリフのほうへ顔を寄せた。


 

「アリフ。私は、王都へ行こうと思う」


 小さく囁いた。


 

「え…」

 

 

 ダール様も王都へ?

 ——なぜ……?

 

 

 

「どうして…? ダール様が…? 」

 

「うん。実は私はね…」

 

 

 ダールは大聖堂に来る前の、自分のことを話しはじめた。

 


  

 王の側近だったこと。

 戦争を回避しようとしてきたこと……。




「今こそ動く時だと感じるのだ。王都へ行き、できることをする」

 


 強い目をして、ダールは言った。


 

 ……そうか、みんな行ってしまうのか。

 じゃあ俺は? 俺は、どうする……?

 

 

 

「アリフ。君も一緒に来ないか? 」

 

「えっ? 」  



 アリフはダールを見た。

 

 

「俺も? 」

 

 ダールはこくりと頷いた。

 


「王都へ? 」

 

 また、頷いた。

 

 

「どうして……」

  

 

「……どうしてだろうな。君とは不思議な縁を感じるんだ。

 この4年で君は大きく成長した。

 君を連れていったほうがいい。そう感じるんだ」

 

 

「……」

 


「君は、どうだ? 」


 

「え……? 」


 

「私と一緒に行きたいか? 」



 

 

 ——俺は……。

 



 アシュバル。

 マシュア。

 ……サッド。




 風がザザッとひときわ強く、木の葉を揺らした。



「……行きたい」

 

 


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