騒ぐ風
「また……ですか? 先日、募集があったばかりでしょう」
大聖堂に、騎士団からの募集がかかった。
大聖堂だけでなく、ワーフ中の聖堂、さらには他の街にも広がった。
「やはり……戦争……? 」
——そして、マシュアは行ってしまった。
大聖堂のナリドやナリダは、数が減った。
(……マシュア)
アリフはつい考えてしまった。
本を読みに、図書館に来たのに。
「どうかしたかい? 」
「……あ。ダール様」
変わらず優しい眼差しが、アリフを見つめていた。
「いえ……」
「……アリフ、少し話がしたい。私の部屋に来てくれるかな」
(相変わらずだな)
ダールの部屋に入ったアリフは思った。
前と変わらず、本であふれかえっている。
「どうぞ、お座り」
奥の部屋で、アリフを座らせ、茶を淹れた。
スパイスが香り立った。
ダールも座り、茶をすすった。
——静かだ。
窓の外で、葉擦れの音が聞こえる。
ダールはアリフのほうへ顔を寄せた。
「アリフ。私は、王都へ行こうと思う」
小さく囁いた。
「え…」
ダール様も王都へ?
——なぜ……?
「どうして…? ダール様が…? 」
「うん。実は私はね…」
ダールは大聖堂に来る前の、自分のことを話しはじめた。
王の側近だったこと。
戦争を回避しようとしてきたこと……。
「今こそ動く時だと感じるのだ。王都へ行き、できることをする」
強い目をして、ダールは言った。
……そうか、みんな行ってしまうのか。
じゃあ俺は? 俺は、どうする……?
「アリフ。君も一緒に来ないか? 」
「えっ? 」
アリフはダールを見た。
「俺も? 」
ダールはこくりと頷いた。
「王都へ? 」
また、頷いた。
「どうして……」
「……どうしてだろうな。君とは不思議な縁を感じるんだ。
この4年で君は大きく成長した。
君を連れていったほうがいい。そう感じるんだ」
「……」
「君は、どうだ? 」
「え……? 」
「私と一緒に行きたいか? 」
——俺は……。
アシュバル。
マシュア。
……サッド。
風がザザッとひときわ強く、木の葉を揺らした。
「……行きたい」




