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異世界チートで姫様達と婚前旅行。  作者: 富士ヶ麓久遠
トランディア王国・迷宮都市レガル編
40/42

自由時間でございます

やつを見る前に言っておくッ! 

おれは今やつのスタンドをほんのちょっぴりだが体験した

い…いや…体験したというよりはまったく理解を超えていたのだが……

あ…ありのまま今起こったことを話すぜ!


「おれはレベル40の浦風を旗艦にしたと思ったらいつの間にかケッコンしていた」


な…なにを言ってるのかわからねーと思うが、おれも何をされたのか分からなかった

頭がどうにかなりそうだった…

巨乳駆逐艦だとか駄目提督製造機だとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ

もっと怖ろしいものの片鱗を味わったぜ……



訳:嫁艦と秋祭りに行きたいれす(^q^)


 

 基本的な魔法には、それぞれ派生系が存在する。

 たとえば一般的に『水氷魔法』と一くくりにされているが、これを分割した場合、水仙魔法と氷結魔法に大別される。当然、扱う難易度が高い氷結魔法の方が派生系だ。

 俺が得意とする(と言うよりはそれしか試し撃ちをしていない)空撃魔法も、派生系として雷撃魔法が存在していた。


 この雷撃魔法は、対人戦において無類の強さを発揮する。

 発生した魔法で生体電流を狂わせるといった、いわゆるスタンガンのような使い方ができるのだ。これで付与される状態異常『スタン』がどれだけ脅威なのかは、RPGやアクションゲームをやったことのある人なら分かるはず。

 しかもだ。それだけではなく、微弱な静電気を皮膚に流すことで様々な触覚を再現したり、脳内中枢に擬似的な幸福感などを発生させることもできる。

 とどのつまり、人相手なら極めて利便性が高い魔法だった。


 よって。

 それを夜の生活で悪用すると大変なことになる。

 具体的に言えば、このような惨状が引き起こされる。


「あへぇ……」

「もぅ……イきたく、ぁりま……ふぇん……」

「わらひは……“ピーッ”にゃんかに……負けにゃい……」

「……ぁぉぉぉぉ」


 俺達が泊まっている宿屋の一室。

 部屋の一角を占める特大ベッドの上には、四人の少女が全裸で転がされていた。

 全員が意識のない双眸で虚空を見つめ、その身体は時折ビクンと痙攣している。当然ながら隠す余裕など無いので、全身が余す所なく丸見えだ。

 艶かしい肢体とその下にあるシーツに至っては、汗や涎やその他色々な液体にまみれている……というよりも浸されていると表現していいだろう。


(ふふふふふ……俺もヤられっぱなしで満足するような男じゃないんだよ)


 思わず笑みが零れてしまう。

 その優越感に反応したのか、右手にバチバチと紫電が奔った。



 事の起こりは少し遡り、チワ達を購入して宿屋に帰ってきた後のこと。

 元奴隷組を先んじて風呂へと向かわせている間、残った四姉妹による民事裁判が開かれたのだ。被告は当然の如く俺。

 ベッドに座って足を組んだアリサ裁判長曰く、


「して汝、如何いかあしを用ゐて金子きんすを得たか」


 床に正座した俺が応えて曰く、


「逆賊を誅せし際の禄なり。悪しき由を用ゐたに非ず」


 なるほどと頷いたシェリス副裁判長曰く、


「汝、如何な故にて単騎駆をうつたか」


 再び応えて曰く、


「女人は花を遣りて遊ぶ影ぞ美しく。故になりをなすはおのこの役」


 顔を顰めたツバキ検事曰く、


「なれど前方まへかたに伝ぐべし。言ひ開きやいかに」


 俺が真顔で応えて曰く、


言伝ことづてを忘れた。許したまへ」


 ため息をついたベルントーラ弁護士曰く、


「Nothing can mitigate his misconduct.」

「ちょっと待て何でお前だけ流暢な英語しかも『情状酌量の余地なし』って少しでも良いから立場上は援護しろよ背中から爆撃とか冗談じゃないぞ」


 俺の抗議もむなしく、誰一人として味方がいないまま裁判が終了。


「判決を言い渡すわ。被告は有罪。刑期は一晩。あたし達の性奴隷ね」

「これにて閉廷閉廷~」

「ちょ、おま、不当判決だ! 即刻上告だ上告!」

「無論、却下だ」

「……却下」


 それだけ言って服を脱ぎ、俺へと迫る四つの影。

 やめて! 私に乱暴する気でしょう! エロ同人みたいに! エロ同人みたいに!!


「安心しなさい。天井のシミを数えている間に終わるから」

「呼吸は、ひっひふーですよ~」

「さぁ、スケベしようではないか」

「……先っちょだけ先っちょだけ」

「先っちょだけでも全部搾り取られるだろうが! このっ、離せ、そこはマジでヤバいって……ああ、もう、こうなったら今朝開発したアレを……すまん、『ライトニング・ボルト』!」

「「「「んにゃああああああ!!!」」」」


 電撃魔法による強制絶頂を極められ、ベッドに崩れ落ちる四姉妹。

 ……何だこの喜劇は。



 そして、意識がない四人の胸を存分に揉みしだき、今に到る。

 かぽーんと湯桶が浴槽の端に当たり、その拍子に少量のお湯が溢れ出した。


「……とまぁ、そういうことがあったんだよ」

「わぅ。部屋に帰ったら地獄が待っているのです」


 部屋に防犯用のスキルを設置してから、俺は獣人娘達の後を追って風呂に入っていた。

 四姉妹の裸体を見た直後だが、さすがにチワとシャム、キキには欲情しない。

 むしろ、浴槽でバシャバシャと泳ぐ年相応のシャムとキキを見ていると、心が落ち着いてくるのだ。これが父性なのだろうか。

 

「ご主人しゃま、どうしたのです?」


 隣でくつろいでいたチワが俺の視線に気付き、下からキョトンと見上げる。

 ご主人様に父性も何もないか。そんな呼び方をさせている父親がいたら正気を疑う。


「いや、何でもないよ。お前達は本当に可愛いなと思っただけだ」


 チワを腕の中に抱き寄せ、後ろから優しく頭を撫でる。

 彼女は最初だけ目を白黒させていたが、少ししてからは安心して身を任せてくれた。それどころか身体を引っ付け、もっとしてくれとばかりにオネダリし始める。

 頬が擦りつけられるたび、首につけられた金属の枷がカチリと音を立てた。


「近いうちに可愛いデザインの首輪を買ってやるからな。少しだけ我慢してくれ」

「わ、わぅ。ありがとうなのです」


 奴隷の象徴である痛々しい首輪さえなければ、彼女らはもっと輝くだろう。

 本当は枷自体を取っ払ってやりたいのだが、そうすると今度は余計な面倒事を呼び込んでしまうらしい。なんでも、誘拐などの犯罪行為を表立ってさせないためには、三人の奴隷という身分が有効なのだとか。

 もちろん水面下の犯罪行為だと身分を振りかざそうが意味はない。が、そうなってしまえば体面上は三人の主人として登録されている俺と四姉妹が実力行使に出られる。

 しかし、常に俺達が三人を見張ることができるはずもなく、しぶしぶながら奴隷の首輪を残したのだった。


「ご主人しゃまは優しすぎるのニャ。意味の無い制約紋で奴隷を買うって……シャムが逃げたらどうするのニャ」


 声のする方を見ると、シャムが水かきをしながら近づいてきていた。

 彼女の言う『制約紋』とは、奴隷用の首輪に備え付けられた魔方陣のことだ。奴隷を服従させるための機能で、設定された行動を起こすと苦痛を与えたり、最悪殺すことすら可能なんだとさ。

 まぁ今の三人は『勝手に死んだら三日間オヤツ抜き』という制約紋だけにしたから、まったくもって意味は無いがな。

 奴隷商に制約紋の設定変更を伝えた直後、彼の顎がまた落ちていたのには笑ったよ。

 

「俺は元より拘束する気もないし、逃げ出したところで追わないぞ。もしそうなったら、俺がお前達の信用を勝ち取れなかったというだけだ」


 聞くところによると、以前は『逃げたら殺す』とか『奴隷商に口答えしたら一時間苦痛を与える』とかに設定した制約紋を刻まれていたらしい。

 あの奴隷商は本物の馬鹿だな。女の子を縛りつけるのは、そういったプレイだけで十分だろうに。


「はぁ……。キキは帰る故郷が無くなったから逃げられないけど、他の奴隷を買ったら同じ事をするのはやめたほうが良いのね。きっと次の日には消えているの」


 側に寄ってきたキキが、悲しそうな顔をしながらお湯を掬った。

 帰る故郷が『無くなった』と言ったことに違和感を覚える。もしかしたら辛い過去があったのかもしれない。

 その辺は、本人が自分から話してくれるまで聞かないでおこうか。


 少しだけ沈んでしまった空気を振り払うかのように、俺は三人を抱き寄せる。

 わぅーニャーふぇーと叫ぶ獣娘達だが、先ほどの悲しそうな顔よりは百倍愛らしい『笑顔』を見せてくれたのだった。

 






 次の日の朝。

 宿屋の食堂で朝食を摂りながら、俺達は今日の日程を立てている。

 運が悪いのか、相変わらず女将さんは見当たらない。


「一日休んで家具も目星をつけたことだし、また皆で迷宮にでも行って、」

「ちょっと待ったああぁ!」


 目玉焼きを飲み下したアリサが、大声で俺の言葉を制する。

 その声にビックリしたようで、もりもりと朝食を食べていたチワが硬直した。部屋着のワンピースにソースが付いているぞ。

 なお、四姉妹はヴィーナス・ヒールで治癒してから明け方に風呂へ入ったため、今日の活動に支障はないそうだ。


「待ったって……何か問題でもあるのか?」


 野菜ジュースを飲みながら問いかけると、それに答えたのはシェリスさんだった。

 異議を唱えた本人は目玉焼きが喉に詰まったらしく、苦しそうに呻いている。


「迷宮で稼ぐことに異論は無いですが、リュウ様だけは御遠慮してほしいですね~」


 アリサの背を数回叩いてから、シェリスさんは上品にスープを啜る。


「何で俺だけ?」

「心当たりがないとは言わせんぞ。昨日一人だけ働いていただろう」

「……ん。埋め合わせが必要。リュウさんも休んで都市を散策するといい」


 フルーツを喰らっているツバキさんと、彼女の隣でパンをもぐもぐしているベルン。

 その二人からジト目が向けられた。


 言われてみれば俺だけ自由時間を過ごしていないのだが、それは別に構わない。どうせ必要な日用品なんて女性陣の半分も無いだろう。

 それに、レガルでは武器防具の製造に関する影響を受けてか意外と洋裁技術が発達しているため、替えを買おうにも調達は容易い。それこそ近所のコンビニに行くくらいの時間があればいい。

 しかも、普段着はおろか下着の類すら宿屋のサービスでクリーニングしてもらっているのだから、衣服は持ち合わせている数着でも十分に事足りる。

 要するに、自由時間を貰ったところで持て余すのだ。

 都市を散策して物色したい品が皆無というわけではないが、今すぐ必要という物は少ない。せいぜい屋敷に運び込むためのベッド程度だろう。


「それにだ。女を働かせている間に男が遊び歩くなんて、俺としては許容できないんだよ」


 別に『女は家事をして男が働く』などと古臭いことを言う気は無い。が、女性陣が迷宮で戦っているのに俺だけ都市を歩いていると想像しよう。ウィンドウショッピングを満喫するなど絶対に不可能だ。

 そう思っていると、喉詰まりから復帰したアリサが睨んでくる。


「あたし達は昨日、それを事後承諾でやられたのよ?」

「いや、まぁ……すまん」


 そこを突かれると反論できないな。

 女を立てようとするのは男のさがだと許して欲しい。


「まぁ、昨日の件は百歩譲って許すとしましょう。でも今日の迷宮探索は他の狙いもあるから、リュウには遠慮して欲しいのよ」

「他の狙い?」


 訝しむ俺を見て、アリサが頷く。


「家を探していた時に言ったじゃない。三人を仲間にしたら、あたし達が特訓するって」


 まぁ三人を戦力として数えるためには必要なことだな。

 で、それが迷宮での金稼ぎと関係あるのか?


「関係ありありなのですよ~。お金稼ぎをするついでに、前線で実戦経験を積ませるのです~」

「うむ。私の感覚だと、三人の基礎能力には伸びる余地が見られる。迷宮で訓練をすれば、基礎力応用力共に大幅な増強が見込めるだろう」


 キョトンとしているシャムとキキを見ながら、ツバキさんが続ける。

 先に口を拭こうか。顎に伝う果汁が迫力を削いでいるぞ。


「でもなぁ……。それなら、俺も一緒についていけばいいんじゃないか?」


 今の理由だと俺がハブられる要素が見当たらない。

 むしろ、色々とサポートできるはずだ。


「……じゃあ、リュウさんなら、三人にどんな訓練をさせる?」


 ベルンの問いかけに、俺は数秒ほど悩む。

 日本でやっていた特訓といえば何があっただろうか。

 最初から過酷な内容だと三人が身体を壊すかもしれないから……


「そうだなぁ。腕立て伏せ三十回から始めてみるか」


 と言った瞬間、四姉妹から盛大に呆れられた。

 元奴隷組も微妙な表情をしている。

 お前ら、そんな目で俺を見るんじゃない。


「予想通りですね~。リュウ様はチワちゃん達を甘やかすと思っていましたから~」

「うむ。子を成した将来が思いやられるな」

「……ん。赤ちゃんができたら、リュウさんに任せることだけはしない」 


 何やら言いたい放題されている気が……。

 

「まぁそういうことね。リュウの価値観と性格は、誰かを育てるのに向いてないのよ」

「そ、そうなのか?」


 チワ達に救いの目を向けると、視線を明後日の方向に逸らされた。

 やばい。泣きそう。

 

「ハイハイ、ワカリマシタヨー。どうせ俺はワンマンショーがお似合いなんデスヨー」

「いじけないでってば。リュウ一人でしかできない役目もあるんだから」


 思わずレンファのような口調になってしまった俺に、アリサが苦笑する。

 慰められようとも、既に俺のガラスハートは砕け散ったのだ。修復など出来ようはずもない。


「リュウ様が仰られていた、装備を新調するというお話ですね~」

「何だ。それこそ、全員揃って都市の武具店を漁るべきなんじゃないのか?」


 頬杖をついて野菜スティックを齧っていると、ツバキさんが首を横に振った。


「否。現時点ではその選択肢しか無いだろうが、先を考えれば話は別だ」

「……設備があれば、自前で用意できる」


 あー。なるほど。

 つまり、時間があるうちに必要な道具を揃えておけってことか。


「そうそう。リュウには『アレ』があるんだし、安上がりで装備を調達できるに越したことはないじゃない?」


 それだけ言って、アリサが俺の手から野菜スティックを奪い、ボリボリと齧る。

 間接キスだと言えば、今度は頬を赤くしてポリポリと控えめに咥え始めた。可愛いやつだな。


 彼女が伏せた『アレ』とは、おそらくスキルセットの事を指しているはずだ。

 確かに、スキルセットの中には熟練鍛冶師や一流手芸人などの生産系スキルが用意されている。

 屋敷を買う際にも構想だけはしていたが、これらを最大スキルレベルまで習得することで、ある程度の武具を自前で生産可能になるだろう。

 それに迷宮都市という性質上、材料に事欠くことがない。近くに鉱山もあることだし。


(そう考えると、優先順位は高いな……)


 俺は思考を回転させながら、今だに朝食をパクついているキキを見やった。

 迷宮で前線に出すとなれば、最低限それに見合った防具を揃えるべきか。衣服は昨日の間に買っていたが、防具はボロボロのまま。少し可哀想だ。

 幼児をスポーツカーに乗せるような出力過多の超高性能武具を作る必要はないものの、生死が左右される場に『ひのきのぼう』を持てというのも酷な話。

 迷宮の上層部では現装備でもいいかもしれないが、後々にも役立つような品を使い慣れておく必要があるだろう。

 なお、武器が直剣一本の人物は除外する。この人は本体性能がスポーツカーどころかロケット並みだから、勘定に入れても仕方ない。あくまで一般人レベルでの話だ。


(それに、幸いにして金もあるしな……)


 アイテムボックスのリストを開くと、虹金貨二枚と白金貨五枚ほどが残っていた。

 最高級品は買えないかもしれないが、そこそこの性能を持った炉や金床が手に入るかもしれない。

 うん、思い立ったら早めの行動。善は急げだ。


「……そうだな、今日は色々と見て回るよ。皆には迷宮での金稼ぎを任せていいか?」

「ドンと来いってところよ!」

「うむ。心配は要らない」

「……ん。昨日以上に稼いでくる」

「邪魔なモンスターは、わたし達が瞬殺して進みましょうね~」


 俺の言葉を受けて、四姉妹がヤル気を漲らせる。

 頼むから、あまり無理なパワーレベリングはするんじゃないぞ。


「が、頑張るのです……」

「せめて生きて帰りたいニャ……」

「明日の朝日を拝めるかなぁ……」


 どんな無理難題を出されるのかとチワ達が怯えているからな。







 レガル北門へと向かう女性陣を見送り、俺はギルドから薦められた武具店に足を運んでいた。

 四姉妹のスパルタ特訓は迷宮に行く前から始まっているらしく、俺の瞬間転移は必要ないのだとか。

 まさか十キロ強の道のりを走って行くのかと聞いたら、返答はシェリスさんのニッコリとした笑顔だった。これ以上は聞かぬが花というやつだろう。

 新品ぴかぴかの冒険者衣装を纏ったわりに、妙に青い顔をしていたチワ達が印象的だったな。


 三人を襲う苦難に脳内で合掌してから、クレアさんより伝え聞いた建物を見る。

 周囲の家々に比べると規模は少し小さめだが、味があって悪くない。早速入るとしよう。


「おぉ、いらっしゃい……」


 足を踏み入れた直後に聞こえてきたのは、老人店主のしわがれた声だった。

 予想していたよりも店内は清潔に保たれており、壁際には多種多様な武器が立てかけられている。

 他に客がいないので、俺としてはゆっくり見られて悪くないのだが、店側としては大問題だろう。

 あのクレアさんが紹介してくれたのだから、閑古鳥が鳴いているのは偶然だと思いたい。偶然だよな?


(まぁ、必要なのは武器の質じゃないから別にいいんだが……)


 そう思って自分を納得させつつ、小ぢんまりとした店内を見回す。

 すると、目的の品はすぐに見つけ出すことができた。


「お爺さん、あれを樽ごと貰えますか?」


 俺の指差した方向を、店主の爺さんが一瞥する。

 そして懐疑的な視線を戻した。


「別にええが……ありゃ不良品じゃぞぃ。悪いことは言わんから、もっと良い品を買って行きんさぃ」


 なるほど。クレアさんが推薦したのはこういう理由か。

 良い物は良い、悪い物は悪いと言ってくれるのは駆け出し冒険者にとってありがたいだろう。


「いえ、不良品と分かっていて言っています。あれが欲しいんですよ、俺は」


 購入しようと思ったのは、爺さんの言うとおり不良品の山。

 ひん曲がった剣や、刃の欠けた斧、へし折れた槍が無造作に詰め込まれた大樽だ。


「ふむぅ、何か目的があるんじゃな……。分かったわぃ。一樽あたり銀貨六枚じゃ。裏にも在庫はあるが、持ってくるか?」

「可能であれば。思ったよりも安かったので、あるだけ買い取りますよ」


 その言葉を聞いて、爺さんが片眉を上げる。

 額には「面白いものを見つけた」と書いてある気がするな。


「ほぅ。いいじゃろ。一樽あたり銀貨五枚にまけてやるとしよう」


 しわしわの顔で、老獪に笑う店主。

 気前の良い爺さんだな。これからは、この店で不良品を買うことにしよう。


 結局、爺さんから受け取ったのは合計六樽になった。

 金貨三枚と引き換えに消えた樽を見て、目を白黒させる店主。その光景を背に、俺は店を後にしたのだった。


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ALISA:ちょっと、どういうことよ! 固有技能ユニークスキルの【恋極乙女ウマニケラレテシヌガヨイ】があるから大丈夫って言ったのに、逃げられちゃったじゃないの!!


HELP:固有技能ユニークスキル恋極乙女ウマニケラレテシヌガヨイ】には隠し効果があり、その内容は「恋慕する相手からの性的快感を全てクリティカルヒットとして計算する」というものです。クリティカルヒットとなった場合、元々の威力に関わらず一定割合のダメージとなります。つまり、例え魔力最大値が1無量大数(10の68乗)であっても、受ける魔力ダメージが1000不可思議(10の67乗)となれば、計算上は十連撃で気絶状態へと移行し、超過分を体力から削ることになります。スキル発動中、肉体的には天と地ほどの隔たりがありますが、精神的には想い人限定で紙装甲となります。


TSUBAKI:くっ。そういうことだったか……。


SHERIS:次は電気を通さないもので縛りつけたり、何かしらの対策を考えないといけませんね~。


BERNTHORA:……鞭と蝋燭も。ククク、ヤられたらヤりかえす……倍返し。



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