奇襲でございます
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AUTHOR:流れ重視の為に今日は一話だけ。今後も流れ重視orストックが尽きた際には、更新間隔をおくと思います。あとタイトル変えました。前のは適当に付けてたんで、しっくりこなかったんですよね。
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遠くで、木々が薙ぎ倒されるような轟音が響く。
その音が示すところは一つ。
ロック率いる別働隊がゴブリンの集団に強襲をかけたのだ。
「シェリスさん」
「了解です~」
シェリスさんは茂みから身体がはみ出るギリギリまで近づくと、左腕に巨大な弓を顕現させる。
瞬きの瞬間に行われた刹那の召喚だ。まったくもって予備動作が見当たらず、詠唱も無い。
「リュウ様の口付けで力を頂きましたから、頑張りますね~」
そう言って赤ら顔で膝立ちになり、弓を地面と水平に構えるシェリスさん。
弓の全長は2メートル以上もある。傍で見てみると、その迫力は圧巻だ。
麗美な彼女の金髪と対になる白銀の弓で、所々に羽の装飾が施されている。
しかし装飾は最低限のものだけであり、どちらかと言えば肉厚の本体が目立つ実戦向けの弓だろう。
弦は少し位置を変えただけで十本以上も張られているので、見方を変えれば新手のハープのようにも感じられる。
弓を凝視しすぎたのか、俺の視界に一つのウィンドウが立ち上がった。
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【神弓・カウスアウストラリス[+53]】
RARE:S
耐久力:21749/32000
消費体力:5(Active)
神の蠍を射殺した弓。打ち出された術式矢は、あらゆる物理防御および魔法防御の耐久力を半減させる効力を持つ。
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この弓チートだ! 一撃で耐久力半減とか破城槌かよ!? 一人でも攻城戦が出来るバグ武器だよ!!
と叫びたい衝動をこらえてウィンドウを閉じる。今叫んだら確実にゴブリンに気付かれるからな。
俺の内心を知らないシェリスさんは、さらに二本の矢を呼び出して番える。
そのままゴブリンアーチャー二匹の頭部に狙いをつけると、
「えい~」
一歩間違えれば脱力間違いなしのほわほわボイスと共に、矢は飛んでいった。
音速を超えて。
「「「「「「「えっ?」」」」」」」」
ゴオオオオオオオオオオオォォオアッ!!
突如、まるでジェット機の傍にいたかのような轟音が俺達を襲う。ベルンが即座に結界を発動して守ってくれたが、それでも耳がおかしくなりそうだ!
そのついでといわんばかりに、俺達の隠れている草の前面が、まるで削り取られでもしたかのように消失した。
周囲の木々も根こそぎ吹き飛び、大木が大木でなぎ倒される。
雑草も豪風にあおられて宙へと舞い上げられ、俺達の周辺だけ台風が通ったかの如く丸ハゲになりつつあった。
「「「お"ほ"る"る"る"る"る"る"る"る"る"る"る"!!」」」
左右を見てみれば、木に隠れていた三人の冒険者が必死になって地面にしがみついていた。四つんばいになって地面に指を埋め、顔がジェットコースターに乗っているように震えていることから、彼らに圧し掛かる力の強さが伺える。
彼らを襲っているのはソニックブームというやつだろう。物体が音速を超えた際に周囲に出る衝撃破だ。俺と姉妹達はシェリスさんの近くに固まっていたため大丈夫のようだが、周囲の人間はたまったものではない。
幸いにもソニックブームが発生したのは数秒だったので、誰も吹き飛ばされることはなかった。奇跡だろそれ。
「あ、あら~。やりすぎてしまったようですね~。今までよりも風魔法の威力が上がっているような~……?」
嵐が過ぎ去った後、シェリスさんが困ったように笑う。
周囲は矢と衝撃破が過ぎ去った空間だけ無残にも刈り取られ、ぺんぺん草一本たりとも残っていない。例えるのならば、収穫が終わった田畑みたいな感じだろうか。
禿げ上がった空白の中で、シェリスさんの声がやけに響いた。
「確かにやりすぎだが、無事に目標は撃破され、周囲のゴブリンも気絶している。遠慮なく狩らせてもらうとしよう」
「そうね。せっかくシェリスが道を空けてくれたんだもの」
ツバキさんが苦笑いしながらゴブリン達に近づいていくと、その後にアリサが続く。
彼女の視線の先を見てみたところ、確かにゴブリンアーチャーは矢で存在ごと削り取られていた。本体も、衣服も、身につけていた粗末な弓すら跡形もない。
周囲にいたゴブリンも衝撃破にあてられて気絶しているらしく動かないでいる。時折ぴくぴくと痙攣しているので生きてはいるようだ。も、モンスターって頑丈なんだな。
「これで三体目か。向こうのゴブリンは残しておくとしよう」
「それがいいわね」
順調にザクザクとゴブリンの喉元へ刃を埋め込んでいるツバキさんだが、その光景は地味に怖い。
しかも、モンスターの動力機関である宝石『魔石』を心臓から抉り出すことも忘れていないので、死体蹴りのオマケ付き。いや追いはぎか? 魔石はモンスターを倒したと証明する物だし、当たり前と言えば当たり前なのだが。
彼女の周りにある鬱蒼と生い茂った木々のおかげで、より不気味に………ん?
「あれ? 撃った矢はどこに行ったんだ?」
俺は目の前の光景に違和感を覚えて首をかしげる。
あのままであれば弓矢は木々を貫通し、対面にいたオッサン達のところまで飛んで行っていただろう。
なのに、街道側への被害は綺麗さっぱり何一つ無い。
森林が丸ハゲになっている光景を上空から見ると三角形になっており、その底辺で俺達が横並びになっていて、残った頂点にゴブリン達の集団が存在していた形だ。
つまり、ゴブリン達を通り過ぎたところで突然矢と衝撃破が消失したとしか思えないのだ。
「……ん」
俺が頭を捻っていると、ベルンがトコトコと歩いてきてシャツの裾を引っ張る。
「どうした?」
「……矢、摩擦熱で燃え尽きた」
は?
「……本当」
えっと、あの、マジっすか。
つまり、地球の大気圏に突入する隕石の如く、森林を貫通する前に弓矢自体が耐え切れなくなって燃え尽きたと。
「……大気圏が何かは分からない。でも予想は出来る。たぶん正解」
その言葉に、引きつった笑みでシェリスさんを見やる。
台風のような被害を出したにもかかわらず、相変わらずのほわほわ笑顔。
シェリスさんは大して気にしていないものの、こんな惨状にしてしまった真犯人は俺だ。
ユニークスキル『エンゲージ』。
こいつは慣れてから使うことにしよう。
□
なお、ゴブリンを殺す作業は、元より『錬鉄の心胆』スキルを習得して備えていたこともあり、特に嫌悪感も無くあっさりと始末を終えていた。普通に内臓を引っつかんで魔石を抉り出し、手を緑色の血で染めているというのに、全く持って心が動かない。水魔法で手を洗いながら『どんどん真人間を辞めていくなぁ、俺』と冷静に分析する余裕すらあった。
そうやって魔石を回収した後、馬車のところで待っていたのは岩石オッサンのでかい図体だった。
「おう、帰ってきたか。そっちも無事に奇襲できたようで何よりだな!」
「そっちも大丈夫っぽいですね」
「おいおい。テルケスみたいに、俺にも素の言葉使いで話していいんだぜ? 堅苦しいなオイ」
「あー、まぁ、そだな。オッサンがそう言うなら」
「俺はまだ二十八だ!」
「マジで!?」
生きて帰ったことで、オッサンが俺の肩をバンバン叩いて喜んでいる。オッサン呼びしたらバンがドゴンに変わったけど、まぁいいか。
手荒くても祝福してくれることは分かったし、俺もオッサンの肩を叩き返した。
いいな、こういうの。部活の祝勝会みたいな感じだ。
聞けば、向こうのパーティーも無傷で完勝したそうだ。
元々オッサンと他数人のCランク冒険者が率いていたので、当然と言えば当然なのだが。
「お疲れ様です、リュウタロウさん。逃がしたゴブリンはいますか?」
「ゼロだ。逃げる余裕すらなかったと思うぞ」
オッサンの後ろからテルケスが顔を出す。
俺達の報告を聞くと、彼は満足そうに頷いた。
「分かりました。モンスターの死体は、魔石を抜いてから少し時間が経つと風化するので、疫病の心配はありません。ひとまずは大丈夫でしょう」
それ、アリサ達にも言われたな。
なんでも、魔石を失ったことによる魔力枯渇が原因なのだそうだ。
魔石を取り出す前に甲殻などの剥ぎ取りを行う必要があるため、少々面倒だったりする。逆に、死体を長期間放置していても結局魔力は枯渇する為、どのみち疫病の問題が無いといった利点もある。一長一短か。
「ともあれ、これで目前の脅威はなくなったわけだ。お手柄だぜボウズ」
「そうですね、先へ進みましょう。リュウタロウさん、また気付いた事があったらお願いします」
「ああ。分かった」
テルケスは全員の無事を確認すると、馬車に乗るよう促した。
再び幌を潜って荷台に乗り、俺達は街道を進み始める。
そのまま二十分ほど――
特にモンスターの姿をオブジェクトレーダーが捉えること無く進んだものの、それが逆に不安を煽った。
周囲の木々が変わり映えせず、進んでいる気がしないというのもあるが。
「見えてきましたよ。あれがゴブリンの巣窟になっているとの報告が入っている山です」
アリサとベルンが相変わらずグースカ寝ている中、御者台に座ったテルケスが前方を指差す。
その先には高さ五百メートル程度の山があった。
視認した限りでは木が一本も生えておらず、山の全てが岩石で構成されてるみたいだ。
「あの鉱山ですが、数年前に鉱石を採りつくしてからというもの、誰も掘る人間がいなくなりましてね。廃坑になっているんですよ」
その言葉に、目を瞑っていたツバキさんが反応する。
切れ目の視線をテルケスへと向け、真一文字に結ばれていた口を開く。
「廃坑……ということは、元々あった横穴にモンスターが住み着いたのか」
「おそらくは。幸い、鉱石探知による計画的な採掘だったそうで、横穴などは定期的に埋めていたそうです。今現在残っているのは中央大坑道だけでしょう」
「なるほど。つまり、基本的には一本道で奇襲の心配は無い、ということだな」
「そういうことになりますね」
そう言って、テルケスは山の麓から少し離れた場所、南側にある森の中に進む。
北に位置する鉱山は南側に坑道が開いているので、ゴブリンの巣へは回り道せずに直行できるルートだ。
敵地に馬車で行くわけにもいかないため、馬達は森の中に隠しておく手はずになっている。ヒヒンと啼いて不満を訴える彼らには悪いが、連れて行くわけにも行かないだろう。
「ここなら北側からは見えませんし、この辺りをベースキャンプとしましょうか」
俺達は森の奥にある空き地へと進むと、周囲から死角になるだろう大岩の陰に馬車を留める。
シェリスさんとツバキさんが馬車から降り、俺も後に続くために立ち上がろうとして……膝の上の二人を忘れていた。
「ほら、起きろ」
「んあ?」
「……んぅ」
寝ぼけている二人の首根っこを持ち、猫を運ぶかのようにして降りる。
周囲を見てみれば、他の面々は身体をほぐしたり武器の手入れをしたりと、各々が必要なことを行っていた。
「少し休憩にしましょう。その間にリーダーは集まって作戦会議を」
パーティーメンバーが防具やその他の確認をしている中、俺達リーダーはテルケスの傍に行って円陣を組む。
こうやって会議をする光景はいささか雰囲気が出ているものであり、かなり厨二心をくすぐってくれる。
物語の中ならここで焚き火の一つでも設置するのだろうが、あいにく敵地からは近いのでそんな馬鹿な真似は出来ない。
「レイドが休息をとっている間、偵察へ向かうメンバーですが……」
「僕のところから出せますよ」
「ウチのところからも出せるぜ」
「俺達も大丈夫だ。ボウズのパーティーは休んどけ」
テルケスが偵察隊のことを話し出すと、ラウドともう一人いたパーティーリーダーが名乗りを上げた。
それに少し遅れてからオッサンも手を上げる。
「いいのか? 何なら、ここからでもゴブリン達の状況を探ることだってできるが……」
オブジェクトレーダーと鷹の目を組み合わせれば、敵の数と配置を探ることはなんら難しいことではないと思う。
しかし、彼らはニヒルに笑うと首を横に振った。
「ボウズに世話されっぱなしってのも悪いからな。偵察が戻ってきたときに、敵陣の答え合わせでもしてやってくれよ」
「そうですね。それにウチのパーティーは偵察の経験が少ないので、リュウさんのいる今回が丁度良い機会になると思います」
「そうそう。お前さんはゆっくり休んどきな」
オッサンとラウド、そしてもう一人のパーティーリーダーが俺に向かって笑いかけてくる。
本当はオブジェクトレーダーの探知範囲を半径1キロにまで上げれば偵察すら必要ないのだが、野暮なことは言うまい。
ラウドパーティーの経験にならない上、そもそも今回の偵察は大部隊と戦闘をする仕事ではないのだ。むろん偵察にも色々あり、迷宮を踏破する為に多数の敵と闘いながら進む類のモノもあるのだが、今はただの下見。見つからないよう動くことが最重要項目となるため、危険度は低いだろう。
ここは引いておくのが無難か。
「それじゃ、お言葉に甘えさせてもらおうかな。索敵能力には自信があるが、俺自身は偵察初心者だし」
「……本当にあなたは極端ですね」
俺の言葉に苦笑するテルケス。
偵察で伸びる能力が、スキルセットカッコムゲンで代用できるんだ。仕方ないだろ。
「では、リュウタロウさんを除く各パーティーから一名ずつ偵察に出してください。決して深入りはしないこと。いいですね?」
「おう!」
「はい」
「任せろ」
それで異論は無かったらしく、全員が頷いてそれぞれのパーティーのところに戻っていく。
偵察に出すメンバーを話し合うのだろう。
「リュウタロウさんも、お休みください。相手がゴブリンとはいえ道中での奇襲を看破する功績を残しているのですから、今は気を落ち着けて報告を待ちましょう」
「ん。了解」
テルケスは三人を見送りながら、俺に労いの言葉をかけてくる。
とはいえ待っている間はやることが無い。武器の手入れ以前に武器が無いし、薄暗い森の中にクエスト目標の陽光草は生えてない。大人しく休憩しよう。
俺を除いた各パーティーから一人ずつ、全三名で構成された偵察隊の出発を見届け、四姉妹達が座っている木陰に戻ってみると、
「ねー。お腹すいたー!」
待っていたのは、アリサお嬢様からのお叱りの言葉だった。
仰向けでモデル体型の手足を投げ出したままパタパタと揺らし、盛大に不満を訴えている。駄々っ子かお前は。
しかし、言われてみれば既に太陽は中天まで昇っており、お昼時でもある。
俺はメインメニューからアイテムボックスを呼び出すと、ポップアップウィンドウを操作して五つのバスケットを取り出した。
「ほら。弁当だ」
「やったー! リュウ大好き!」
「はいはいどうもどうも。薄っぺらい愛情だことで。あ、シェリスさん。おしぼりとジュース回して」
「分かりました~。それにしても、アイテムボックスは便利ですね~」
「うむ。例え行軍中であろうと、保存食ではなく作りたての料理が食べられるのは利点だな」
「……剥ぎ取り素材も腐らない」
「使っている本人が言うのも何だが、便利なのは同感だな。これに慣れると、いちいちリュック背負うのもアホらしくなるよ」
四姉妹全員に濡れ布巾とバスケット、そして竹筒に入った果実水を受け渡し、俺も太い木の根へと腰を降ろす。
バスケットのフタを開けてみると、中に入っていたのは巨大なBLTサンドと蒸かし芋だった。
「こ、これ、相当でかいぞ……。食べきれるかな、俺」
芋は普通のサイズだが、もう一つの方は俺が知っているBLTサンドの数倍以上だ。
横から見るとハードカバーの文庫本ほどもある厚さで、具を挟んでいる円形のパンは直径がフリスビーくらいある。それでいて中にはぎっしりとレタスとトマト、ベーコンが詰まっているのだから、とても食べ応えがありそうだ。
間違いなくこれ一品でお腹一杯になるだろう。
この弁当自体、一人前が銀貨二枚(約2000円)というかなり高価なもので、『緋色の風』リーダーの財布が無ければ絶対に買わなかったと思う。
今更だが、こんなの食った後に戦闘とか正気の沙汰じゃないな。
「あむっ……んー、はうふあいあえ。ふぁふあにふぁはいあへああうあ」
「アリサ姉様~。何言っているか分かりませんよ~」
「おそらく姉上は『悪くないわね。さすがに高いだけはあるわ』と言っているのだろうな」
「……(もぐもぐ)」
四姉妹が豪快にかぶりつく(シェリスさんだけ上品に食べ進めている)のを見ながら、俺も一口含んでみる。
「ん、結構イケる」
平べったいフランスパンのような見た目だったが、意外にもふっくらした柔らかさがある。BLTサンドは新鮮な野菜を使っているため、保存食のように焼き固める必要が無いからだろう。
挟んであるベーコンも肉厚で、数センチの厚さからじわりと肉汁が出てくるのが堪らない。出来たて状態で保存できるアイテムボックス様ありがとう。
ソースは、なんだか肉の無いスパイシーミートソースって感じだ。他に何て表現すればいいか分からん。でも悪くないな。パンとの相性もいいし野菜が甘辛くなるから食が進む進む。
「くっくっく。大規模討伐作戦にレガルサンドを持ってくる人は初めて見ましたよ」
巨大な昼食を一心不乱に食べていると、俺の後ろから笑いをこらえるような声が聞こえた。
振り返ってみれば、そこにいたのは……。
「テルケスか。どうした?」
「休憩がてら、各パーティーに体調不良者がいないか確認をしているのですよ。森の中で毒蛇に噛まれるなんてことも、起こらないわけではないので」
そう言って、手に持った皮の水筒と干し肉を呷る。
本当にこの人はマメな性格をしているな。だからこそレイドリーダーなんて役目を任されているのだとは思うが。
きっと、毒を回復する薬とかも常備しているのではないだろうか。
(毒か……)
ふとヘルプの欄に毒の記載があったことを思い出し、BLTサンドを置いてメニュー画面を呼び出してみる。
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毒属性の攻撃を受けた場合、一定確率で『毒状態』になります。毒状態にならないためには、一部の毒を無効化するスキル『ポイズンマスター』を習得しているか、毒の種類に対応した耐毒薬を事前に服用しておく必要があります。
毒状態では体力が徐々に減少します。毒には大まかにレベル1から5までの強さに分かれています。レベル2以下の毒で体力が0になることはありません。
毒状態は、対応する解毒薬によって回復することが出来ます。また真血清を使用することにより、全ての毒を中和することが可能です。
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読み終わって思ったが、これを見ると毒は馬鹿に出来るものではない。
時間経過での回復が記載されていないのだから、解毒する為には薬を飲むといった無防備な姿を晒すことになる。それが戦闘中であれば致命的な隙になりかねない。麻痺とのコンボをされてしまえば回復の暇すらないだろう。
確かに、テルケスの心配も当然と言えば当然の話か。
そう考えながらメニューを閉じると、彼の視線が俺達の持つバスケットへ向けられていることに気付く。
「レガルサンドはかさばりますし、何よりボリュームがありますからね。食べ過ぎて動けないといったことにならないよう気をつけてください」
「それは多分大丈夫だと思うぞ」
苦笑いするテルケスに、俺は肩をすくめる。
四姉妹は城の中とは言え戦闘経験を積んでいるらしいからな。満腹で運動をするキツさは知っているだろう。
「この程度なら腹八分にもならないわ(はぐはぐ)」
「うむ。食えるときに食っておかねばな(がつがつ)」
「……けぷっ」
「ベルンちゃん、頬にソースがついていますよ~」
「……ん。ありがとう」
食べ始めてから数分と経っていないのに、俺以外のBLTサンドが半分以上腹の中に消えている。
ベルンに至っては副菜の芋すら食べ終えて、可愛らしく満足の息を吐き出していた。あの小さい体のどこに入って行ったのか不思議でならない。
というか、みんな早いよ。俺まだ三分の一も食べてないのに。
(こうしてみると、本当に仲の良い姉妹だよなぁ……)
アリサとツバキさんが笑顔で話しながら食べ進めている姿を見て、何となくそう思った俺。二人の隣では、お腹をさするベルンの頬を、シェリスさんがハンカチで拭いてやっている。
仲良きこと仲良きこと。もうこの光景だけでお腹いっぱいだよ。
「テルケス、半分食うか? 結構旨いぞこれ」
俺は胃がもたれそうなBLTサンドを半分に割り、片方をテルケスに差し出してやる。
まだ『健啖家』スキルに振っていないので、俺の胃腸は一般人のままなのだ。
「おや、よろしいのですか。ではいただきます」
そう言って、テルケスは半分になったBLTサンドを受け取る。
彼自身の人柄は四姉妹も嫌いではないようで、積極的に冒険者の仕事についての質問をしながら休憩の時間が続く。
しかし、その安寧は唐突に終わりを告げた。
果実水を飲みながら木陰で涼み、偵察隊の出発から約30分が経過しようとしていた頃だった。
「騒がしいな……」
俺の地獄耳が違和感を捉える。
直後、俺達とテルケスが休んでいるところへ、一人の冒険者が息を切らせて駆け込んできた。
「テルケスさん、テルケスさん! 大変です!!」
「ど、どうしたんです。何かありましたか?」
テルケスが目を見開いて言葉を待つ。
冒険者の顔は青ざめており、その動揺っぷりは危うく木の根に躓いてしまうほどだ。
彼は少しだけ下を向いて息を整えると、少しだけ逡巡してから簡潔に言った。
「偵察隊が、壊滅しました……」
体力ツリー
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【錬鉄の心胆】
RANK:B
前提スキル:魔力増加[+10]、ポーカーフェイス、鉄の心臓
消費体力:120(Active or Passive)
持続時間:120s
何事にも動じない鋼の如き胆力を得る。精神に影響する効果を90%軽減する。恐慌状態を無効化する。
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