8月13日
イヌカイ「今日は風が冷たいな…」
夏の夜に相応しくないほどの風が吹いていた。
台風のせいか、洗濯物もかかっていないベランダ。
どこの家庭もこうなのだろう。
シバ「今日はよく見えるか?」
イヌカイ「また来たか。」
改めて姿を見た。
黒髪のロング、少しくせっ毛でところどころハネていた。
美少女と言える少し手前ぐらいの顔をしている、幼げのある、これからべっぴんさんになるのだろうと思う顔をしていた。
イヌカイ「お前は本当になんなんだ?」
シバ「お前だぞ」
イヌカイ「俺とは決定的に違うだろ、顔も性別も年齢も。」
シバ「いーや?性別と顔はどうか知らないが年齢も性格もソックリだぞ。」
イヌカイ「年齢にソックリなんて概念を持つのか?」
シバ「今持たせた。」
イヌカイ「自由なヤツめ、同い歳で伝わります。」
シバ「そうか。」
「……」
イヌカイ「ソックリって事は誕生日も同じって事か?」
シバ「そうだ。」
イヌカイ「そうか。」
シバ「ゴリラは全員血液型はB型だけれどお前は全員A型だろう。」
イヌカイ「全員ってか俺は俺しかいないけれど。」
シバ「お前は毎日何を覗いているんだ?女の裸か?」
イヌカイ「そんな趣味は無い、俺みたいなナードは星を見るのが基本なんだよ。」
シバ「動かない物を毎日見てるなんて、暇なのか?」
イヌカイ「動いてるよバカ。」
シバ「そうか?違いがわからないぞ?」
イヌカイ「話にならないな。」
シバ「そうか……」
イヌカイ「いつもどこに帰るんだ?」
望遠鏡を覗いていたら彼女は消えていた。
僕の勇気を出した質問は風に連れられ手が届かなくなってしまった。




