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今居なくても、居る
梅の目の前には視界を覆い尽くす黒い霧。
ヒットアンドアウェイのつもりで、速度をだしすぎている。
今更止まることは出来ない。
また、足を引っ張るのか。
また、あるべき場所を失うのか。
断ち続けたいと思った糸をあの子がそれでも、何度でも結ぶから。
少しは役に立ちたいとそう思ってたのに、結局これか。
梅は鞘を持つ手の力を抜いた。
しかし、黒霧に触れた梅は無傷だった。
魔力も吸われて無い。
何が起きたと自身の体に手を当てると、ポケットから魔力が発生している。正確には魔法が発動している。
それは、自分のみ知らぬ指輪。
でも、誰のものか分かった。
「アンタね……」




