↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
貴方は復讐相手です。愛したことなどありません。  作者: あずあず


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/43

侍女・マリエ視点,2

「マリエ、そんな所で何をやっているの?」


 心臓が飛び跳ねて後ろを向くと、私を呼び止めたのは侍女長のエイルだった。

 初めは、ただ挨拶程度に声をかけただけのようだったが、目が合うやだんだんとその表情が険しくなっていった。


「…旦那様の執務室の前で、一体何をしているの?」

「あ、いえ……」

「答えなさい、マリエ」


 強い口調に肩が跳ねた。ここは変に誤魔化すより、素直に答えた方がいいだろう。


「執事のティムが、私とすれ違うなり変に動揺していて、執務室に駆け込んで行ったのです」

「ティムが?」

「はい。そして…その、小脇に手紙のような物を隠していました」


 キツい目で、じっと私のことを見ている。何かを確かめようとしているようだった。


「その、私…奥様とのことを心配していて…それでつい…」

「…分かりました。取り敢えず貴方は奥様のところへ戻りなさい」

「ですが…」

「良い?二度は言わないわ」

「エイルさん…」


 仕方がないとばかりにため息をつくとエイルは言った。


「奥様のことを心配しているのは、貴方だけじゃない」

「…え?」

「存外、貴方が思うより仲間がいると言うことよ。ここは私に任せなさい。奥様のことをお待たせしてはいけないわ」

「分かりました」





✳︎ ✳︎ ✳︎





 爽やかな風が吹き抜ける午後。奥様はブランケットの上で、ティーカップを片手に寛がれていた。


「奥様が召し上がっているハーブティーのハーブは、この庭で採れたものなのですよ」

「まあ!そうだったの。土壌も育て方も一級なのね」

「庭師のジョディーが喜びます」

「ジョディーとは一度挨拶したきり、あまり会っていないわ。彼、草花と向き合うと真剣なのだもの。とても話しかけてはいけない気がして」

「ああー…」


 そうなのだ。無愛想な訳ではない。決して無礼なわけでもない。ただ、草木を丁寧に扱うが故、ただならぬオーラで人を寄せつけまいとする。

 けれど、奥様の美しさからか、時折手を止めてじっと見入っている時がある。それこそ無礼であろうとハラハラしたものだ。奥様は気がついていらっしゃらないのが幸いである。


(次に見かけた時、ジョディーに注意しなくては)


 草木が友達の、ジョディーの目線を奪ってしまうくらいなのだから、奥様は飛び抜けて目を惹く存在なのだ。


「さて、そろそろ戻りましょうか」

「もう少しゆっくりされないのですか?」

「だって、カイアン達はそろそろ干したシーツを取り込まなければならないし、ジョディーは草木にお水をあげる時間だし、マリエはいつもこの時間は休憩に入るでしょう?」

「おおおお、奥様!侍女の休憩の時間など気にされないでくださいっっ!」

「あら、ごめんなさい。そういうのは私が知らない所で入るものよね…余計なことを言ったわ…」

「ですから、奥様が気にされることでは…」


 ふわっと腕を引かれる。驚く間も無くブランケットに膝をついてしまった。

 予備で持ってきていた空のティーカップにハーブティーが注がれる。


「ここで少し休憩しましょう?貴方にも庭園でのびのびとした時間を過ごして欲しいもの。さあ、カイアン達も!」


 続けて呼ばれた執事も驚いた顔をする。


「えっ…」

「あっ…私がいたら休憩にならないわね…」

「そんなことありません!そんなこと…!」


 奥様が両手で顔を覆っている。その場の全員がそれに見惚れた。


「ふふふ、可笑しいわ、マリエ。そんなに慌てて」

「奥様…」

「ねえ、このブランケットは私が一人座りには広すぎるのよ。みんなでクッキーを頂きながらのんびり過ごしましょう?」


(この方は…本当にあの悪名名高いサンディー•ノエル伯爵令嬢なのだろうか)

面白かった!続きが読みたい!と思ったら、

ぜひ広告下の評価を【⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎】→【★★★★★】にしていただけたらモチベーションがアップします!よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。