表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『世界一弱いお父ちゃん(ゴブリン)は、世界一あたたかい』 〜ゴブリンに育てられた少女アリスの成長譚〜  作者: クワガタンク
第二章:芽吹きの時代

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
28/32

第28話:忍び寄る長い影

「……ん、あさ?」


眩しさと肌寒さで目が覚める。


「からだいたいし、おなかへった……」


……とりあえずここから出て、帰り道を探しつつ何か食べ物を見つけよう。


おっと、そうだ。


魔法で水なら出せるか。


手の平でお皿をつくっ――。


……やっぱり手の甲から出るか。


よし、水分補給もしたし行動開始!


さて、当面の問題はこの崖かぁ。


崖の左側には、落ちてきた時に折れた木が見えるけど、昨日の”鳴き声”が気になるし、登れそうにない。

右は崖が徐々になだらかになってるけど、その分森が深そう。


まぁ、魔法で足場を作れば登れそうだけど、どこまで自分の魔力が持つか分からないし。


師匠の話では、魔力切れが近づくと疲労感が出てきて、最後には体力が尽きて倒れてしまうらしい。


体の中で魔素を燃やすのだから、体力も僅かに消耗していると言っていた。


それに、崖の途中で魔力切れを起こして立ち止まった瞬間、魔物に襲われそう。


隠れる場所もなさそうだし、目立つだろうなぁ……。


となれば選択肢は一つ。


怖いけど、崖沿いに森へ入って登って行くしかないか。




~~~




あれから結構歩いたけど、この崖を迂回できそうな場所が見えてこない。


それよりも……。


背中に付けたら空も飛べちゃいそうなトンボ。

そして、それを食べる巨大なカエルがいた……。


まさかとは思うけど、そのカエルを食べるような――。


……まさかね。


ん? 急に影が……雲でも出てきたのかな?

少し曇ってきたのかもしれない。

雨が降り出す前に、登れそうな場所を見つけておきたいな。


それにしても、深い森と曇り空のせいか、時々急に暗くなるから歩きづらい。

おまけに色んな鳴き声や、何かが這いずるような音まで聞こえる……。

けど、それを気にして立ち止まってる暇はない。


よし、とにかく慎重に進もう。


静かに、焦らず、不用意に近寄らず、そして触ら――……ず?


なんだろ、このすべすべしたの……。


振り返ったら目の前にあったけど。


……長いなぁ。


いやだなぁ、怖いなぁ、見たくないなぁ……。


恐る恐る視線を横にずらしてみる。


……大きな赤い目が、二つ。


「…………へ、へびぃぃぃぃ!」


と、鳥肌がヤバい!


しゅるしゅる言ってるーー!!


なにより、デカイ!


「キシャァァァアアアアア!」


て、撤退いぃぃぃ!!


ひいぃぃぃぃ! 


木をなぎ倒しながら追ってくるぅぅぅぅ!


はっ!そうだ、こんな時こそ魔法!


えーと、えーと……!


追い風!


すっごい追い風で、一気に逃げれば――!


そうと決まれば、発動!


あ、危なっ!


ダメだ、小刻みに風を使わないと木に当たる!


でも、それだと追いつかれるし……!


……こうなったら一か八か、振り向き様に一撃!


――当たれぇぇ!


「すとーーん、ぱんち!」


「ギャシャァァァァ!?」


地面から岩の握りこぶしが飛び出し、蛇の顎を打ち抜く!


「シャァァァァァアアアアア!!」


不味い!?


怒らせただけぇぇ!?


と、とにかく、もう一回風魔法で逃げ――!


「ジャアァァァァァ!」


「あぶな!」


ふうぅぅぅ……。


咄嗟に横へ逃げてなければ、お終いだった……。


どうする、どうする!?


そうだ!


崖に、私がギリギリ入れる穴を開けて、そこに逃げ込めば――って、崖が終わってるぅぅぅ!


まずいマズイ不味い!


それに、気付いたら森も終わって、いつの間にか草原になってるし……!


うー……これならどうだ!


“土分身!”


どうせ蛇に、色の違いなんか分かりっこないはず!


この土魔法で作った私の分身達を囮に――


……あれ?


なんか、真っ直ぐこっち見てない?


「シャァァァァァァ!」


「なんでぇぇぇ!?」


蛇って目が良かったの!?


……あ!


ピット器官か!


熱源探知されたら、分身も意味がない!


早く、この鬼ごっこを終わらせないと……。


こうなったら、“アレ”を試すしかない。


小さな氷の刃を、目に見えるギリギリまで小さくした大量の刃。


それを高速で回転させ、更にリング状に束ねてぶつける!


「あいすかったー!」


「ジャアァァ!?」


斬れた!


少しだけど斬れた!


それに、警戒してくれている。


少なくとも、ただのエサから、警戒しなければならない獲物にはなれたかな。


けど、ちょー、と不味いかも……。


……膝が笑い始めてきた。


魔法を使い過ぎて、立っているのもきつくなってきた。


だから、まだ警戒しててね……。


その隙に、息を整えておくから。


「……ふう、ふう」


アイスカッター、魔力消費が半端ないなぁ。


使えてあと二回ってところかな。


いっそ、土魔法でまた卵型の殻を出して――


……だめだ、丸飲みにされる未来しか思い浮かばない。


なにか、何か無いか……何か……!


!!


私がギリギリ入れるくらいの小さな“穴”を真下に開けて隠れてしまえば、もしかしたら!


そうと決まれば!


「でぃぐ!」


「!?」


どうだ!


ここなら襲ってこられな――


「ジャアァァァァ!」


尻尾!?


尻尾の先が、無理やりこっちに入ってくる!?


ヤバいヤバいヤバい!


もっと、もっと下に!


……ん?


なんか、息苦しいような……。


ヤバい!?


今度は空気穴が無いと不味い!


な、斜め上に軌道修正!


よ、よし!


微かに、光が見えた!


……あ、だめだ。


もう魔力が……。


くっそー、ここまでやって諦めたくないなぁ。


あーぁ、尻尾で開けた穴から顔を突っ込んで、無理やり入り込もうとしてるよ……。


……ふぅ。


あの大きな顔が私に届くまで、まだ少し掛かりそうだし、休憩しながら足掻いてやる。


さぁ、今度はただ逃げるだけじゃないぞ。


硬く固めながら進んでやる!


だから、もっとゆっくり来てね……蛇さん。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ