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ロクでなしの魔女  作者: 木介


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26/28

焼け朽ちる

【登場人物】

・ハウス

魔女に会うため屋敷を訪れる。

ルルを助けて再び屋敷へ戻る。

コシネロの罠により窮地へ追い込まれた。


・リリス

屋敷の魔女。

プロテスとボンドに襲われている。


・シャミ

獣耳の子供。

8歳ぐらいの子で執事見習い。

コシネロ以外には好意的である。


・コシネロ

屋敷の料理人。

常に体調が悪そうな人物。

罠を仕掛けてハウスを殺しに掛かる。


・ボンド

屋敷の門番と庭師。

顔と身体が分離しており腕がたつ。

今は訳ありコシネロ達と組んでいる。

突然の爆発によってハウスは吹き飛ぶ…はずだった。

だがそこにいたのは痩せ細り一人を守るのが精一杯の小さな黒い塊だ。


キョトンとした顔で見るコシネロとその縦に伸びた瞳孔が合う。


「ひぃ」と小さく息を漏らし及び腰になるコシネロは震える両手で包丁を固く握り、それに向かって構えた。


すると、それは鋭い爪でコシネロの両手を弾き飛び掛かってくる。

自らの身体を守る事も出来ず、胸、腹、腰、と何度も抉られ、その身体は大半を失い上下に別れる寸前であった。


この状況でもハウスは自然と恐怖を感じない。

それはこの何か分からない生物が自分を守ってくれたからでは無い。


この生物に面影を感じたからだ。


「シャミ?…」


その言葉に生物は反応し攻撃を止める。

改めて見ると全身に火傷を負い、耳は片方千切れ、脚も震えて立つのが辛そうな状態であった。


「シャミ、お前どうしたんだ…」


ハウスは確信に近い状態で話し掛けながら駆け寄った。


シャミの怪我を心配すると同時にコシネロへ目を向ける。

「あぁ…あ…」と声にならない音を出し、ハウスへ視線を送っていた。


「分かってる」


ハウスはその視線で全てを読み取った。

この屋敷では死ぬことは無い、彼の状態は死よりも辛く、見るに堪えない。

魔女の力に対抗出来るのは魔女の力のみ、これで安らかになってくれとハウスはコシネロの頭へ銃口を向ける。


その姿を見た彼は厨房の方へと手を伸ばしハウスへ伝えた。


「ちゃん…と…片付…け…ろ…てっ」


その言葉を聞き終えたハウスは目を反らさず、頭を撃ち抜くのだった。


コシネロに止めを刺したのを見送ってから、シャミは付いてきてと言わんばかりに自らが開けた穴へ案内をする。

そしてハウスは急ぎ向かうのだった、彼が案内した先へと。


着いた先は異様な熱さ、夜なのに扉の奥は明るい。

少し前までリリスと共にいた場所を開く、そこには男が二人立っていた、だがその立ち姿は対照的である。

一人は呆然と立ち尽くしバツの悪い顔をしてこちらを一瞥する。

一人は全てを解放したかのように気持ちが満たされた顔をしていた。


そしてそこにはもう一人いる筈であった。

だがそれは既に、真っ黒な人形(ひとがた)でしかなかった。


「フィリア・プロテス!!」


ハウスは叫ぶ。


気持ち良さそうにしていた顔のまま目だけをこちらに向ける。


「名乗った覚えはないが?」


以前から知っていたかのような口振りに彼は疑問を抱いた。

今にも突っ掛かってきそうなハウスをボンドが剣で制止する。


「魔女は死んだ、もう終わったんだ…」


その終わりを告げる言葉は何とも意に介さないものであった。


「終わってなんてない、コイツを殺すまでは」


「貴様の想いなど知った事では無い、ボンド、コイツを殺せ」


その命令にボンドの拳に力が入り、ハウスを制した剣がその剣先を翻す。


「どうゆうつもりだ?」


プロテスはこの行動が理解出来ず、不機嫌を露にして聞いた。


「必要だろ? 受け取れよ」


プロテスの質問は無視してボンドはハウスに話しかける。


「お前…このままいけば自由になれるのにアイツを裏切るのか?」


「裏切る? そんなつもりはねぇよ、俺は俺の為に行動しているだけだ」


差し出された剣の柄を強く握り、ハウスはそこにあるボンドの想いを受け取った気がした。


「ボンド、お前はまるで何をしたいのか理解できんな」


二人の中にプロテスは割って入る。


「そうかい、理解しないで結構だ」


口答えをするボンドに苛立ち「じゃあ死ね」と熱気を放つ。


「ハウス!!」


ボンドは叫んだ、彼の心臓をプロテス達が持っているいじょう、それを壊されたらボンドは再起不能だ。


この一瞬で勝負が決まる。


「首を落とせ!!」


ボンドの言葉にハウスも呼応する。


プロテスは「終わりだ」と指を鳴らした。

すると屋敷の至るところで爆発が起きる、ハウス達のいる所も例外では無く、二人は簡単に吹き飛ばされた。


「ボンド…」


呼び掛けても彼は応えない。


「ソイツの心臓も今の攻撃で爆発させた、もう目覚める事はないだろう」


「ぐっ…」ハウスは痛みで言葉を返せない。


「そしてお前も死ぬ、助かったよ使用人達を減らしてくれて」


「さようなら、名も分からぬ客人」


いつの間にやら右手に集まっている炎をハウスへ向かって飛ばそうとしてきた時、突如として飛び掛かる小さな黒い猫。


「この死に損ないの化け猫が!!」


プロテスは右手で猫を掴み、その炎を浴びせ燃やす。


「シャミーー!!」


ハウスは叫んだと同時にプロテスの右腕が斬り落とされる。

突然の出来事に皆が驚いていたが、プロテスの油断を誘うため敢えて死んだふりをしていたボンドが立ち上がり斬ったのだとハウスは瞬時に察した。


「クロ…お前ここにいたのか…」


黒猫を見てまだ何か言い足りない顔であったが、ボンドは我慢し叫ぶ。


「ハウス! お前が止めを刺せ!」


プロテスは突然立ち上がったボンドと自らの右腕が無くなった事に未だ困惑している。


ハウスはボンドの叫んだ言葉をきっかけに足へ力を込め一気に間合いを詰めて首を狙う、そしてハウスはプロテスと共に炎の中へと消えた。


プロテスはハウスの行動を見て即座に首を左手で守っていた。困惑しているように見えたのは罠、敢えて攻撃を誘っていたのだ。

そしてハウスの剣は首を斬ってはおらず左手の中程で止まっている。


「ははっ、今のは肝を冷やしたぞ、だがこの炎の中で私は死ぬ事は無い、お前はこのまま焼け死ぬんだな!」


自らの勝利を確信して高笑いを続ける。

だがこの時のハウス狙いは違った、朦朧とした意識の中で目の前の無防備な男の口へ銃を突っ込んだのだ。


「死ぬのはお前だ」


引き金が引かれる瞬間にプロテスが見た。

冷たく深い闇を帯びたハウスの瞳に映るリリスの面影を。

いつも読んで頂きありがとうございます!


今までは○○編と屋敷の使用人によって章を分けていましたが、コシネロについてはありませんので少し彼について書かせて頂きます。


彼は小心者でありながら他人を見下すキャラクターで、テーマは【プライド】です。

だからこそプロテスと対等である事に固執していながらも相手に認められたい、その人の上にいきたいという欲求があります。

なのでプロテスが「様子を見てこい」と言っただけにも関わらず彼はハウスに罠を仕掛けています。

この罠の肝が火である事、「本当はリリスに使うはずだった」と本人が言っている事からこれはコシネロが勝手にやった事なのです。

以上の事からも彼の性格が上手く伝わればと書いていました。


この性格はリリスに出会ったから変わったなどではありませんが契約により拍車がかかったのは確かです。

自分の店を持ちたい、コンテストで優勝したい。

彼はいつから料理は食べるより、作る事が目的になってしまったのでしょうか?

昔は丸々とした見た目でありましたが、今は隈があり痩せこけ体調が悪そうな人物です。

そんな変化も彼の身体で表現しております。


最後にコシネロ編が無いのも彼らしい最後だと私は思います。

ですがこのキャラクターに愛情が無い訳ではないので補足させて頂きました。

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