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ロクでなしの魔女  作者: 木介


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24/28

屋敷の主

【登場人物】

・ハウス

魔女に会うため屋敷を訪れる。

ルルを助けて再び屋敷へ戻る。


・リリス

屋敷の魔女。

歓迎会のおかげが気分が良い。

ルルの事を話し、ハウスを彼女の元へと向かわせた。


・シャミ

獣耳の子供。

8歳ぐらいの子で執事見習い。

コシネロ以外には好意的である。


・コシネロ

屋敷の料理人。

常に体調が悪そうな人物。

屋敷の主人と組んで魔女を殺そうとしている。


・ボンド

屋敷の門番と庭師。

顔と身体が分離しており腕がたつ。

今は訳ありコシネロ達と組んでいる。

時はハウスがルルの元へ向かっている最中に遡る。

ハウスが去った大広間、リリスの元にはコシネロとボンドが集まっていた。


コシネロは包丁を強く握り、ボンドはマフラーを巻いて首と胴が付いているように見える。


「もう歓迎会は終わったわよ? それとも貴男(あなた)達が二次会でも催すのかしら?」


相変わらずの口調で話しているが、お酒が入り気分が良く、いつもより少し高い声で話しかけている。


「おい、魔女! お前の事を殺しにきたぞ」


コシネロがその手にある包丁をリリスに向け、威嚇するように話す。


「やけに興奮してるのね? 良いことでもあった?」


威嚇するコシネロを煽るように話を続けるリリスの言葉にボンドが鼻で笑う。


「お前、何笑ってんだ! 油断するなよ!」


「それにしても貴男達だけじゃないんでしょう?」


その言葉を待っていたかのように一人、扉から入ってくる。

彼が入ると室内は熱くなり、まるで直接火に当たっているかのようだ。


「よぉ、久しぶりだなリリス」


その見知った顔はリリスの正面に座り、片手をテーブルに置いて挨拶をしてくる。


「おい魔女! プロテスさんが挨拶してるんだ、返事ぐらいしたらどうだ!」


自分が優勢と見るな否やコシネロは大きな声で喚き散らかす。

そんな彼を片手で制止「客人の様子を見に行ってくれ」とプロテスは指示を出す。


「客人…? あぁ、そうか分かった行ってくるよ」


そう返事をし、ドタドタと部屋からコシネロは出ていった。


「良い部下を持ったわね」


笑顔で言うリリスを無視してプロテスは話を始める。


「何年ぶりだ? ずっと閉じ込められていたから分からないが、お前が屋敷に来てからだから百年ぶりぐらいか?」


「それくらいかしら? どうでもいい事だから知らないわ」


「つれないな、かつてはあんなに愛し合った仲だというのに」


「一時の気の迷いよ」


「気の迷いにしては随分と長い間、心酔してたんだな」


「あなた達とは生きてる年数が違うからかしら?

私にとっては一瞬の出来事だったわ」


「相変わらず面白いな君は、そんな君を今日殺さないといけないのは残念だよ」


「残念ならやめたら良いじゃない」


「それは無理な相談だ、俺は昔からやると決めたらやるんだよ」


「そうだったわね…」


その言葉を合図にプロテスの手から炎が上がり、テーブルは燃え広がる。


「次は君が業火に焼かれる番だ」


するとテーブルの炎は中心に集まり、まるで放たれた矢のような勢いで彼女を襲った。


「やったのか…?」


黒煙でその姿は見えずボンドは尋ねる。


「いや、あのくらいで死にはしないよ」


暫くしても黒煙は一向に消えない。

その時ボンドは自らの勘違いに気付いた、そこにあるのは黒煙ではないと。


リリスを守る者がいるのだ。

それは彼女の闇を纏い、より黒く、その大きさも増していく。


呼吸が止まった。瞳孔が縦に伸びる。牙。笑った。


「化け猫…」


気が付けばプロテスは自らの腕から炎を放っているのだった。


ーーー


(あの爆発、嫌な予感がする)


ハウスは屋敷へ走った。入り口にボンドの姿がない。

それだけで全てを悟ったハウスはそのままの勢いで扉を押す。

ガンッと身体が当たっただけで扉はびくともしない。

誰かが鍵をかけたのは明白であった。

考えてみればルルの部屋の扉も開かず、ハウスを屋敷に入れたくない意思を感じる。


(強引に蹴り破るか?)


だがこの靴の力は日に二回しか使えない。

一回はルルと一緒に部屋の窓から脱出した時に使い、残り一回、屋敷の中で何が起きているのかは分からないが戦う手段として必要な事は確かであった。


かといって銃で撃ち破るのも連射が効かない、この銃では時間が掛かる。


(そうだ、裏口!)


テラスの近くに裏口があるのを思い出し、再びハウスは走る。

すると見えた裏口はここぞとばかりに開いていた。


明らかな罠、そうと分かっていてもそこから入る他ない。ハウスは辺りを警戒しつつ中へ入る。


屋敷の廊下は異様な光景であった。

入るなりズチャッという足音が廊下に響き、風船が道案内をするかのように敷き詰められている。

何より凄いのが匂い、スパイスの効いたカレーの匂いが充満しているのだ。

濡れている赤い絨毯を、ハウスはしゃがみこんで確認した。手に付いた色そして匂いは知っている物だった。


(カレーか? 床にカレーを撒いてるのか、一体何の為に? それにこの風船は何だ?)


この道標(みちしるべ)に沿って行くのは気が引けるが恐らく他に道はなく、ここを進むのが最短だと覚悟を決めて進む。


「よく進んでこれたな」


しばらく進むとコシネロが姿を現し声をかけてくる。


「やっぱりお前か俺の邪魔をするのは」


「やっぱりって相手が分かっていて進んできたんだな…」


「あぁ、こんな正面から向き合わず小細工して立ち回る、そんな卑怯物は一人しかいないだろ?」


ハウスはコシネロを挑発する。


「やっぱり魔女もお前もいちいち腹の立つ言い方をするな」


「事実だからな」


この返事にコシネロは一瞬怒ったが直ぐに冷静さを取り戻し。


「まぁ良い、だからお前はここで死ぬんだ」


コシネロはその言葉と共にライターを出した。


「何する気だ?」


「お前が通ってきた廊下何で濡れてると思う?」


「…」


「匂いで分かりづらかったかも知れないが、あれはカレーオイルっていう油が染み込んでるんだよ」


この言葉に彼が何をしようとしているか分かる。


「お前も被害を受けるぞ」


「あぁ、分かってるよ、やり直しの代償だ」


コシネロはライターを絨毯に投げ捨てた。


「ただ、俺の方に風船は無い」


この言葉を最後に火は両者へ襲いかかる。


(風船が無いだと? 何言ってるんだ)


そう考えつつもハウスはなるべく風船から距離を取ろうとする。


パンッと割れた風船からは白い粉が舞った。

次々と割れる風船、辺りは白くなっていく。


(一体これは…)


そう考えている時には遅く、ハウスは爆発に巻き込まれるのだった。

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