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ロクでなしの魔女  作者: 木介


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ルルの後日談

※ここでの話は本編と関わる事はありませんのでご承知おき下さい。

森を抜ければ日が眩しく、目を開けられない。ルルはかつて自分が住んでいた町とは反対の町へとやってきた。


町へ着いたがメイド服に黒いジャケットを羽織って短剣を持つ、そんな異様な姿の人物に近寄る者などいない。


ルルはこれから一人で生きていく事への不安と疲労、なにより空腹で倒れそうだった。


「お腹空いた…」


彼女は呟いた。

だが一銭も持っていない彼女に泊まる場所は勿論の事、当然食事にもありつけない。


彼女は考える。

住み込みで働ける場所を探さなければと。


あの屋敷で得た技術は他に引けを取らないと信じて色々な宿屋へ働かせてほしいと掛け合った。


当然、門前払い、以前の彼女なら癇癪をおこして騒いでいたであろう。

だが今は違う、断られる度に疲れた身体に鞭打って宿屋の両隣と向かい三件の家前を無償で掃除させてもらったのだ。


すると不思議な事に宿屋には客が寄り付かない。

理由は簡単で汚い訳ではないが周りが綺麗な為暗い印象を受けるからであった。


その状況に気付いた宿屋の亭主からルルの事を追いかけ始める。


そんな事をしているとルルはこの町で一番の宿屋へ辿り着く。

今までと同様に働かせてほしいとお願いした。


「働かせてほしいって何でだい?」


宿屋の女将であろう女性が質問をしてきた。

初めての返答に戸惑いつつも「私、お金がなくて住む所もないので…」と応える。


「そりゃ、その身なりだと厳しいだろうね」


「うちでどうしても働きたいって訳じゃないんだろ?」


「…」


「悪いわね、返事に困る質問をしてしまって、ところで一つ提案なんだが…」


「…提案ですか?」


リリスとの契約で苦しんだ経験からこの言葉に身構える。


「そんな構えんどくれよ、提案っていうのはお嬢ちゃんの仕事が決まるまで住みかと食事は面倒見る、代わりに仕事が決まったら面倒見た日にち分の料金を色を付けて返してくれないかいって提案だ」


この提案は怪しい、ルルは疑いの目を向け相手の様子を観察した。


「色を付けるってどのくらい?」

「倍」

「いつまでに?」

「そうだねぇ、いつまでというより賃金の一割を毎月返済に当ててもらおうか」

「住む場所、それに食事は何が出るの?」

「住む場所はこの宿屋の一室、食事もお客と同様の物を振る舞うよ」

「お風呂とかの施設は使って良いの?」

「好きに使いな」


ルルは暫く考え込んだ、こんなに上手い話があるわけ無いがその目的が分からないからだ。


するとそこにルルを断った宿屋の亭主達が入ってきた。


「「「あれをやったのは君だろ、是非うちで働いてくれ!!!」」」


大勢の言葉が一斉に重なる。


「うちなら豪華な食事に毎日ありつける」

「うちは賃金を他より出す」

「うちはストレスの無い労働環境を約束する」


男達は一緒にルルへ話しかけ騒がしい。


「あんた、一体何したんだい…こりゃ余計なお世話だったかも知れないねぇ」


(余計なお世話?)


女将が溢した、その小さな声をルルは聞いた。というより聞こえたのだ。

先程までうるさかった男達が黙り一点を見つめている。


そこには今まで会った事が無い程、綺麗な女性が歩いてこちらへ向かっていたからである。

男達は皆、息を呑み、ルルも何故かつられて息を呑んだ。


目の前まで来た女性はルルの頭を撫でて囁いた。


「よく頑張ったわね」


それだけ言って彼女は立ち去る。


(この声どこかで…)


そう思い「あの人は?」と言葉を自然に溢す。

そしてその言葉に皆が反応した。


「あの人は最近ここへ来た芸者さんだよ」

「えらいべっぴんさんで芸の腕も良い、今じゃ町一番の芸者だろうね」


その聞き覚えのある声を思い出し、ルルは感情が溢れた。


(ここで泣いてはいけない)


涙を堪えながら彼女は大きな声ではっきりと伝えた。


「女将さん! 私ここで働きたいです! お願いします!」


そう誠心誠意、頭を下げる彼女に周りの男達は色々な好条件を出して引き留める。


「うるさい! この子はうちを選んだ! もううちの従業員だよ帰りな!」


去っていく男達を尻目に女将が聞いてくる。


「ところであんた、あの娘とどうゆう関係なんだい?」

「メイド服着た若い女の子が困っていたら面倒見てやってほしいなんて言われた時は何言ってるんだと思ったけどねぇ」


涙を拭いてルルは笑いながら応える。


「内緒です」


こうしてルルは宿屋で働く事になった。

この町一番の芸者と若女将、二人は姉妹のように仲がよく、見かけたら幸福が訪れるとまで言われる程に有名な宿屋となるのは少し先の話である。

これまで読んで頂きありがとうございます!

これにてルル編は終了となります。


彼女の話は書いていて辛いものがありました。

端から見れば虐待と思われる行動も本人の為を思っての行動なのか…、そんな親子の葛藤を考え、この話を作りました。

若い時、自らの思いどおりに出来る力があったならルルと同じく多くの人が過ちを侵すかも知れません。


ルルの話のテーマは【罪】です。

首を絞められるのは絞首刑を暗示してます。

ハウスと出会わなければ彼女は永遠に自らを処刑し続けていた事でしょう。

自らの罪を背負い、両親の死を乗り越えた時、彼女死は終わる。

リリスが契約した【自らの罪を受ける】というものは要するに本人の認識次第で変化するもので、刑罰という他者が決めたものではなく、自らの罪は自らが考え償うという契約になっています。


あと両親に関して【いなくなる】という表現を使っていますが、契約が完了している為、両親の死は確実なものです。

遺体がない点に関してはルルが見つけてしまうと自らの罪=殺人という既成事実を作ってしまい、死を乗り越える事が難しくなってしまうと考え、リリスは敢えて遺体を見せずにあの様な契約を結んでいます。

(個人的にあの状況から遺体を見つけるのは書いていてあまりにも辛かったのでやめました)


以上がルル編にかけた想いとなります。

別枠で今回、後日談を書いたのはルルには幸せになって欲しいという個人的な想いからです。


屋敷の使用人も半数になり、物語が進んでいっているのを実感しております。

読んで下さっている方々には感謝しかありません。

ありがとうございます。

この物語に興味を持って頂けるのであれば、イメージを上手く言語化出来るように励んでいきますので最後までお付き合いの程よろしくお願い致します。

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