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ロクでなしの魔女  作者: 木介


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駆け引き

屋敷の中へ入ると階段に腰をかけているシャミを見つけた。

こちらの姿を確認したシャミは下を向き、一人呟くように話を始める。


「あの後ルルは頑張ってたんだよ、屋敷の中の事は今までどおりやろうって、二人でも頑張れるからって」


この言葉はハウスの心に深く突き刺さる。


「だけどリリス様は部屋に籠っちゃうし、コシネロは自分勝手でご飯は無いし…最初は頑張ってたルルもだんだんと元気がなくなってきてさ、何の為にしてるんだろうって、もういいかなって空気になってきてたんだ…」


「ルルを嫌いにならないであげてね、あの子には味方が必要なんだから」


シャミはこちらにも気を使いながら話してるのが分かる。何故ならルルの言ってる事は正しい。

シーラとレアルタを屋敷から出したのはハウスだ。

屋敷が現在の状態になっているのは彼の責任である。


「あぁ、ルルを嫌いになんてならないよ、約束する…、ところでコシネロはどこにいるか知ってる?」


「ん?さぁわからない、厨房にはもういないから自分部屋じゃないかな?」


「厨房にはもういない」

シャミのこの言葉にハウスはピンとひらめく「シャミ手伝って欲しい事があるんだけど…」


【コンコンコン】


「どうぞ」


中に入ってきたのはシャミだ。

リリスの顔を見て「今日、ハウスが戻ってきたので歓迎会をやります、リリス様も来て下さい!」


「…そう、じゃあ準備が出来たら呼んでくれる?あとハウスにもよろしく伝えておいて」


そんな事を提案するのはハウスしかいない、察しの良いリリスは誰の発案かすぐに想像がついた。ただどんな意図があるのか退屈な毎日を変えてくれるこの歓迎会を少し楽しみに待つのだった。


「何やら厨房の方が騒がしいと思ったら何やってんだ?」


厨房に入ってきたコシネロがハウスに向かって言い放ち向かってきた。

その言葉には怒りが込められており、勝手に使うなという意味だとすぐに分かる。


「見てわからないか?料理を作ってる」


「言ってる意味が分かんないのか?やめろって言ってるんだよ!」


コシネロは調理台を叩き大きな音を立てて凄み顔を近付けて言った。


「殺すぞ」


「…」


ハウスはコシネロから目を逸らさない。


「何だよその顔は?お前の手の内はレアルタのお陰で分かってるんだぜ?殺す事なんて造作もない事だ」


「いや、そうじゃなくて何でお前みたいな奴と組みたがる変わり者がいるんだろうなぁって思っただけだ」


「何だと…もういっぺん言ってみろよ」


「この屋敷の主人とボンドに利用されてるのはお前の方だって気付かない馬鹿もいるもんだなってな」


「はぁ!?利用されてるだぁ?お前がどこまで知ってるのかは知らねぇがあの人と俺は対等な立場で組んでるんだよ、それにボンドを利用しているのは俺達の方だ、アイツの心臓は今、俺達が持ってるんだからな!」


コシネロのお陰で疑問が一つ解決した。

何の理由も無しにボンドがコイツらと組む訳が無いと思っていたが納得の理由である。

まだまだコシネロから情報を引き出せる可能性はあったが、今は相手が自分の失言に気付く前に話題を変えてやり過ごすのが得策だとハウスは考えた。


「ふーん、ところでリリスを殺す算段はついてるのか?」


ハウスは相手が優位に立てるように話を進める。こちらの意図を考えさせ上手く導き答えを見つけさせるのだ。


「魔女を殺す算段だぁ…」


案の定コシネロはこの質問に少し考えにやける。


「さぁな、あったとしてもお前に教える訳ねぇだろ」


「ふーん、屋敷の中で死ぬ事が出来ないんじゃリリスも殺す事は出来ないけどな」


「しつこいぞ、何度聞かれても教えねぇよ」


ハウスは不服そうな顔を演技して黙る。


自分が優位に立ったと思っているコシネロは気分を良くしたのか「ちゃんと片付けろよ」と一言残して部屋を去る。


「はぁ~」


一人になった途端、ため息を出すと同時に一つの疑問を考える。

コシネロの相方である人物は今何をしているのか?という事だ。

リリスを殺す算段をもっているとしたら彼の方で発案者はコシネロでは無い。

コシネロは対等であると言っていたが確実に上下関係はあると確信している。

そして彼らが自分と同じ考えでいるのだとしたら残りの使用人は4人、ボンドがコシネロ達と組んでいるのであれば、ルルとシャミ、今は彼らを守る事が優先であるとハウスは今後の計画を考え直していた。

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