魔女の屋敷・再訪
【登場人物】
・ハウス
魔女に会うため再び屋敷を訪れる。
シーラ、レアルタと二人の使用人を屋敷から出ていかせた。
・リリス
屋敷の魔女。
ハウスとレアルタの決闘後、一枚の紙を渡した。
ハウスが屋敷を出た時、彼女は何を想っていたのか。
・シャミ
獣耳の子供。8歳ぐらいの子で執事見習い。
ハウスの事を何故か気に入っており、彼が屋敷を出ていく際は寂しそうであった。
・ルル
黒いチョークが特徴のメイドで年齢は14歳ほど。ハウスの事が嫌い、屋敷から出ていき清々している。
・コシネロ
屋敷の料理人で常に体調が悪そうな人物。
一度手を組む事を提案したが断られハウスの事を嫌っている。
・ボンド
屋敷の門番と庭師。顔と身体が分離しており腕がたつ。
ハウスの実力を認めており屋敷を出た彼は必ず戻ってくると信じている。
光すら入らない暗い森の中をひたすらにハウスは歩く。
背丈は170cm程でその細い身体に無駄な脂肪は無く、必要な筋肉のみが付いている。
黒いジャケットに黒いズボンを身に纏い、黒い靴の側面には特徴的な黄色い横線が三本入っている、更に左腰には短剣、右腰には単発式の拳銃を携えていた。
「戻って来れた…」
自然と呟き、屋敷を見上げた。
日光が差す屋敷の前にハウスの倍近くあるであろう黒い大きな門は懐かしく感じる。
ハウスは大きく息をして呼吸を整えた後に覚悟を決めて門へ力を込めた、門の重さは変わってない筈だが軽く思える。
懐かしい景色の中に懐かしい顔が見える。
「ただいま」
「あぁ…おかえり…って俺はそんなキャラじゃねぇよ」
小さな声で照れくさそうにしながらもボンドは挨拶を返してくれる。
「戻ってきたなら俺以外にさっさと挨拶した方が良い奴がいるんじゃないか?」
そのボンドの言葉に甘えて挨拶もそこそこにハウスは屋敷へ入る。
するとそこにいたのはシャミとルルだ。
「やっぱりハウスだぁ!おかえりなさい」
「…」
嬉しそうにするシャミと嫌そうに黙るルルの顔は対照的で少し面白い。
「ただいま、シャミ、あとルルも…」
彼女は黙ってこちらを見向きもしない。
「リリスは今どこにいるか分かるか?」
「リリス様なら最近はずっと部屋にいるよ」
「そうか、じゃあ挨拶してくるよ、ありがとうシャミ」
「どういたしまして!」
元気に返事をしているシャミに後ろ手で手を振り応える。
リリスの部屋の前まで来たハウスは意を決してドアを叩いた。
【コンコン】
「どうぞ」
リリスは入ってきたハウスの顔を見るなり
「あら?戻ってきたの?」と相変わらずの口調で話す。
リリスの話し方が懐かしく頬を緩ませるとすかさず「何笑ってるの?きもちわるい」その言葉に毒気はあったが棘は感じなかった。
「ただいま!」
妙なテンションのハウスをリリスは疎ましくなど思わなかった。それはリリスも心の底ではハウスが戻るのを待っていたからかも知れない。
だからこそリリスは素直に返事を返したのだ。
「おかえりなさい」
ーーー
所変わって屋敷のある問題を解決する為に
ハウス・ボンド・ルル・シャミの四人は屋敷の入り口に集まっていた。
「一ヶ月だ。俺が屋敷を出て一ヶ月の間に何があった?」
久しぶりに帰った屋敷の隅には埃が溜まり、窓は曇っている。何より屋敷の中がじんわりと湿っており空気が悪くカビ臭いのだ。
「僕とルルで頑張ってたんだけど…」
ハウスは最年長のボンドを見て目で訴える。
「俺は屋敷の中には入れてもらえないからどうにも出来ないぜ」
「入れてもらえないって前は俺の部屋まで来てただろ?」
「その時リリスはいなかっただろ?屋敷に入るのは良いがリリスの前に姿を見せないのが条件だったんだよ、俺の事が気持ち悪いんだってよ」
確かに以前シーラに関しても似たような事を言っていたのを思い出し納得する。
「そういえばコシネロはどうしたんだ?」
「アイツはもう好き勝手やってるよ」
「そう!料理も作ってくれないんだ!」
ボンドが応えた後にすかさずシャミが文句を言う。
「なるほどな、現状はわかった。じゃあこのメンツで屋敷をリセットしよう、ボンドが中に入る許可は俺がもらう」
皆で協力するというこの流れを一人が止めた。
「いやよ」
小さな声で言われた為、皆が黙って彼女を見る。自分に視線が集まっているのを不快に感じた彼女は大きな声ではっきりと言った。
「あんたのせいでこうなってるんだから!あんたが一人でやりなさいよ!」
相変わらず耳の奥まで響くような声で怒鳴り、屋敷の中へ帰っていく。
「ルル待ってよ!」
シャムはルルの後を追って屋敷へ入っていった。
「どうしたもんかねぇ…」ハウスはため息をつきボンドを見たが彼は彼で深刻そうな顔をしていた。
「せっかくだ、二人きりになったから言っておく事がある」
「?」
「俺はコシネロと組んだ、お前はどうするのか俺達と組むならアイツと話しておけ」
ハウスがいない一ヶ月の間に事態は大きく動き出していた。




