第97章ーーゆうべはおたのしみでしたねーー
https://x.com/pochidayo
更新時には更新情報流しています!
よかったらフォローいただければフォロバします。
三人がさぎりの家を出て、トラムの駅に向かう途中。
隣の奥さんから、
「ゆうべはおたのしみでしたね。」
と言われる。
トラムに乗っても、乗客から、
「ゆうべはおたのしみでしたね。」
と言われる。
道行く人にまで「ゆうべはおたのしみでしたね」と言われる。
食堂に入っても、リンに、
「ゆうべはおたのしみでしたね。」
と言われる。
さらに、おばちゃんにも言われる。
席に座っても、そこを通り過ぎる人たちから、
「ゆうべはおたのしみでしたね。」
と声をかけられる。
さぎりとミオが食事をしていると、チヒロ、モウブ、ナナコが通りかかった。
「あ、ゆうべはおたのしみでしたね。ここ、ご一緒してもいい?」
「もちろん、いいよ。」
「昨日はいろいろ手伝ってくれて、ありがとうね。」
「チヒロさんに、モウブ…」
「えっと……。」
「ナナコです!」
「三人揃って、こんな朝早くから?」
「はい。夕べ、タブレットの設定をしてて遅くなってしまって、ノアに帰れなくなっちゃったので、チヒロさんの家に泊めてもらいました。」
あっけらかんとナナコが言い。チヒロは少し焦った顔をする。
「モウブも?」
「はい。」
ミオは
ああ、こういう時に言うんだなと思い。
「ゆうべはおたのしみでしたね。」
と言った。
モウブとナナコが口をそろえて返す
「はい!楽しかったです!」
チヒロが慌てて言う。
「いや、ミオちゃん、モウブ君、ナナコちゃん!それ使い方間違えてるから!」
◇
正面に三人が座るとさぎりは、チヒロの手元を見る。
そこには、小鳥の柄のカップがあった。
よく見ると、モウブもナナコも、同じカップを持っている。
「え、そのカップいいね。なんか私たちの指輪の柄みたい。」
「どうしたの、それ?」
チヒロがカップを見ながら答える。
「うん。昨日、ジュネスに置いてあって縁起がよさそうだったからいただいてきたの。」
「あと二つ残ってたわよ。」
「えっ?」
「じゃあ、このあと行ってみようか。」
「うん、いいね。」




