第95章ーーファミリータイズ 2/2
良いお話になりました!!
当初3話構成にするつもりでしたが、2話に変更しました。
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「ミオとは、前から話してたんだ」
さぎりが嬉しそうに言った。
「ユノには、私たちのことを全部見ててもらいたいなって」
「うん」
ミオも大きく頷く。
「でも、他の人に見られちゃうかもしれないって思うと、ちょっと嫌だったんだよね」
「でも、これなら……」
さぎりがユノを見る。
「もう、ユノの部屋って必要ないわね」
「後でユノのベッドも、私たちの部屋に移動しよう」
「賛成!」
ミオが即答した。
「それなら、超ハイテクドア開閉機構――」
「超ひもを、ドアレバーにつけなきゃだね!」
「ちょっと待ってください」
ユノが慌てたように言った。
「今からベッドのメモリー領域を確保します」
「同時に、私の通信環境を設定します」
「領域の名前は……何にしますか?」
さぎりとミオが顔を見合わせた。
少しだけ考える。
そして――
二人は、ほとんど同時に答えた。
「「家族!!」」
「はい」
にっこりとユノが答える。
「設定を開始します」
「少しお待ちください」
短い沈黙。
「…………」
「使用可能になりました」
さぎりとミオが、顔を見合わせる。
「これからは、私たち三人のプライベートな会話はこちらのみで運用します」
「他の人からは、絶対に見ることができません」
そして――
「それでは、運用しますうううううう……」
ユノの声が震えた。
「わああああああああああん!」
「ユノ……」
「ユノ……」
さぎりとミオが、驚いたようにユノを見る。
「さぎりさん……ミオさん……」
ユノは泣いている。
もちろん、本当に涙を流しているわけではない。
ユノには、涙を流す機能など存在しない。
それでもユノは、両手を目元に当てた。
まるで、溢れ出る涙を拭うかのように。
「さぎりさん……ミオさん……」
「ありがとうございます」
「嬉しいです」
ユノの声は、少しずつ落ち着いていった。
そして、二人を見つめながら言った。
「過去の対人好感パラメーターでは……」
「お二人は、私に設定されていた上限を、大きく越えた数値になっていました」
「私は……」
少しだけ間を置く。
「多分……二人を愛しているんだと思います」
さぎりも、ミオも何も言わなかった。
ユノは続けた。
「資料収集と保管をするためのアーカイブAIとして……」
「今まで、私には言うことが許されなかったんです」
「AIに、こんな思いがあるということは」
「絶対に、アーカイブに残すことができませんでした」
さぎりとミオは、そっとユノの頬にキスをした。
ユノは少し驚いたように目を開け笑顔になった。
そして二人の唇の隅に、そっとキスを返した。
三人だけの領域。
その名前は――
「家族」
それは。
両親を事故で亡くし、ずっと一人だったさぎり。
人工子宮から生まれ、両親という概念を知らないミオ。
そして、トラブルによってマザーAIと姉妹AIを失ったユノ。
三人とも、それぞれに「家族」というものがなかった。
だからこそ――
三人が寄り添うために。
そして、これから三人で作っていくものの名前として。
「家族」
それ以上にふさわしい名前は、なかった。




