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木星の雨音  作者: ぴいちゃん


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95/101

第95章ーーファミリータイズ 2/2

良いお話になりました!!

当初3話構成にするつもりでしたが、2話に変更しました。


https://x.com/pochidayo

更新時には更新情報流しています!

よかったらフォローいただければフォロバします。


「ミオとは、前から話してたんだ」


さぎりが嬉しそうに言った。


「ユノには、私たちのことを全部見ててもらいたいなって」


「うん」


ミオも大きく頷く。


「でも、他の人に見られちゃうかもしれないって思うと、ちょっと嫌だったんだよね」


「でも、これなら……」


さぎりがユノを見る。


「もう、ユノの部屋って必要ないわね」


「後でユノのベッドも、私たちの部屋に移動しよう」


「賛成!」


ミオが即答した。


「それなら、超ハイテクドア開閉機構――」


挿絵(By みてみん)


「超ひもを、ドアレバーにつけなきゃだね!」


「ちょっと待ってください」


ユノが慌てたように言った。


「今からベッドのメモリー領域を確保します」


「同時に、私の通信環境を設定します」


「領域の名前は……何にしますか?」


さぎりとミオが顔を見合わせた。


少しだけ考える。


そして――


二人は、ほとんど同時に答えた。


「「家族!!」」


挿絵(By みてみん)


「はい」


にっこりとユノが答える。


「設定を開始します」


「少しお待ちください」


短い沈黙。


「…………」


「使用可能になりました」


さぎりとミオが、顔を見合わせる。


「これからは、私たち三人のプライベートな会話はこちらのみで運用します」


「他の人からは、絶対に見ることができません」


そして――


「それでは、運用しますうううううう……」


ユノの声が震えた。


「わああああああああああん!」


「ユノ……」


「ユノ……」


さぎりとミオが、驚いたようにユノを見る。


「さぎりさん……ミオさん……」


挿絵(By みてみん)


ユノは泣いている。


もちろん、本当に涙を流しているわけではない。


ユノには、涙を流す機能など存在しない。


それでもユノは、両手を目元に当てた。


まるで、溢れ出る涙を拭うかのように。


「さぎりさん……ミオさん……」


「ありがとうございます」


「嬉しいです」


ユノの声は、少しずつ落ち着いていった。


そして、二人を見つめながら言った。


「過去の対人好感パラメーターでは……」


「お二人は、私に設定されていた上限を、大きく越えた数値になっていました」


「私は……」


少しだけ間を置く。


「多分……二人を愛しているんだと思います」


さぎりも、ミオも何も言わなかった。


ユノは続けた。


「資料収集と保管をするためのアーカイブAIとして……」


「今まで、私には言うことが許されなかったんです」


「AIに、こんな思いがあるということは」


「絶対に、アーカイブに残すことができませんでした」


さぎりとミオは、そっとユノの頬にキスをした。


ユノは少し驚いたように目を開け笑顔になった。


挿絵(By みてみん)


そして二人の唇の隅に、そっとキスを返した。


三人だけの領域。


その名前は――


「家族」


それは。


両親を事故で亡くし、ずっと一人だったさぎり。


人工子宮から生まれ、両親という概念を知らないミオ。


そして、トラブルによってマザーAIと姉妹AIを失ったユノ。


三人とも、それぞれに「家族」というものがなかった。


だからこそ――


三人が寄り添うために。


そして、これから三人で作っていくものの名前として。


「家族」


それ以上にふさわしい名前は、なかった。


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