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木星の雨音  作者: ぴいちゃん


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94/101

第94章ーーファミリータイズ 1/2ーー

今回からのシチュエーションがかなり長くなってしまったので分割で投稿します。次は明日です。


https://x.com/pochidayo

更新時には更新情報流しています!

よかったらフォローいただければフォロバします。


さびしそうな表情のユノを見てさぎりがいう。


「違うのよ、ユノ。」


「ユノが見聞きしたことって、後から他人に見られたり、聞かれたりする可能性があるんだよね」


「はい」


「そのための地球文化アーカイブですから」


さぎりは少し考えてから、ユノに尋ねた。


「私たち三人だけの、完全に独立したアーカイブ領域って……ないよね」


「はい」


「ありません」


「その領域を作れる可能性は?」


「少しお待ちください」


ユノはしばらく沈黙した。


「前例がありませんので……システムの構成を確認してみます」


挿絵(By みてみん)


ぽくぽく、ぽくぽく……ちーぃーん


……Now Loading……


しばらくして、ユノが答えた。


「残念ながら、地球文化アーカイブ室には、そのような機能はありませんでした」


「そうなんだぁ……」


「地球文化アーカイブは、その文化を可能な限りすべて記録し、保存するという性質上、基本的に個別の情報を完全に隔離する機能はありません」


「通常時は、基本的にわずかなバッファを通して、リアルタイムでアーカイブとやり取りしています」


「これは止められません」


ユノは少し間を置いて続けた。


「私自身にも、ある程度のメモリーがあります」


「姿勢制御用の単独領域。通信が不安定な時や、何らかのトラブルが発生した場合には、そちらを利用して行動します」


「しかし、現状では……そこに保存できるのは、せいぜい数日分のメモリーです」


「そっか……」


さぎりは少し残念そうに呟いた。


「じゃあ……ユノの判断で、私たち三人だけのための会話だと判断したものは、ユノのメモリーに収納しておく、っていうのは?」


「それも検討しました」


ユノは少し困ったように答えた。


「保存する方法そのものはあります。しかし、それも本体のユノによる通常の情報収集として扱われてしまいます」


「そして本体のユノは、自動的にアーカイブのメモリーへ保存してしまいます」


「なるほど……」


「ですが――」


ユノの声が、少しだけ弾んだ。


「想定外なのですが……プライベート領域を設定できる抜け穴がありました」


「え、本当?」


「はい」


「私の部屋にある、私のベッドを経由する方法です」


「ベッド?」


「はい」


ユノは説明を続けた。


「私の通信を二系統に分けます」


「一系統は、これまで通り、直接アーカイブのユノのメモリーへ収納される系統です」


「そして、もう一系統を、ベッド専用の通信系統として設定します。」


「ベッドの領域の一部を、さぎりさんの言う『三人のためだけの領域』に設定することができます」


「ただし……」


ユノは少し間を置いた。


「非合法的な方法であり、公にはできません」


「本当に、秘密の領域になります」


「あんな小さなベッドで大丈夫なの?」


ミオが心配そうに尋ねる。


「はい」


ユノは即答した。


「これまでの私が見たデータの総量から計算すると――」


少し間を置いて、


「ベッドに保存できる容量は、ざっと……三百年分ぐらいでしょうか」


「…………」


「…………」


さぎりとミオが、同時にユノを見る。

挿絵(By みてみん)

そして二人の目が、みるみる輝いていった。


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