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木星の雨音  作者: ぴいちゃん


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88/101

第88章ーー住居管理担当チヒロの家ーー

https://x.com/pochidayo

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チヒロとモウブ、ナナコは、ジュネス近くのトラムから、四駅ほど移動してきた。


エレベーター前駅で降りる。


そこから数分歩いたところで、チヒロが足を止めた。


「ここが私の家です」


「というか、この辺りは居住区画の管理の人たちが多く暮らしている地区なの。」


「場所的にエレベーターも食堂も近いし、学校もあるし、病院なんかも集まっているところよ」


「へー」


ナナコとモウブは、周囲を見回した。


「まあ、まずはどうぞ。お茶でも入れるよ」


チヒロに促され、二人は家の中へ入っていく。


「うわ、広いんですね」


「うん。もともとは四人家族が住んでいた家だから。」


「こんないい立地で、こんな広い部屋なんてすごいですね。」


「チヒロさん、一人で暮らしてるんですよね」


「うん。まあ、仕事柄。一番通いやすい場所にしたの」


「そういえば、チヒロさんはご家族は?」


「お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんが、二駅先に住んでるわ」


「まあ座って。そのテーブルでタブレットのセットもしましょう」


三人はテーブルについた。


「えっと、もう夜だから、あまりカフェインが強くないものがいいわね。」


「確か、もらったハーブティーがあったはず」


ナナコは目を輝かせた。


「ハーブティー? なにそれ」


モウブも少し驚いたように言った。


「いや、僕も初めて飲みます」


「うん。じゃあ、疲れが取れるハーブティーにしましょうか」


チヒロは棚からカモミールのハーブティーを取り出した。


「これもヘスペリア-3の農業区画で採れるのよ」


「せっかくだから、さっきもらったマグカップで飲みましょうよ」


「ああ、これおそろいだから区別がつかなくなっちゃうわね」


挿絵(By みてみん)


そう言うと、チヒロはペンを取り出した。


「これで、カップの裏にでも名前を書きましょうか」


チヒロがマグカップの底を見ると、そこには宝飾店の姉の店の名前が書かれていた。


「あら」


チヒロは少し笑うと、自分のマグカップの底に「チヒロ」と書いた。


「はい」


ナナコも自分のマグカップを手に取り、自分の名前を書いた。


「ナナコ」


そして、モウブもマグカップの底に名前を書く。


「モウブ」


「じゃあ、ちょっと軽く洗って、お茶入れるね」


チヒロは三つのマグカップを洗い、ハーブティーを淹れた。


「はい、お待たせ」


テーブルの上にマグカップを並べる。


「少し甘いクラッカーがあるわよ。お茶請けにどうぞ」


「なんか、ありがとうございます。いただきます」


「わぁ、ありがとうございます。いただきます」


二人はマグカップを手に取った。


「嗅いだことない香りです」


「うん……美味しい」


モウブとナナコは、初めて口にするハーブティーの味を確かめるように、ゆっくりと飲んだ。


「さて。そしたら二人の端末を出してくれる?」


「タブレット……あ、はい」


「はい」


モウブとナナコは、それぞれ自分のタブレットを取り出した。


「いや、恥ずかしいんですが…」


タブブレットットを見ながら尋ねる。


「よくヘスペリア-3の人たちが持ってるのは見るけど、これ何なんですか?」


ナナコも続けた。


チヒロは二人の顔を見ると、少し困ったように笑った。


「あら、そこからか」


そして、くすっと笑う。


「うん。じゃあ最初に説明するわね。これはね――」


挿絵(By みてみん)


しばらく説明を聞いていた二人は、次第にその便利さが分かってきた。


「なるほど……」


「それは、使いこなせれば便利そうですね」


ナナコもコクコクと頷いた。


「そう。それで、ちゃんと使えるようにするには、最初の設定が必要なの。一緒にやりましょう」


「はい」


「その画面が開いたら、そこに『ナナコ』って書いて」


ナナコが画面を操作する。


「モウブくんは、そこに『モウブ』」


「はい」


「うん、そうそう。それじゃあ次に進んで、無線通信の設定をするわね」


チヒロが二人の画面を確認しながら、設定を進めていく。


「ここで……」


チヒロの手が、一瞬止まった。


「あれ?」


「どうしたんですか?」


「よく考えたら、NOAHの通信規格だと……そもそもタブレットが使えないんじゃ……」


チヒロは少し考え込んだ。


「まあ、ひとまずヘスペリア-3の共有接続規格を選んで、入力していきましょう」


二人もチヒロの指示に従って、設定項目を入力していく。


「それから、端末同士が直接通信できる規格も設定しておきます」


チヒロは画面を操作しながら説明する。


「こうすることで、近くに同じ規格の端末があれば、それを通じて通常のへスペリア3の通信規格がなくても端末同士で通信できるようになります」


「へえ……」


「便利ですね」


「そして、メールと通話の設定」


チヒロは二人の顔を見た。


「ひとまず、三人で交換しておきましょうか」


「あ、はい」


モウブは端末に表示された「チヒロ」と「ナナコ」の名前を選ぶ。


チヒロも「モウブ」と「ナナコ」を選択する。


ナナコも同じように二人の名前を選んだ。


「はい。これで三人とも、少なくともヘスペリア-3にいる間は連絡が取れるわ」


「ナナコちゃん。モウブ君の名前を選んで、「通話」を押してみて。」


「はい。」


するとモウブのタブレットからメロディが流れる。


「そしたらモウブ君は受信」って押してみて。


「はい。押しました。」


ナナコの端末からモウブの「はい。押しました。」


という声が聞こえた。


「大丈夫そうね。」


「これはウォーキートーキーの機能なんですね。」


「うん、そういうことよ。」


チヒロは少し考えてから付け加えた。


「運が良ければ、NOAHにいるときにも使えるかもしれない……くらいに思っておいて」


「分かりました」


モウブが頷く。


ナナコも自分の端末を眺めながら頷いた。


「チヒロさん。これって、歌とかも聴けるって言ってましたよね?」


ナナコが尋ねる。


「うん」


「それって、どうしたらできますか?」


「ああ、ここのね。これ」


チヒロは画面を指差した。


「虫眼鏡のマークのところに、探したい歌を入れれば、あれば出てくるよ」


「へえ……」


ナナコは目を輝かせ、さっそく入力してみる


『ジュネス』


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