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木星の雨音  作者: ぴいちゃん


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82/101

第82章ーーいただきますーー

https://x.com/pochidayo

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さぎりとミオ、そして一行は、少し恐縮しながら、


リンの案内に従ってそのままテーブルの方へ向かった。


行列に並んでいた人たちから拍手が起こる。


「おめでとうー!」


「お幸せにー!」


「おめでとうございます!」


あちこちから、祝福の声が飛んでくる。


さぎりとミオは、何度も振り返りながら頭を下げた。


「ありがとうございます」

挿絵(By みてみん)

そんな二人を見送りながら、列の中から別の声も聞こえてきた。


「やったな、俺たちラッキーだな」


「こんなスペシャルな食堂に来られるとはな」


「うん。今日は当たりだな」


人々は笑いながら、拍手を続け配膳を待っていた。




チズルとリンに案内される形で、食堂へ入る


同時に2000人収容の食堂の半分近くが埋まっていた。


さぎりとミオの一行は、大きな拍手で迎えられた。


食堂の中央。神棚の前のテーブル。


普段は他のテーブルと変わらず使用されている長テーブルには、いつものトレーに載った、いつもの食事がすでに並べられている。


そして神棚の下には、日の丸が掲げられていた。


チズルが先に一行をテーブルへ案内する。


さぎりとミオは、神棚を背にする形のお誕生日席に座った。


その末席には、先ほどの年配の男性たちもいる。



シノが神棚の前に立つと、食堂がが少し静かになった。


シノは神棚に向かい、


二礼。


二拍手。


そして一礼。


静かに頭を下げる。


それから振り向き、さぎりとミオに声をかけた。


「さぎりさん、ミオさん。こちらへ」


並んで立ってもらうように二人を促し、


シノは、食堂を見渡した。


「まず、お忙しい方は、どうぞお食事を続けていてください」


「今、立ってくださっている方は、どうぞお座りください」


「お席をお探しの皆さんは、立ち止まらないでくださいね」


シノがそう言っている間にも、食事を受け取った人々が、空いている席を探して流れるように座っていく。


調理場では、調理員たちが慌ただしく動いていた。


一人前でも多く。


一人でも早く食事を受けとってさぎりとミオを祝えるように。


今日のいつもの夕食を、いつも通りに届けようと懸命に働いている。


そんな慌ただしい食堂全体を見渡すと、シノがにっこりと微笑んだ。


そして、


すぅ……。


静かに息を吸った。


その瞬間だった。


食堂の慌ただしさが、すっと収まった。


速足だった人は、自然と歩みを緩める。


食事をしていた人は、顔を上げる。


席を探していた人も、足を止めることなく、けれど穏やかにその場を整えていく。


調理員たちも、ほんの一呼吸だけ動きを止め、神棚の方へ顔を向けた。


シノが口を開く。


「皆様、こんばんは」


「私は、紫神社の宮司、シノでございます」


食堂の隅々まで届く、穏やかな声だった。


「本日、ここにいるさぎりさん、そしてミオさんは、紫神社にて婚姻の儀を執り行いました」


「そして、つい先ほど商店街の宝飾店の前で、ユノちゃんも交え、指輪交換の儀を執り行いました」


シノは、二人を見ながら微笑む。


「ヘスペリア3とNOAH、初めての婚姻となります」


食堂のあちこちから、静かなざわめきが起こった。


シノは続ける。


「そして、こうしてご縁があり、今、この場で皆さまと」


「さぎりさん、ミオさんにゆかりのある方々と一緒に、食事をいただくことになりました」


さぎりとミオが、並んで一礼する。


さぎりの胸には、小さな花束。


ミオとユノの手にも、それぞれ花束がある。


チヒロが、そっと二人に近づいた。


「預かるわね」


チヒロは、ミオとユノから花束を受け取った。


食堂には、再び静かな空気が満ちていた。



シノが、さぎりとミオ、そしてユノに何かを小さくささやいた。


さぎりは、にこりと微笑む。


ミオは笑顔で頷いた。


リンがさぎりの肩に乗ってきた。


ユノは、親指を立てた。


シノが4人を見て、微笑む。


「それでは」


そう言って、手を合わせる。


さぎりも、ミオも、ユノもリンも手を合わせた。


それを見た食堂の人々も、手を合わせる。


テーブルに座っていた人も。


調理場にいた人も。


いつの間にか、食堂にいるほとんどすべての人が、手を合わせていた。


壇上の5人が、声を揃える。


挿絵(By みてみん)


「いただきます!」


続いて。


食堂にいる全員が、声を合わせた。


「いただきます!」


およそ1000人の声が、第一食堂いっぱいに響いた。


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