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木星の雨音  作者: ぴいちゃん


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81/101

第81章ーーカルチャーと習慣ーー

前半は小ネタ多めです!


https://x.com/pochidayo

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食堂前の立て看板が二人の年配の男性の目に入り立ち止まる。

挿絵(By みてみん)

「誰なんだ?この娘?」


「ご存じないのですか?」


後ろから若い男女が声を掛ける。


「なんか、りんちゃんって言うんですよ」


「最近第一食堂に居て」


「かわいいですよ。」


「カルチャーショックですな。」


(ナンカリンちゃんか…)


「NOAHにもこういう文化が欲しいですな。」


「こういうのは勝手に育つものだ。仕掛けるのは反感を買う。あきらめろ …ん。」


「並ぼう。人がどんどんさばけている。」


「ほんとに早い。これがファステストデリバリーというやつか。」



さぎり、ミオを始めとした一行は、食堂入口の列の最後尾に並んだ。


「あら」


先に並んでいた二人の年配の男性に、チヒロとシノが声をかける。

挿絵(By みてみん)

「お二人とも、さっきぶりですね」


「ああ、チヒロさん」


「シノさんも」


どうやら、二人とも顔見知りらしい。


そこへチズルも加わった。


「あら、あなたも来てたのかい」


「ええ。たまにはここで食べたくてな。」


「そうかい、運がいいね。」


そんな会話を交わす中、チズルがユノを見る。


そして、さりげなく指を二本立てた。


ユノは、その意味をすぐに理解した。


小さく頷き、親指を立てる。


「よし」


チズルがユノにウインクをした。



一行が食堂の入口から入ると。


食堂の列の先頭付近。


テーブルの並ぶあたりから、まだ五十メートルほど先だろうか。


「さぎりさーん、ミオさーん、結婚おめでとうございますー!」


少し遠くから、声が聞こえてきた。


「……?」


行列に並んでいる人たちも


さぎりたち一行も顔を上げる。


「さぎりさーん、ミオさーん、結婚おめでとうございますー!」


また聞こえた。


そして、その声は少しずつ近づいてくる。


「さぎりさーん、ミオさーん、結婚おめでとうございますー!」


「さぎりさーん、ミオさーん、結婚おめでとうございますー!」


ぴょん。


ぴょん。


ぴょん。


挿絵(By みてみん)


小さな影が、行列の間を跳ねながら近づいてくる。


「これは、リン・端末の声だ」


ミオが言った。


リンは、そのままぴょんぴょんと跳ねながら一行のところまでやってくる。


そして、そのままチズルの肩へ飛び乗った。


「さぎりさーん、ミオさーん!」


「今日はめでたいので、席を用意してありますー」


リンが、いつもの調子で続ける。


「ご一行の皆さんも、こちらからお進みくださいー」


さぎりが目を丸くした。


「え?」


「嘘。列を抜かすって事?」


「ちゃんと皆さん並んでるのに?」


ミオも驚いた顔をする。

挿絵(By みてみん)

チズルが笑う。


「列を抜かしても良い理由を。」


「リンちゃんがみんなに聞こえる様に叫んでくれてたろ?」


「みんなも喜んで譲ってくれるよ。」


チズルの肩の上でリンが親指を立てる。


「でも、一生に一度。今日だけだ。」


そして二人を見て、


「次からは、ちゃんと並ぶんだよ」


と笑った。



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