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木星の雨音  作者: ぴいちゃん


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第79章ーー食堂のリンへーー

https://x.com/pochidayo

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指輪交換の後。


ハルとチズルが


「それにしても、大した人数だな。どうだ?三百人ぐらいいるのか?」


なんて話していると、


「今日は食堂行こうぜ」


「そうだな。なんかみんな、食堂行こうとか言ってたしな。」


「今のこと、みんなと話したいしな」


「ああ、みんなが行くんなら、俺も行くかな」


「私たちも食堂行こうっか」


そんな声がちらっとチズルの耳に入った。


チズルが、はっとする。


「うん……いや、今の聞いたかい?」


「今日の第一食堂、絶対にいつもより人が増えるよ。」


「しかも、こんな早い時間から」


「私、今日一日留守にしてたし、ちょっと、とにかく確認しに行く――」


と言いかけたところで、ハルがチズルの手をつかんだ。


「ちょっと待て。慌てるな」


「どういうこと?」


「お前が慌てて行かなくても、すぐそこにユノがいるじゃないか」


「あ…」


「とにかく、ユノのところに行こう」


「ええ。」


ハルは、店内の雰囲気を察しか、いつもよりもおとなしい感じで、宝飾店のドアを開く。


「あの……いいですかぁ?」


ハルらしからぬ声で、チズルと共に入店する。


店内には、今、妙にホカホカテラテラした状態になってる女性たち…。


店主、向かいの雑貨店の妹、おばあちゃん、さぎり、ミオ、ユノ、シノが振り向いた。


ミオが言う。


「あ、ハル主任。見ててくれてたんですね。」


「ああ、なんか賑やかだったんでな。」



チズルが、ユノを探す。


「ユノちゃん、いるかい?」


「はい、います。」


そう言って、ユノが手を挙げる。


普段は右手を挙げるユノだが、今日はブレスレットのついた左手を、元気よく上げた。


「ちょっとお話いいかい?」


「もちろん。なんでしょう?」


まず、ハルがユノに確認する。


「さっき集まってた人数って、どれぐらいかわかるか?」


「どの時点ででしょうか?」


「最後に皆が解散する頃のだ」


「ざっと三百八十人ぐらいでした。」


ハルが言う。


「なあ、ユノ。そこから何人ぐらいが、今から食堂に行くかって、推測できるか?」


「いいえ、さすがにあれだけの人数がいると、一人一人の顔も確認しきれませんし。」


「あ、チヒロさん、モウブさん、ナナコさん、ジェトさんとカアさんは確認できましたよ。」


「私たちは、解散する前にこちらに入ってきてしまったので、その後の動きを観測できていません。」


「ですので、その推測はできませんが……どうしましたか?」


チズルが言う。


「うん。なんか、少なくとも私たちの前を通った人たちは、みんな口々に『食堂行こう』『食堂行こう』って言ってたんだよね」


「食堂の混雑の懸念ですね。」


ユノは少し考えるようにして、


「少しお待ちください」


2秒。


「はい。リンによりますと、通常、木曜日の夕食は17時にオープンします。


普段の木曜日のオープン待ちの行列は、三百人程度。


いつも通りオープン時には2本の配膳カウンター運用でそれぞれ5秒に一人お渡しできるので300人は8分ほど。


オープン後30分以内に、もう400人から700人が来場します。


その初動の1000人全員が席に座るまでがおおよそ30分。


あとは皆さんの食事のペース次第ですが、その後は1時間ごとに六百人から八百人ぐらいが入れ替わっている感じです。


席数は二千あるので、特に問題はありません。


今日、この後、ユノの観測した三百八十人全員が食堂に来るとは考えられません。


通常ジュネスで消費されている食材が230食分ほどなので、今日の増加は必ずそれ以下の人数です。


普段より早く食堂に来る人、普段からジュネスを利用してる230人全員が一気に追加されても、少し混雑する程度です。


料理の方は、現状すでに、今日提供予定のおよそ四千二百食に対して、二千食までは調理が完了しています。


もし上振れするとしても、初動の様子を確認してから、ジュネス支給分を調整することで食材は確保出来ます。そこから追加分の調理をしても間に合うでしょう」


「と、リンが言っています。」


「なんで、そんな統計があるんだい?」


「『数えてたー』だそうです。」


「なんで、今、何人前用意出来てるかわかるんだい?」


「『試食の時に皆さんとお話したー』だそうです。」


「ジュネスとのやり取りの数量とかは?」


「『見てたー』だそうです。」


「今日の料理の出来栄えは?」


「『おいしー!』だそうです。」


チズルは驚きつつも、


「そしたらまず、リンちゃんに、こちらの状況と、今の予測を、調理長たちに伝えるように言ってくれるかい?」


「はい、わかりました」


「はい。リンに伝えました」


「さすがに早いな」


ハルが笑う。


ほっとしたように息をついた。チズルがさぎりとミオに声をかけた。


「さっきの指輪交換、見てたよ。私にもほやほやの指輪を見せてよ。」


さぎりとミオが、左手を差し出す。


「へえ…。」とチズルが目を細めた。


ユノも左手のブレスレットを見せようとした、その時。


「リンが、調理長さんたちに伝え終わったそうです」


「は?」


「え?」


「ええええ???」


「あの内容を?」


「一分も経ってないよ?」


「めっちゃ早口でしゃべった?」


「絶対説明時間足らないよ。」


さぎりとミオが驚いている。


「一体、どうやって伝えたんだ?」


ハルが尋ねると、ユノは少し考えるようにしてから答えた。


「どう伝えたかを、リンの言った感じで再現してみます」


ユノが小さく咳払いをする。


「ごほん」

挿絵(By みてみん)

「では出来るだけ忠実に」


「『調理長さんたちー、


チズル主任から連絡でーす。


挿絵(By みてみん)

今日、さぎりさんとミオさんがー。


商店街で指輪の交換をしたら大勢集まちゃってー。


その皆さんが今一斉に食堂に向かっているっぽくってー。


食堂を開けた直後は、いつもより少しだけ混雑するけどー。


慌てなくても良いので、いつも通り頼んだよー』」


挿絵(By みてみん)

「だそうです。」


一同がユノの迫真の演技に驚きつつ。


「そんな大雑把な連絡で……大丈夫なの?」


さぎりが、焦った顔をする。


ミオも、姉妹も、おばあさんも、不安そうな顔を見合わせた。


チズルは目を丸くする。


すると、ハルが笑いをこらえながら。


「ククク……。参ったな。大したもんだ。」


そして、楽しそうに続ける。


「今、調理場にとって必要な情報は、全部入ってるじゃねえか。」


「下手に全部の情報や数字を入れて説明しても、混乱するだけだ」


「そして、このやり方……ククク」


ハルは、チズルを見て。


「チズルにそっくりだ」


いたずらっぽく言った。



「あ。」


ユノがチズルの肩に乗り耳打ちする。


「リンからです。調理長たちがごにょごにょ…か?と。」


チズルは親指を立てる。


そして。


「シノちゃん。ちょっとこっちこっち。」


手招きをする。


3人で何やらごにょごにょ…し。


ユノが。


「リンに伝えました。」


と言うと3人は向き合ってニヤリと親指を立てた。


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― 新着の感想 ―
此処でゴニョゴニョやってたのって、この後の普段モードのお祝い進行の相談ですか?
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