第77章ーーゆび輪ひとの輪ーー
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「では、さぎりちゃん。ミオちゃん。ユノちゃん。」
「どうぞ。」
と雑貨屋は店の扉を開ける。
そこには。
店の前に掲げられた日の丸の旗。
細いロープには日本連合の万国旗。
それらを照らすライト。
店の看板部分にはいつの間にか大きなハートのライトがある。
そして、店の前には
子供たち。
学生たち。
家族連れの人々。
買い物帰りの人。
仕事帰りの作業着の人。
これから出勤する人
大勢の人々が店の入口を見つめていた。
「あ、さぎりさんだ!」
「NOAHのミオちゃん!」
「あれ。シノさんだよな?」
「よく見たらユノちゃんもいるぞ。」
拍手をする皆の目には、店頭に掲げられたハート型のライトが映り込んでいた。
◇
「うふふ。どうぞ前へ」
小鳥のデザインのさぎりとミオの指輪、ユノのブレスレットが乗ったトレーを持ったシノに促され、店から一歩でる。
そしてシノがコソっと言う。
「せっかく皆さん集まってくれてるから、私が簡単に取仕切るね。」
さぎりとミオがコクリと頷く。
壇上に上がったさぎり、ミオとユノ、シノ。
シノが口を開く。
「皆さま。私、紫神社宮司のシノと申します。」
その一言で全員が居住まいを正し、会場の騒めきが消えた。
「本日、こちらのさぎりさんとミオさんは、紫神社にて婚姻の儀を執り行いました。」
「へスペリア3住民と、NOAH住民との結婚は初めてとなります。」
パチパチと拍手が起こる。
三人は頭を下げる。
向きなおしたシノが続ける。
「ここでは、只今からお二人の結婚指輪の交換を行います。」
「どうぞ皆さんお立合いください。」
シノが二人に目くばせをすると。
さぎりとミオは皆に軽くお辞儀をし。
向かい合う。
中央でトレーを持ったシノが言う。
「こちらが今日、お二人が選んだ指輪です。どうぞ。」
さぎりが無造作に自分用の指輪をトレーから取り自分にはめようとした、
「ちょ、ちょ、いやいや。待って!待って!交換!交換ーー!!」
慌ててシノが止める。
「自分でつけるんじゃなくて。お互いの薬指にはめてあげるの。」
「だから指輪交換って言うのよ。」
皆が笑う。
「だって、こんなのやったことないし」
そういうさぎりにユノが言う
「最初はみんな初めてです。」
皆。堪えられなくなり大きな笑いが起きる。
ミオは思っていた。
「私からだったら同じことしてた。」
◇
すっかり穏やかになった会場。
気を取り直し。
さぎりが右手に
2361.7.20 To M From S
と刻印された指輪を取る。
ミオの左手を支え、薬指にはめた。
そしてミオも右手に取った
2361.7.20 To S From M
の指輪を
さぎりの左手の薬指にはめる。
そこでシノが
「ユノちゃん。トレーの上にどうぞ。」
と促す。
トレーに立ったユノをさぎりとミオが優しく支える。
そして二人でユノの左手に
2361.7.20 To Y From S & M
小さなブレスレットをはめた。
そしてさぎり、ミオ、ユノは皆の方に向き直す。
そしてシノが
「皆さんに指輪を見ていただいたら?」
と、促され、さぎりとミオは左手を、ユノは左腕を挙げる。
パチパチと拍手が起きる。
シノが
「これにて、さぎりさん、ミオさん、そしてユノちゃんの指輪交換の儀は終了です。」
「お立合いいただいた皆さま。」
「ありがとうございました。」
と言い頭を深く下げる。
さぎり、ミオ、ユノも続く。
「ありがとうございました!」
商店街が大きな拍手に包まれる。
「おめでとうー」
「お幸せにー」
「喧嘩するなよ!」
「たまにはしろよー」
あはははは
そんな中、向かいの花屋の店主が
「おめでとう。仲良くね。」
と、ミオにピンクのガーベラと白い小さなバラ、カスミソウとグリーンも入った花束を渡す。
「ユノちゃんにはコレね。」
と、ワスレナグサの小さな小さな花束を渡した。
「さぎりちゃんにはこれ。」
と、使われてる花はミオの花束と同じだが本数も少なくはるかに小ぶりのものだ。
「私のこんなに小さいんですか?」
というさぎりに花屋は笑いながら。
「昔からこっちに立ってる人には小さいもの。」
「ミオちゃんの所の人には大きい物って決まっているのよ。」
小さなブートニアをさぎりの左ポケットに挿す。
商店街がさらに大きな拍手で包まれた。
新婚初夜のお話までまだまだ続きます。




