第75章ーーへスペリア3での役割ーー
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中央トラムを降り、エレベーターで第一居住リングへ向かい、第一居住区へと降りる。
一行の目的地は商店街のジュネス。
歩いて行ける距離だ。
◇
居住区管理者のチヒロは、ふと一行を見回した。
ちょっと待って。
モウブ君とお出かけできて舞い上がっていたけど、この構図……。
えっと、私がモウブくんと一緒にきて、
ジェットさんとカーくんは、まあ兄弟だからいい。
そして、シノさんが上機嫌でカア君と並んで歩いてる?
シノさんはカアくんとモウブくん以外とは会話してない。
待って待って。
この状況、ナナコちゃんにかわいそうすぎる。
私だけでも、しっかりしなきゃ。
「ナナコさん、今日の紫区画、みんな喜んでくれてて、本当、いい日になったみたいね」
チヒロがナナコに話しかける。
「うん。さぎりさんも、ミオさんもすごい綺麗だったし」
ユノちゃんにも会えたし」
「あの兄弟もすごい楽しい人たちで」
「案内してくれた母娘にも」
「シノさんもすごくよくしてくれました。」
チヒロは
「今日の見学を紹介できてよかったです。」
「でも」
「本当は私も行ける予定で楽しみだったんですが。」
「残念でした」
そんな二人の隣でモウブも笑っていた。
◇
「あ、そういえばモウブくん。」
「ナナコさんたちを案内してくれた方が。」
「あそこの宝飾店の店主で、私に彫金を教えてくれた師匠なのよ」
「あれ?」
チヒロは、指をさしながら気が付いた。
「あ、旗が立って、ピンクのハートが出てて。ってことは……」
◇
同じタイミングで、へスペリア3の圏内6つの神社の宮司であるシノが足を止める。
神妙な面持ちでシノが立ち止まり振り返る。
先ほどまでの砕けた雰囲気とは別人だ。
そして、深々と頭を下げた。
「皆様、申し訳ありません。私、ちょっとお仕事があるようです」
「皆さんも、是非あそこに寄ってください。ではーー」
そう言って踵を返すと、シノはその店に走って行った。
◇
チヒロも一行を見渡して言った。
「モウブくん、ナナコさん、ジェトさん、カアさん」
「今日はどうやら、ジュネスは諦めたほうがいい日ですね。」
「シノさんがおっしゃったように、私たちもあのお店の前に行きましょう」




